第25話 悪は絶対許さないマンを探して 3
「……ねぇ、さっきからこの人のこと変な人って言ってるけど、どこが変なのよ」
「変だろ?」
「あんたの方がよっぽど変よ! マイティさんはめっちゃいい人よ!」
「…………あー、お前アレ見てないのか。そりゃ納得だ」
「アレ?」
あまねは小首を傾げた。
見とけよ、と言わんばかりに悪戯っぽい顔を作った暮斗はマイティ・ガイの隣に立つと、おもむろに彼の背中をドン、と力強く叩いた。
「きゃんっ」
「きゃん……?」
野太い声のくせに可愛らしい仕草で、マイティ・ガイはきゅっ、と体を縮こませた。正直見ていて吐き気がした。
――と、あまねが吐き気を催した瞬間、マイティ・ガイの体に大量のスパークが走った。
「へっ?」
「見てろよ? 超面白いから」
暮斗の言っていることがよく分からなかった。目の前で起きているのは、兄貴肌の男が叩かれた途端女のような声を出して、突然輝きだしたという異常事態である。
マイティ・ガイはそのまま漏電を思わせるほど電気を放ち、発光をやめない。バチバチと激しい音を立てる姿はある意味シュールだった。
――そして、一瞬スパークが収まったと思った瞬間、マイティ・ガイを中心に爆発が起きた。
割とシャレにならない規模の。
「だっ大丈夫なのアレ⁉︎」
「まぁ見てろって」
狼狽えるあまねに対して、暮斗は異常に冷静だった。
ついに頭がおかしくなったのだろうか? と、そんな時、徐々に晴れてきた煙の中でへたり込んでいたのは、頼り甲斐のある男とは正反対の、弱々しい女の子だった。
派手な見た目ではないが、地味と言うには些か容姿が整いさぎている。そのくりっとした目を涙で潤わせ、細い体を力なく震わせていた。
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