第13話「本気で戦え!復讐のハードウェーザー・ヴィータスト」~ストーリー構想など~

・シャルが組んだハードウェーザー・ヴィータストは電次元を超える際の衝撃で転送銃G1が誤作動したことでウィンに登録されていた。かくしてシャルがプレイヤーとしてデビューする話が浮上してきた。この事にシャルは驚きながらも玲也の力になれると前向きに受け止めていた。


・これで丸く収まる……かと思えば、そうはいかなかった。今ウィンは激昂して玲也を殺そうとしている。これはポーを殺めたのは玲也だと知ったことがやはり原因だった。最も玲也は敢えて自分から明かしたらしい。そのことにエクスは何故自分から苦しむことをするのかと尋ねるも、玲也はもし俺がお前の家族を殺した事を隠し続けていたのを知ったらどうするか?と問い返して黙らせる。ともに戦うことになる仲間に対して彼女の妹を殺した事を隠し通したまま戦うことは自分にはできないと、覚悟を決めたとの事らしい。


・最もその結果ウィンが自分を殺そうとしていた。ニア達が何とか彼女を取り押さえるが、彼女は自分にはたった一人の妹ポーを守るために戦い続けた身であり、ハドロイドとしての体を手に入れてまで戦おうとした矢先に妹を失った事で希望を断たれた身だと怒りと憎しみを玲也にぶつける。これに彼はアルーラの事を思い出すも、彼女の怒りと憎しみは自分が至らなかった為に起こった事だと言い訳はしなかった。そんな忽然とした彼の様子にアルーラの手が止まった時、玲也は彼女を殺めた非とは別に、自分がここでお前に殺される事を良いといったわけではないと啖呵を切る。彼女は逆上しそうになるが、今のお前が自分を殺してもポーが戻ってくることはない、仮に本気でお前が自分を殺すつもりならば、こちらも容赦しないとまで言い切る。実際に戦場を潜り抜けたウィンはお前を殺すことぐらいはたやすいと余裕を見せようとするが、玲也はその戦場を潜り抜けたお前に自分を殺す価値があるのかもう一度考えてみろとまで言い返す。


・この双方とも引き下がらない様子に、アンドリュー達が仲裁する。私闘で殺されたら話にならないとお互いの実力を競わせてみればどうかとエスニックはシミュレーターでの模擬戦で勝負をつけようと発表した。つまりシャルとウィンがコンビを組んで玲也と戦うことになるのだ。これにシャルは彼と戦う事へ驚きながらもヴィータストは元々支援前提としてスペックは劣ることに若干不安があった。そんなシャルの少し気弱な様子を彼女らしくないと玲也は感づくが、アンドリューが目くばせで合図をしたのを見て模擬戦の意味を玲也は察した。


・玲也はシャルに対して自分が認めたゲーマーであることを信じて、今まで何度かサブプレイヤーとして自分を助けてくれた事も認めている。そのお前が自分に勝てたとしてもおかしくない。俺のパートナーならそのくらいはやって見せろと敢えて厳しく接する。状況がよく呑み込めないウィンに対して玲也は、シャルは自分と互角の実力を持つプレイヤーだと豪語し、これで条件はイーブンだと豪語。この模擬戦でお前が勝てば自分の事は好きにして良い、だが自分が勝てばともに戦うことを承諾しろ、少なからずシャルがその気満々だから彼女の気持ちを汲んでほしいとの事。この条件を提示するとリンはシャルが勝てば玲也がどうなるかわからないとの条件は、むしろ彼女にとって余計苦しい事ではないかと不安を示す。だが玲也は想定済みだと今回自分はクロストで勝負に出ることを宣言。さらにシャルを奮起させるためのダメ押しとして、自分が勝ったらエクスと付き合う事にしようかとまで言い出した。自分は強い女が好きだとの言葉にエクスは奮起し、シャルは玲也をエクスにだけは取られたくない、愛は奪い取るもの掴みとるものだとして模擬戦を受けて立った。かくして明日に勝負を決めることとなった。


・それからシャルはヴィータストのカスタマイズへ必死だった。ウィンは自分が勝てばあの男を始末するかもしれないのに、どうしてそこまで協力的なのかと尋ねる。するとシャルは僕は玲也を同じゲーマーとして親友同士信じていて、今ライバルとして本気で戦うことが出来るのがうれしくもあるとの事。最も僕だって本当の両親を今の養父母に殺された過去がある。ウィンと似たような過去があったのを打ち明ける。この彼女の話にウィンは理解を示しつつも、玲也が自分の許せる男なのかと疑念はあった。その彼女にシャルは玲也がポーを殺めた時もニアから憎まれており、同じように言い訳をしなかったが、自分の信念を曲げることもしなかった。でも人知れずその事を悔やみ続けていたと……。彼は冷たいように見えるが本当は真面目で優しい性格の持ち主とシャルが彼を評した時は少し頬が緩んでいた。


・一方玲也もクロストの調整を怠らなかった。そこでエクスが今までの戦闘データを分析したリストを彼に渡す。彼女は玲也がそこまで念入りに調整していることに警戒しすぎではないかと尋ねるが、「窮鼠猫噛」「獅子白兎」との四字熟語を出して、シャルを相手にしても全力で叩きのめすことを考えなくてはいけない、手加減してわざと負けることは簡単だが、これはそういう事をやってよい戦いではないと彼は真剣だった。最もエクスだって念入りに対策を考えている様子を玲也は気づいており、彼女はお高く留まっているお嬢様のようで実際は努力家だと密かに感心する。ただエクスの打開策についてはクロストは3機の中でクロスト・ワンのデータで容量を食っている関係で、拡張性が乏しくカスタマイズして大胆に変えることは難しいとの厳しい現状を玲也は指摘。だが現状のスペックから逆手を取ることは出来るのだとも同時に励ました。


・試合当日。ドラグーン・フォートレスに向かった玲也達だが、アンドリューが個室に彼らを誘う。今回の模擬戦でお前がクロストを選んだ理由について、俺の相手を本気にさせて挑ませるやり方を真似たなと苦笑しながらも俺に似てきたと評する。模擬戦はいわばゲームの延長戦上のようなものだが、楽しむだけならゲームだけで十分。実戦のように本気でぶつかり合ってこそ、今後の戦いに活かされるものを得ることに意義がある。あの時お前は俺に挑む側だが、今度はシャルに挑まれる側。格下の相手かもしれないが手を抜かずに思いっきりぶつかってやれ、殺し合いではなくともやるかやられるかだと思え、シャルも今それを絶対望んでいるはずだとのアンドリューからの激励を受け、玲也はシャルが相手でも今まで手加減するようなことは互いにしなかった。そして今回もそのつもり。そしてシミュレーターの元に足を運べば既にシャルとウィンが待っていた。


「シャル、ウィン……本気でこい!ゲーマーとしてプレイヤーとして俺は刺し違えようともお前たちに勝つつもりだ……!!」

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