第八話:夢

どこかに浮遊している感覚がある。


宿屋のベッドでもなく、酒場の中でもない。


塵のように光るそれは星であろうか。


闇の中で俺は浮かんでいる。


何かが俺の顔に触れる。


細いしなやかな指先。


輪郭だけしか分からないが女の顔だと思う。


口元は靄がかかっているようで、何を言っているのか分からない。


やがてその女は、俺から離れるように存在を消失させた。


何か重要なことを忘れている気がしたが、動かない手足を深い闇に預け、そのまま瞳を閉じた。

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