第33話「危うし太平洋、迫りくる深海軍団」~ストーリー構想など~

・グナートはシンシアの元へ訪れていた。ディンの死を前にお前が一番つらいと思うと彼女を気遣うが、彼女はあの人はあの戦いで死ぬ覚悟をしていたと冷静な様子を保っていた。それよりグナートに対してこの戦いで貴方が死なないでほしいと頼むも、それでも彼は自分が開発した切り札バグポセイドンへ搭乗する覚悟だった。このバグポセイドンは無人兵器としても転用できるのではないかとシンシアは問うが、この戦いは自分が乗り込まなければいけないと、自分が倒さなければならない相手は決まっているとのスタンス。それよりもシンシアへバグネプチューンを空中戦用へ改良したかどうか問う。これもディンが託したベアーシリーズが空中、地上、水中にそれぞれ対応しており、ハードウェーザーの戦闘データ学習用に使わなければならない事もあった。本来空中戦用のイーグル・ベアーはトループが管轄するはずだったが、彼がいない今となってはバグネプチューンを空中戦用に改良して対応せざるを得なかったのだ。このベアーシリーズにデータ収集させれば今後有用な兵器になりうるとのグナートは考えている。ただその様子にシンシアは少し思う所もあったようだが……


・その頃電装マシン戦隊では、メガージらオール・フォートレスからの通信が入った。現在ゼルガがゲノムへの潜入に成功し、アンチ・トライアングル・フィールドの発生装置の妨害工作と共に、太陽系側から負傷者や非戦闘員を乗せたクローズボックスを太平洋へ降下させるとの作戦を知らされた。そのクローズボックスの艦長がマイク・ファルコとエクスの父が指揮を執っているとの事で彼女は歓喜して、自分たちが護衛任務を就きたいと頼む。ただニアは父に会うことが出来るからと浮かれないでくれると突っかかられて口論になる。これは貴方の父を助けるための戦いではないはずだとニアは玲也に同意を求めるが、確かにそうだが、それがエクスの父を見殺しにする理由になるわけでもないと彼女の肩を持つ。これにエクスは喜んだ様子で無理やり玲也を連れて外に出る。


・ニアには私の素晴らしいお父様の事を理解できるわけがないと少し嫌味を言いながら父のすばらしさを延々と語る。最も玲也は依然聞いたこともあるので、適当な相槌しか打たなかったが、それよりもふと彼女の兄の事が気になっていた。兄のゲイルも確か同じ軍人の道を歩んだとの事を依然聞いたとその話を振ると、彼女は兄に関してもう2年ほど音信がないと意外な事を明かす。ゲイル兄さまは何でもできる、私にとって憧れのお兄様だったと自分のように誇らしげに語る。これは父と同じように兄の事も自慢するのだろうかと玲也は内心苦笑していたが、それよりもゲイルは何時も優しかったと語る――最も今から7年前に遡るが兄は幼年士官学校の中で成績ダントツの優等生だったが、特に技術者としての素質があったという。その為の彼は若くして兵器の設計に参加していたがエクスが誤って設備に触れてしまった為、研究所で爆破事故が発生。これにエクスが巻き込まれそうになったのをゲイルが身を挺して彼女を救った難を逃れたという。しかしこれにゲイルは重傷を負い軍人としての道は断たれてしまったという。エクスは自分のせいでゲイルの将来を断ってしまったとその時何度も泣きながら謝ったという。ただゲイルは彼女が悪い訳ではない、自分はまだ技術者としての道があり、そちらでエクスたちを守ってみせると優しい笑顔を見せていたという。最もゲイルはエクスが軍人になることについてはあまり快く思っていなかったようで、彼女を父と同じレディとして育てたかったという。ただエクスは兄を負傷させた負い目から彼女はその道も必死で歩み、兄の研究を自分も支えたかったのだと……。この話を聞くと正直半分辟易していた玲也の表情は彼女を見直したかのような様子にもなり、やはりお前は努力家だと感心もした。最もエクスは自分にはそれだけの才能があったのですと少し恥ずかしながら引き続き努力については否定する。


・それからクローズボックスの護衛だが、大気圏上空から着艦する流れからブレストが適任だと玲也は考えた。飛行能力に長けたヴィータスト、ユーストと共に出動するのだが、ニアはエクスの手助けをする事については少し癪に障ると不機嫌な様子で玲也が彼女に手を焼いている様子に、シーンからその様子で任務は大丈夫かと突っ込まれてしまう。最も彼もステファニーを制御する事に苦労をしている様子だったのだが……シャルからまぁ3機もハードウェーザーがいる状態なら大丈夫だろうと考えていたのだが、バグレラ・アサルトの編隊が襲い掛かる。ブレスト、ヴィータスト、ユーストの3機は難なく蹴散らしていくのだが。その中にイーグル・ベアー2機が紛れ込んでおり、彼らはライトガドリングショットとマルチブルビームランチャーで間合いを取ってブレストを襲ってくる。最もそれはシンシアにとって彼らをけん制に使ってのことであり、底部からのエネルギーシールドと両腕を駆使してバグネプチューンがブレストを水中に叩きつけようとする。


