第35話「あたしのママ?ニアの過去はどこ」~ストーリー構想など~

・七大将軍はとうとうレーブン、ハインツの二人だけになってしまった。その折に天羽院からは彼らが戦績をあげることが出来ない点を叱責され、とうとうガリオとシーラを前線へ送ることが決まった為、温情で二人には本土へ帰国するように命じられる。これにハインツは承諾しようとするも、レーブンが猛反対。自分がハドロイドを血祭りにあげることが出来ればその功績に免じてハインツともども据え置いてもらえるようにと頼み込んだ。これに天羽院は一応前向きに検討しましょうと通信を切る。最も彼にとってあの親子は何としても始末したい考えが天羽院にあった。彼は本物のセントクロスと結託しており、さらに死んだはずのトループはシーラに回収され彼女に改造されて二人の手下になっていたとの事。なので天羽院はトループにレーブンとハインツを上手く始末させるように命じた。トループからすれば既に七大将軍よりガリオに従うことの方が得策(セインクロスに対して失態があったので避けている)とあっさり従った。


・ハインツはレーブンに対して何故そのような無謀なことを言い出したのか、現状でハードウェーザーら電装マシン戦隊の実力が想像を凌いでいるとの事で、心惜しいが撤退を考える事も現実的になっていると指摘する。これにレーブンは娘である私を父の貴方が認めてくれないからだと仮面を遂に外す。レーブンはハインツの娘であり、元々彼女は代々軍人の続いていた家の中でハインツに世継ぎが生まれなかったので女ながら戦うことを強いられた背景があった。しかし彼女はそのことを苦にせず自分が父を支えなければならないと奮起して今まで戦い続けていたが、ハインツはなかなか彼女を認めようとせず、それが彼女に必要以上に手柄を取らなければならないと焦らせているのだ。ハインツにとって公私混同することは許されないと冷たく突き放し、貴方はいつもそれだからと彼女は苛立った様子でだから自分が戦わないといけないと考えに代わることはなかった。


・その頃ドラグーン・フォートレスではゲノム解放軍の科学者としてマリア・レスティが着任した。彼女によると大型次元跳躍装置をドラグーン・フォートレスへ取り付けることで、電次元ジャンプが可能になるという。かくしてゲノムでの決戦に備えて技術スタッフが総動員するのだが……そもそもマリア・レスティという人物は、ニアの母である。だがニアにとって自分を捨てた親だとして嫌われているのはまだしも、その彼女もニアに対して全く関心がなく、他のハドロイドと均等に扱っている様子であり、ニアからすれば自分が何故母に対して苛立っているのかすら馬鹿馬鹿しくなってくる程であった。才人はこれは公私混同しないとかではないだろうかと考えるも、シャルからは正直そういう情を抑えての厳しさでもないと否定していた。ニアは正直自分の母があんな女だとの事に最低だと怒りをあらわにするも、エクスからは平手打ちされてしまう。私のお父様が命を懸けてあの人を救ったのに何という言い方をするのと思わず声を荒げ、ニアは確かにあんたのお父さんには申し訳ないかもしれないけど、あの女が親をやろうとしない事に問題だと筋を曲げない。さらにエクスは私やリンさんと違ってあなたには甘えることのできる親がいるのに私たちより恵まれているのではと突っ込まれると、今度はあたしが親に捨てられ孤児院でどれだけ苦労して育ってきたか、お嬢様のあんたにはいわれたかないとニアもかなり怒っており、やっぱりあの女の顔は見たくないと個室に閉じこもってしまう。


・そしてニアとマリアの関係がうまくいっていないとの事に玲也はこの問題を解決しようと立ち上がった。彼女だけまだマルチブル・シンクロードを発動できていないが、この問題が関わっているかもしれないと見たからだ。彼女の研究室からリタが出てきたが、彼女の様子が何かおかしい。彼女の制止が間に合わず玲也は研究室を開けると、アンドリューとマリアがリタの件について話していた……それもリタはハドロイドとして余命があと僅かしかないという深刻な内容だった。それはウィンダストとの戦いでイーテストが貫かれた際にリタは深手を負ってしまい、一応一命はとりとめたものの、電装システムを損傷してしまい彼女は電装の際の負荷が大きいとの事だった。それでイーテストが1タイプのみに絞ったのかと玲也の疑問が少し解けたが、電装さえしなければまだそこまで深刻な問題にならないとの事で、アンドリューもリタに勧めようとしたという。ただリタは今まで戦い続けた身からあたいだって戦うことで生きてるのを実感しているのはアンドリューにだってわかってるはずだろ?と戦い続けることを強く望んでいた。あいつにとっちゃ何もしない方が辛いとアンドリューは彼女の意志を尊重して戦い続けているのだと……。


