第34話「復しゅうのバグポセイドン」~ストーリー構想など~

・深海軍団のバグリーズ・シャーク・ベアーの編隊に対してディエスト、ウィスト、ヴィータストが応戦し、目の前のバグポセイドンにクロスト、イーテスト・ブルが対峙する。だがバグポセイドンは巨体かつ前面をバグ・フィールドで展開して防御しており、後方を24門速射型メーザー砲で守られており、一向にダメージを与えることが出来ない。電次元ブリザードに対してもバグ・フィールドだけでなく、彼のメーザーハンドによる赤熱化で相殺されてしまう。さらにメーザーハンドによる抜き手はゼロ距離でイレーザーを射出する事が可能かつ、クロストより巨体の為、これを受ければひとたまりもない。ピンポイントでゼット・フィールドを展開させて圧縮させたバリアーでイレーザーを受け止めるしかない。


 何故お兄様が……エクスは動揺を隠せない。ニアがあんたの自慢していた兄貴がとんでもないじゃないかと思わず詰ると黙りなさいと彼女も激昂してしまう。マイクからどういうつもりで道を踏み間違えたのかと問われるが、グナートは貴方も貴方だ……と代々軍人家系を輩出してきたファルコ家の跡取りとして自分を縛り付けてきた事への恨みをぶつける。自分だってこの家の名を汚すことはしたくはなかった、貴方に憧れてエクスを守ろうとは思っていた。自分はその為に一番を目指してきた。実験事故で軍人としての道を断たれても技術士官として家を絶やすことはしないように必死だったと……。


・そしてカサンの技術士官として彼が設計したのは拠点・要塞攻撃用の可変ロボット・ポセイドンだった。これは圧倒的な火力に重点を置いた機体のはずだったが、そのあまりにも危険すぎる火力からゲノム側では逆に危険視されて計画は実現しなかったとの事。ゲイル・ファルコにとって自分の最高傑作が認められない挫折に直面したという……。それだけでなく彼が仕官した後にエクスも自分や父の反対を押し切って軍人としての道を歩み始めたことは、ゲイルにとって焦りを抱かせる結果になったという。軍人としての道を断たれて、技術者としての道にも挫折した自分をエクスが知ってしまうのではないだろうか。家の誇りに傷をつけるだけでなく、守るべき妹から自分の認められない姿を見られたくはないと……。その折にバグロイヤー側のディンと接触した。究極の兵器を開発する事に意義があるとの彼の話に、ゲイルは興味を抱きポセイドンの完成について打診すると彼は協力すると約束した。自分は認められなければならない……彼はゲノム側に見切りをつけてバグロイヤーへ寝返る。その後深海将軍グナートとしてカサンを支配下に置いているのだと。


・この兄の口から明かされた真実にエクスは震えながらも、私はお兄様が好きだったのは優れていたからだけでなく優しかった、自分を戦いに巻き込ませたくなかったお兄様の優しさは今でも覚えている、それでもお兄様を助けたくて戦いに出たのだと説得するが、エクスはならば何故ハドロイドとして今、自分の目の前で戦っているのか?とグナートは疑問を突き付ける。自分が妹に戦ってほしくなかったのは、兄の自分よりも上に行こうとすることがプライドを傷つけられるものだったからだと明かす。技術者としてハードウェーザーを許せない。人間とプログラムデータを足したものが、戦闘兵器より優れている事に屈辱を覚えていたのだ。戦闘兵器のスペックを覆すハードウェーザーなど邪道だ、エクスは兄の怒りの逆鱗に触れたようなものだと……。


「お前は家の誇りとか認められたいとかで戦っているのか!お前の子供じみたコンプレックスで多くの人たちを巻き込むことを……これ以上エクスを苦しめることを俺は許さない……!!」


・グナートに対して玲也が遂にキレた。グナートは玲也をエクスのパートナーとして、彼女を自分が許さない方向に変えていく嫌な奴だと罵る。これに玲也はエクスに嫌われることは今では困るが、今のお前になら別にどう思われようが構うものかと戦う覚悟だった。その非情な覚悟に対してエクスは動揺するも、出来る事なら最悪の事態は避けたいが覚悟をしてほしいとの問いに彼女は同意する。


・玲也はまずあの腕をどうにかするがあると判断した。ネクストをマルチブル・シンクロードで動かしている状態であり、イーテスト・ブルをグレーテスト・サークルで飛行させている現在。ネクストの本体は手が空いている。かくしてネクストにトランスクロスを発動させてステルス状態のホバー走行で接近させるが、姿を消しても軌道までは隠せない。そこでクロストが彼の前面に立ちはだかるように移動して防戦を続ける。そして敢えて隙を作らせて目の前で敢えて変形して無防備な状況を作り、バグポセイドンがメーザーハンドを駆使させる状況を作らせた時を狙い、ネクストが飛び出した。サイレント・ブローがバグポセイドンの右腕を突き刺し機能を停止させる。これに変形途中ながらすかさず電次元ブリザードを至近距離で放ち彼の右手を凍結させることに成功。だが頭部の4門メーザー砲がクロストに炸裂し、ゼット・フィールドで防ぐものの、ネクストのトランスクロスが破れてしまい、さらにサブアームにネクストが捕まってしまう。頭部の4門メーザー砲が彼女を執拗に攻撃してくる。この様子にグナートが所詮ハードウェーザーはこの程度の能力だといたぶるのを楽しむ。エクスはリンが私たちと関係ないから離してほしいと兄へ頼もうとするが、リンが私を軽く見ないでほしいと珍しく彼女へ厳しい言葉を投げかける。自分の意志でハドロイドになった身として、ハドロイドを恨むグナートから憎まれてもおかしくはない。それ以上に自分の事を考えて玲也さんが弱気になっては困る、それはエクスちゃんも同じでしょ!とまで彼女が逆にエクスを圧倒する気迫を示す。


