第16話「特撮映画?戦えハードウェーザー」~ストーリー構想とか~

・ウェザーストの活躍は世間が盛り上がっている。事情を知らない才人が浮かれて玲也へウェザーストに関して語るが玲也は興味をあまり示したくなかった。だが今度TVアニメ版とリンクしてスペシャル特撮番組「電装大戦争ハードウェーザー」が放送されるとの事らしい。玲也はふと依然聞いたことがあったがその時は単なる特撮番組ではないかと考えていたに過ぎなかった。ただウェザーストが実在している様子を考えると少し複雑だった。


・だが自分は自分だと考える玲也はシャルの相談に乗っていた。ヴィータストは支援用ハードウェーザーとして再考の必要があるとアンドリューが彼女に指摘してきたのだ。他のプレイヤーならそれで問題ないが、玲也の場合3機のハードウェーザーを所有している事を前提において考えろとの事だった。この話に玲也はブレストはアーマーモード、ネクストはウェポンモードで運用はほぼ問題がない。だが問題はクロストだった装甲の強化は必要ないとしても、機動力はブレストと違ってヴィータストだけでは不十分との懸念がある。そうなると近接戦での対応もメリットに乏しく、砲撃戦も既にネクストのアサルト・スタンブラスターで補えるように対応してしまっているので重複は避けたい。難航するクロストの強化案。これでシャルとエクス、さらにニアも加わりまた口論になった時、3人ともどもやかましいと玲也が思わず突っ込んだ時にゼルガとの戦いで3人がかりの戦法で苦しめられたことを思い出した。逆転の発想が大事だったと玲也はクロストの強化案を放棄。いや逆にクロストがヴィータストを強化する案を挑んでみることにしたのだ。クロストの機動力の難に対して、ヴィータストが小回りの効く機体として立ち回って補う。その為にはヴィータストの戦闘能力を底上げすることが大事だとの結論だ。クロストではメリットの薄い強化案もヴィータストなら十分効果があるのでは……?と玲也は検討案のデータをまとめる。そしていつの間にかこの話を聞いていたアンドリューは面白いアイデアだとゴーサインを出した。


・それからシミュレーターで強化案を実践していた所、天羽院から玲也へ話があった。どうやら今度の特撮映画の筋書きは彼に出演してほしいとの内容で、話の筋書きについて前回打ち上げられたアポカリプスをウェザーストがバグロイヤーの襲撃から守るとの内容であり、玲也はそのウェザーストのパートナーとして出動する事になるという。実際のハードウェーザーの戦いを特撮映画として撮るとの今回のタイアップ。玲也は承諾しかねるが、日本政府が世界へのプレゼンとしてブレスト達3機の活躍をアピールしたいとの意図を天羽院から聞かされ圧力をかける。これに一応考えさせてほしいと今は答えることをしなかった。


・その折由奈から通信が入った。彼女は交通事故で入院している和人というクラスメイトがハードウェーザーのファンとの事だが今度、その特撮が放送される翌日に手術を受けるとの事。もしハードウェーザーの姿を見ることが出来ればその勇気が出るかもしれないと玲也に頼んできたのだ。この話を受け玲也はその少年の為に出演する事を決意。喜ぶ由奈へただ自分は3機のハードウェーザーを持っているから多分1機しか出せないとの事で好きな機体があるかと尋ねたら……。


・それから土曜に玲也は和人が入院している病院へ見舞にやってきた。彼は意外にもクロストのファンだとの事でエクスを連れてきた訳だが、和人は素直に二人へ懐いておりエクスはそんな彼に対して最初自信ありげな様子だったが次第にまるで素の彼女が出たように穏やかに接する。エクスが意外と子供好きな面を知り玲也は少し微笑ましくなる。だがその折に瑠衣が取材にやってきた。元々ハードウェーザーファンの少年として彼女が取材に行く予定だったが、由奈がそのことを知る筈もなく、玲也とエクスに鉢合わせとなる。今度の特撮について彼女も背景は大体知っていたが、玲也が利益などに興味はないけれども、やはり純粋にハードウェーザーを信じている子供の為に出演したいと胸の内を語れば、瑠衣が素直に彼の行動を格好良いと称賛。気を利かせて今度の記事に名前を明かさない事を前提で彼の事を書くことにした。