・マリア曰く破損個所を修復する事も出来るが、その場合今までの記憶が飛ぶだろうとの事でアンドリューはそれを反対したという。これに彼女は完全な機械ならば人格や記憶どうこうの柵もなく済むと苦言すると、玲也はその言い方は癪に障ると少し不機嫌な様子だった。アンドリューが宥める中、レクターも元々ブルーナがあの時深手を負ったマックスを連れて自分の元に駆け込んできたのが始まりだったと、彼の事も自分が改造したという。最も延命のために部分的に機械化する事について、人間と機械の部分で齟齬が発生してしまうようなもので、完全なロボットならば苦労しないと彼女はコメントした。玲也はその様子だと貴方は相当メカが好きなようだと皮肉ると、マリアは確かにそうだと否定する事はしなかった。そもそも貴方はニアの母のはずだが、彼女を捨てたことについて百歩譲ってやむを得ない事情があったと考慮しても、戻ってきてニアにも謝ることもしないで、赤の他人のように接している貴方は人としてどうか、ニアは強がっているけれども本当は貴方の事を母として甘えたいはずだと思わず熱くなってしまう。だがマリアは私が痛みを伴うこともなく生まれた娘に対して何故私がそこまで思わないといけないのかととんでもない事実を明かした。彼女は握り拳を作っており自分が結構本気でこの蟠りを抱えていることを自覚して、ニアのパートナーとして玲也には知ってもらった方が良いかもしれないと、彼女は彼女の過去について重い口を開けた。


・そもそもマリアは幼い頃から機械工学に優れた才女だったそうだが、同時に孤独な存在でもあった。そんな中バイオ工学に優れているケインという少年と出会う。彼は軟派でどこか子供っぽさもある快活な性格をしており、マリアの研究によく興味を示しており、自分も彼女の研究を模倣しては独自の研究へと昇華させる男だった。彼の存在にマリアの競争心は刺激され、互いに研究へ打ち込み互いにパートナーとして共に過ごすようになった。その結果マリアが身籠ったという……この事に二人は喜んでそのまま結婚。生まれた女の子には……ファと名付けたという。


・ファを授かってからマリアは研究職を続けながらも母親として彼女を心から愛した。それはケインもまた同じであったが、ファが4歳の頃ケインが自分の仕事場へ彼女を連れていくと出かけ、マリアは彼にファは私と同じ道を歩んでほしいのにと少し拗ねるが、二人をいつものように見送った……が、研究施設を狙ったテロに巻き込まれてケインとファは死亡してしまった。この幸せを一瞬にして奪われたマリアはケインがファを連れて行かなければこんなことにはならなかったのかと悔やみながらも、彼との競争で学んだバイオ関係の技術を生かしてファのクローンを作り出そうとした結果……ニア・レスティが誕生したのだという。


・マリアはニアへファと同じように可愛がって育てたが、どんどんニアがファではなくなっていく事、クローンでのオリジナルとの差異が苛立ちになって現れるようになった。私の技術がケインに及ばなかったからそうなってしまったのかもしれないと考えると、ニアが自分の失敗作のように思えて認めることが出来なくなっていた。だから失敗作として彼女を捨てた。そしてその反動からマリアは再び機械工学へ傾倒していき、ケインとファを奪ったテロ撲滅から始まり機械工学を平和へ役立てようと奮起していた。それがハードウェーザー計画へ彼女を駆り立てることになり、現在に至っているという。


「ニアは失敗作ではありません……あいつは確かに俺を馬鹿にすることもあるし突っかかることもあるし、喧嘩する事もそれはありますが……ニアは立派に生きている、俺はそう思います」


・玲也はニアの過去を知り、何故彼女が親を嫌うか分かったと納得しながらも、同時にマリアへの怒りを強めた。この事をニアが知っているかどうかわからないが、彼女は自分を捨てた親に対して憤っているのと別に内心ではやはり飢えていたのではないかと玲也は考えていた。けれども彼女はその寂しさを俺たちの前に見せることはなく少しトゲトゲしくも気丈に振舞っていた、リンやエクスから親の事で不満に思うこともあるけども彼女なりに理解しようとはしていた。あの二人と違ってニアは俺によくぶつかる事もそれはあるけども、自分にとってニアは大切で、どんな出自だろうとも変わりはない。あなたも実の親ならもう少し理解してほしいと頼むも、マリアは赤の他人のお前だからそう言える、機械の手を借りて作った娘に対して本当の母親を演じろというのかと声を荒げた所、そこでロシアにバグビースト・バグヘラクレス、バグサロイドらとバグラッシュの群れが出現したとの報せが入ったのだ。これに出動せざるを得ないのだろうか……

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