第二話:ノラ街

狩場から、少し離れた場所にある街、通称ノラ街。


俺のように世間からつまはじきにされた者が集まる街。


それがこのノラ街だ。


今日もいつものように荒くれ者が道路脇に陣取り、狩った獲物の自慢話をしている。


馬鹿みたいだと、いつもなら心中思うところだが、今日はやけに疲れてそれどころではない。


「よおー、ラト。なんだお前、今日もボア狩りかよ。貧しいもんだなあ」


大男がこちらに向かって手を挙げる。


ちくしょっ。うるさい奴に絡まれた。


悪いやつではないのだが、なにかと絡んでくるので、少々苦手としている。


「なんだよ。無視かよ。無愛想な野郎だぜ」


奴はジェイと呼ばれ、いつも彼の周りには人だかりが出来る。


このノラ街では知らない人はいないくらいだ。


「おいジェイ。ラトなんて放っておけって。奴とつるんでもいいことなんかねえよ」


そうやって、ジェイはあっという間に周りを囲まれてしまう。


「今日ジェイのパーティはドラゴンを狩ってきたんだろ。やっぱすげえよな。俺らもいれてくれよ」



ジェイのパーティはこのノラ街でもトップクラスに入る強さだ。


ジェイもそうだが、他のメンバーも腕のたつ強者ばかりだ。


これが持つ者と持たざる者との違い。


俺は単独で狩場に出掛け、必死の覚悟でなんとかボアを狩る。


通常はパーティを組んで戦うが、俺にはそこまで親しい仲間はいない。日々食いつなぐことで精一杯なのだ。

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