・しかしその隙にヴィータストとコンバージョンを果たしたイーテスト・ブースターが参入。サブアームの両腕を利用してバグネプチューンを共に押し返し、玲也達へクローズボックスの護衛を託して自分が代わりにバグネプチューンへ応戦するとの事。彼に対してアンドリューはクロストを危うい所に追い込んだ奴かと苦笑すると、シンシアはそれこそ計算内だったことと淡々とした様子で返す。これにアンドリューは偉そうなことを言いやがる、おめぇは性能差で勝つとか思ってやがるだろと挑発をしかける。それにシンシアが何か問題でもあるのかと気にもしていない様子。これにアンドリューがシャルへちょっと覚悟しとけと釘を刺して、頭上のバグネプチューンへ突っ込ませる。これにバグネプチューンの脚部からイレーザー砲が放たれるも、イーテストは軽々と回避した上でさかさまの体勢でグレーテスト・サンダーキックとグレーテスト・エッジの合わせ技をもって逆に脚部を破壊し、エネルギーシールドを発生させるための両腕もグレーテスト・デュランダルで切断した。この型破りなテクニックにシンシアが翻弄され始め、必死になった様子でバルカンポッドとミサイルランチャーを連射してイーテストを退ける。「私はグナートの為に尽くさなければならない……」とシンシアは感情を抑えながら冷静になろうと徹する。最もアンドリューは相手がペースを乱し始めていると確信した笑いを浮かべており、すぐさまスカイX1へマウントさせたグレーテスト・キャノンを遠隔操作でバグネプチューンの背後を突く。ただバグネプチューンの放つ超音波を受ければイーテストが怯む。それもリタの苦しみが尋常ではない様子でありアンドリューがウィンにリタのフォローを頼むと指示を送る。そしてシンシアからすればアンドリューとイーテストが計算できない規格外の存在だと早く消すに限ると、超音波ウェーブを放ちながら接近し残された4本の腕を駆使して殴りつけていく。超音波に苦しみながらもアンドリューは完全に冷静さを失っているじゃないかと余裕の笑みを浮かびながら、グレーテスト・マグナムをゼロ距離で射出。これにバグネプチューンの動きが止まり、グレーテスト・デュランダルで十文字に切られて爆破四散するのであった。


・シンシアの死にグナートの表情に変化が出た、彼女はバグネプチューンのスペック通りの性能を発揮することが出来たはずなのに、旧式のはずのイーテストへ敗れたことへ強い憤りを感じた。それがハードウェーザー、自分が今憎むべき存在でもあると……。イーテストと別にブレスト達がクローズボックスを護衛しており、イーグル・ベアー2機がユーストを執拗に狙う。ビームランチャーで牽制させながら、もう1機がアサルトナイフでユーストの首を掻っ切ろうとするも、ユーストが鷲型に変形してクローを使って突っ込んだ1機の動きを止めてそのままもう1機に向けてぶん投げる。2機とも激突して怯んだ隙にタイタニック・バズソーウイングが2機もろとも粉砕した。


・しかし今度はシャーク・ベアー2機を含んだバグリーズを出動させて狙い撃つ。ユーストのタイタニック・スパーカーが火を噴くも水中に逃れた敵までは仕留めることが出来ない。彼らの潜航能力を利用したヒット&アウェイに翻弄されながらも、玲也はこの高度からすればクロストのゼット・フィールドでも届くと判断してクロストへ乗り換える。エクスは父の船を守らなければと必死にゼット・フィールドを拡張して何とかクローズボックスを着水させることに成功。マイクからクロストのハドロイドがエクスであると知っていたこともあり娘に対して感謝の言葉が送られ、彼女は思わず喜びをあらわにする。しかしこのゼット・フィールドが目の前に浮上したバグポセイドンの24連イレーザー砲に貫かれる事態が発生した。この不測の事態に驚きを隠せない玲也だが、バグポセイドンの存在にマイクは驚愕する。なぜならばこのバグポセイドンを設計したのが……ゲイルだったからだ。兄の設計した機体との事でまさかとエクスが震えるも、その不安は的中しバグポセイドンからはグナートの声がする。エクスへ兄のいう事を聞かないと駄目じゃないかと優しく問いかけながら……。今、目の前でバグポセイドンが戦艦から巨大ロボットへと姿を変えていく……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る