・その時、姉さんを放せ!とイチの叫びと共にドリルランサーが投げつけられて彼の頭部を貫いたことで4連メーザー砲の脅威は消えた。これに逆上するグナートが続いてサブアームを破壊しようとするイーテストに対してメーザーハンドで腰を貫かれてしまい何とかスフィンストがパージするも戦線離脱を余儀なくされる。だがサブアームに両手を掴まれているままのネクストだが両手を放つことは可能だ。玲也は電次元サンダーを全開にさせて両手を射出。その先の手へ向けてスフィンストにコンバージョンを伝える。才人は玲也の遠隔操作についていくのが大変だったが何とかコマンドを入力させてウェポンモードとして合体した片腕をネクストの本体へ誘導させていく。こざかしい真似をするとバグポセイドンのメーザーハンドがネクストを握りつぶさんとしたとき、クロストのバスター・マチェットがサブアームを一刀両断。さらに残された左手に向けて電次元ブリザードを掃射する。赤熱化して凍結を防ごうとするバグポセイドンの腕だが、アサルト・シュナイダークローが左腕に突き刺さる。これにより右手がショートして爆破四散した。


・この腕を破壊すれば後は何とかなるかもしれない……クロストが反撃に転じようとしたがバグポセイドンは戦艦形態に変形してバグ・フィールドを展開しながら攻撃を弾き、ゲンブのウィストに標的を変えようとする。慌てて止めようとするクロストだったが、電次元ブリザードが出力過多で使用した為砲身が使い物にならない。バグポセイドンを止めることは出来ないのか……しかしクローズボックスがゲンブへ後退を呼びかける。マイクが息子の不始末は私にあると共に道連れにする覚悟であり、エクスに対してはお前を軍人として歩ませたくなかった事について間違っていた。今のお前はファルコ家の跡取りとして、いや人として立派に成長したことを誇りに思うと……まるで今わの際のような言葉を贈った。まさか……エクスが察した時に24門メーザー砲のハチの巣にクローズボックスは射抜かれ、それでもマイクは最期まで艦を動かしてバグポセイドンに向けて激突して果てた。


「お父様、私は強く優しく誇りのあるお父様が大好きでした。お兄様だって大好きでした。ですから私はファルコ家の人間として、一人の女として最期までそうあろうと思います……!」


・もっともバグポセイドンは無事であり、グナートはマイクに対して私は父をようやく超えることが出来た、バグロイヤーの力と科学で私は家に相応しい人間になったのだと高笑いする。そんな兄の様子にエクスは悲しむことよりもこの手で兄を討つ覚悟を選んだ。兄が道を踏み外してしまったのは7年前の私にも責任がある。正直今も兄を討つことは辛いけれども、今の兄はバグロイヤーという悪夢に取りつかれているから、私が責任をもって楽にしないといけないのだと……彼女は決意するも声が震えていた。無理もない、父を殺した兄を妹が仕留めないといけない状況にあるからだ。玲也はもう最悪の事態に近いかもしれない、俺を恨んでも良いが、お前は自分を責める事だけはしないでほしい、俺がお前を支えられるならば絶対見捨てることはしないと彼も必死に叫んでいた。これにエクスは涙声ながら玲也へあなたもやはり強くて優しくて誇りのある立派な人ですと感じた時……彼女のタグも光り輝くのであった。


・グナートは半ば正気を失いながら、エクスに対して戦う力を捨てて戻って来いといいながらも24連イレーザー砲を連射する。けれどもゼット・フィールドでしのぎながらクロストはバスター・ホイールを両手にしてバグポセイドンの甲板へ思いっきり押し付けた。高熱で溶けていくとともにクロストの怪力でバグポセイドンは深海へ沈んでいき、あらかじめ海底に打ち込んだアビスモルを爆破させ、同時にバスター・ショットをバグポセイドンに両腕をめり込ませながらゼロ距離で掃射してバグポセイドンをとうとう沈黙させた。


・その後エクスは海辺に自分の家族の写真が入ったペンダントを投げ捨てようとしていたが、玲也に止められる。父を殺され兄を殺した彼女にとってはあまりにもその思い出が辛いことは察せられるものだった。けれども彼らの事を忘れてしまったらそれこそ現実から逃げているようなものだと少し強く諫めた上で、父や兄のおかげで今のお前がいる、そこからまた一歩踏み出せばよいじゃないかとの彼の言葉にエクスは思いとどまり、彼の前で泣き崩れた。この様子を遠くから見つめていたシャルはエクスの事に対してでも凄い辛いともらい泣きしており、リンは彼女も自分と似たようなみなし子になってしまったと複雑そうな様子であり、イチからは姉も弟もいない身を考えると自分たちより多分辛いかもしれないとリンに告げる。そしてニアも正直今までエクスの事を気に喰わないとしょっちゅう思っていたけれど、今回ばかりは流石に彼女が可哀そうだと同情していた。ただ自分がもっと家族の事を分かれば本当に悲しめるのかもしれないと、自分の境遇へ複雑な心境もあったのだが。


・そしてマイクが救った負傷者や非戦闘員の中にとある女性科学者が紛れており、彼女はドラグーン・フォートレスへとゼルガの協力者だとの事で、マリア・レスティという人物だった……。



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