・それから撮影当日。どうやら基地内のパートは既に撮影済みとの事でハードウェーザーの戦闘シーンを実際の戦場で撮影するらしい。そこにも瑠衣の姿があったが、彼女と一緒にいた野口仁という青年と出会う。またも正体を知られたと慌てる玲也だが、仁は自分だってハードウェーザーのプレイヤーだと、何とウェザーストのプレイヤーが自分だとの事を明かす。これに玲也は驚くが、自分は実戦経験が殆どなく実際は神坂というパイロットに動かしてもらっていると真相を明かす。それはともかくウェザーストがいわばタイアップでありながらここまで前線で戦う事をする必要があるのかと玲也は窘める。これに仁はまったくもってしてそうかもしれないと自虐するも、自分がウェザーストをデザインして、そのウェザーストでハードウェーザーに興味を持っている子供がいる。そして今、本物のハードウェーザーとしてウェザーストが戦場で戦う事で、人々の関心もさらに高まる。いわば作り物を作り物で終わらせたくないとの信念が彼にあった。玲也は彼が純粋な様子もあり若干の躊躇もあるが、実際の戦場でその夢を持ち込むのは命取りになるかもしれないと警告する。すると神坂が現れ、実際は経験のある自分が動かすから問題はないと仁たちを彼から遠ざける。その去り際に君こそ結局この宣伝同然の番組に出演している事から実際の戦場でヒーローとして目立とうとしているのでは?とまで指摘されてしまう。玲也は一人の為にこの番組に出演したに過ぎないと言おうとしても、出ている事実に変わりはないのだと……


・そして肝心の戦闘シーンだが、セカンド・バディシリーズが鹵獲した機体の外装を換装して敵として襲い掛かる。クロストはあくまで援護役に徹して実際はウェザーストが花形で活躍するとの内容で、あくまで撮影の一環だから本当にバグロイヤーが襲い来ることはないだろうと玲也は考えていた。しかし実際現れたのはバグロックという未見の新型バグロイドだ。彼らはアポカリプスを本気でねらってきている。この様子にウェザーストへ搭乗していた野口は戸惑いを隠せないが、神坂は何故か応戦しようとしない為、クロストが彼に代わって立ち向かわざるを得なかった。ゼット・フィールドを展開しながらバスター・イレーザーで応戦するがバグロックは数と機動力で圧倒しておりなかなか駆逐することが出来ない。


・さらにウェザーストが背後から攻撃を仕掛けてきた。神坂は誤射だというがエクス曰く攻撃の様子から明らかに自分を狙っているものであった。前後の敵に挟まれた状況に苦戦を強いられるクロストだが、この時にヴィータストが参上した。非常にタイミングが良いとのシャルの言葉に玲也は理解して彼女へバスター・スナイパーを射出した。スナイパーが分離してイレーザーとジェネレーターが両肩に合体してヴィータスト・ヴィクトリー、いわばコンバーション・シングルモードを披露する時が来た。ヴィータスト・ヴィクトリーは遠近両方の攻撃力に特化され、バスター・スナイパーとエレクトリック・トンファーがバグロックの群れを片付けていく。この様子にエクスが彼女に負けるわけにはいかないと玲也に頼むと、今回ばかりはわき役に甘んじるのも癪だと玲也はクロストをクロスト・ワンへパージし、新武装バスター・ドリルバンカーを駆使して共にバグロックを片付けるのであった。


・ただウェザーストの姿はそこになかった。どうやら別動隊のバグロック達が襲い掛かりウェザーストが彼らを退けたとの事らしいのだが……。玲也は神坂から誤射の件を謝られるも、戦場でそういう誤射が許されるような状況ではないでしょうと仁へも伝えてほしいと窘める。すると神坂は貴方も子供のヒーローとして戦ったと思うが、やがて後悔する事に案ると意味深な事を告げた。ハードウェーザーの戦いに様々な思惑が絡んでいる。今回出演したことが正解だったかどうかはわからない。ただ玲也は和人がクロストとヴィータストの活躍に喜び無事手術を終えたとの報せを聞くとやはりうれしいものはあった。自分たちの戦いはこの小さな夢や憧れを守ることもあると今は微笑ましい気分になった。


・その頃神坂がイチを連れてジークフリートへ帰還した。神坂の正体はアルファであり、イチはウェザーストのハードウェーザーらしいのだ。また彼の元にはゲノムで戦死したはずのカルーラが回収されていた。生き延びたとはいえ彼女は深手を負っており、彼の手でサイボーグ、それもいくつものハードウェーザーを遠隔で動かす能力を得ていた。だがアルファは前回のバグアルファといい、今回のバグロックといい全く役に立たないと足蹴にし、ハドロイドの方のイチがまだマシと評する。ハドロイドに自分が劣ることへ激しい屈辱を感じるカルーラは、彼を超えんと最大の作戦を繰り広げようとしていた。

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