第14話「友よ、戦え共に!大気圏決死のコンバージョン」~ストーリー構想など~

・試合当日。玲也より先にシャルとウィンがシミュレーターで最後の調整に入っていた。一息を入れていた時にリタがやってきて、正直二人では玲也とウィンに勝てる確率は低いと指摘する。それもウィンに原因があるとの事で、自分にもかつてアンドリューとソリが合わず最初の頃は苦労したと明かす。かつて自分は単に力を欲するためにハドロイドとしての体を選び、地球や太陽系の為に戦ういわばアンドリューの正義を理解するには時間がかかったと。けれども感情に囚われて戦っていた頃より色々と見て知り学ぶこともできたのだと。玲也が父を探すことだけでもう戦っていない事、まだガキっちょだがガキっちょなりに成長している。シャルもそのことを理解して玲也の力になろうとしているはずだと彼女の胸の内も説く。そしてポーもまた……と言いかけた時に玲也とエクスがアンドリューと一緒にやってきた為話は中断、対決が繰り広げられようとしていた。


・かくしてクロストとヴィータストとの対決が始まった。バスター・スナイパーを装備したクロストはローダー形態でヴィータストとの距離を置く。この様子にシャルは空中から一定の距離を置いて攻撃をかけると、ゼット・フィールドによるバリアーを展開しながら耐え凌ぐ。するとヴィータストは攻撃の手を止めて距離をさらに置く。


・この双方の戦いっぷりに対してアンドリューは同じ砲撃戦主体の機体として玲也とシャルは互いに読みあいを続けていると評した。これはクロストがバスター・スナイパーを敢えて装備して出動している事が重要との事。超遠距離狙撃に重点を置いた分1対1の対決では取り回しの悪さが目立つ。そのバスター・スナイパーをゼット・フィールドを展開しながら攻撃に耐えながら距離を置いている様子からして、玲也はこのバスター・スナイパーを強引に使おうとしているのではないかと思われてもおかしくない。だがシャルがゼット・フィールドを強引に力ずくで破ろうとせず、あえて距離を取っている。いわばバスター・スナイパーを使わせようとする状況を逆に利用しているとの事。リタはシャルが普段から想像できないが頭脳派のプレイヤーであり、そういう意味では玲也と似た者同士。似ているスタイルの相手同士でお互い罠に嵌めようと動いているという。


・最もこのまま膠着した状況が続くのもよろしくないと玲也は彼女を逆に誘い出して攻めていくことを選んだ。ヴィータストのアドバンテージは飛行できることにあり、地上戦へ持ち込ませて渡り合う事だ。ゼット・フィールドを敢えて解除してバスター・スナイパーを射出しようとする構えを取る。この時にヴィータストが遂に動いた。ホーミングミサイルポッドがシーカーソーサーを粉砕して構えたバスター・スナイパーをめがけて、エレクトリック・エネルギーキャノンを放たんとしている。その為に距離をつめていくヴィータストだが、バスター・スナイパーを目の前で捨て去って彼女の標的を敢えて見失わせる。それだけでなく事前に地底へ潜伏させていたアビスモルをバスター・イレーザーによって爆破させてヴィータストの視界を遮らせる。この上で電次元ブリザードをヴィータストへお見舞いしてフィニッシュを飾ろうとしたのだ。


・しかしヴィータストはシャルのカスタマイズによって大型哨戒機ポータルシューターを装着しており、あくまで電次元ブリザードで凍結したのはポータルシューターだけで、本体は健在だった。エネルギーキャノンをエレクトリック・トンファーを連結して放つ高出力のビームが電次元ブリザードの砲門を切断してみせる。これでエネルギーをほぼ消耗してしまうヴィータストだが、止めを刺せばよいだけとバスター・ショットをかいくぐりながらクロストの胸部をエレクトリック・トンファーで突き刺さんとする。この事態にクロストもまたクロスト・ワンを展開して応戦しようとするが……


・だがその折にシミュレーターが途中で中断してしまった。玲也達は何故かと戸惑うが、バグロイヤー側で大気圏突入を試みている部隊があったと知らされたのだ。どうやらレスリストが応戦していたのは囮に過ぎず、大気圏へ突入戦とする部隊がドラグーン・フォートレス付近を通るのだという。この話から玲也はブレストで出撃する必要性があったと察して出撃。これもブレストには大気圏突入離脱に耐えうる能力があるためであった。ウィンは危険を承知で出動する玲也を複雑な様子で見守るが、シャルが自分も出撃したいことをエスニックに頼む。ブレーン博士があまりにも危険だと反対する傍らリタはその間にポーが姉を助けるために自分もハドロイドの道を選んだ事を彼女に教える。これはリタがハドロイドとして眠りについていた後に起こった出来事だった為、彼女は知らなかった。今のシャルがポーと重なる姿勢なのではとのリタの問いを受けて彼女は葛藤を抱く。


・大気圏突入を試みるバグアッパーと護衛にあたる6機のバグレラと応戦する。カウンター・ハンマーを振り回してバグレラを粉砕していくブレスト。しかしバグアッパーこそアルファが搭乗しており、彼はバグレラごときではブレストの相手は務まらないと敢えて囮として彼を引き付けさせ、シャトル内に搭載されたパテルスジェルを射出してブレストの各部分に付着させる。これこそアルファの作戦であり、パテルスジェルが固形化するにつれてブレストの動きが鈍くなっていく。ブレストはファイターに変形しようともジョイントに直接コーティングされているせいで、変形システムが起動せず、さらにこのコーティングが限界重量をオーバーしている為に電次元ジャンプも不可能との状況。このままでは大気圏突入時の摩擦熱でブレストが燃え尽きてしまう……!


・しかしその時、ヴィータストが参上。ポータルシューターのリニアシューターによる狙撃が背中に付着したコーティングジェルを粉砕する事に成功。だがシャルはこれだけではブレストが大気圏の引力から脱出することは出来ないと、玲也にコンバット・コンバージョンしか方法がないとの話を持ち掛ける。元々ヴィータストがブレストとの連携前提だったことは玲也も認識していたが、実戦で試したことがない。だがそう言っていられず状況でもないとコンバージョン・システムを発動させる。玲也とシャルの息の合った操縦により2機を合体させるコンバージョン・システムは見事成功。ヴィータストがブースターとして合体したブレスト・ブースターが遂に誕生した。ヴィータストの脚部が高出力のブースターとして大気圏の引力を振り切った。そして急激な温度差によって固形化したジェルにひびが入り落ちていくとともに電次元ジャンプを成功させる。その後レスリストの元に囮部隊のはずが更なる増援が送り込まれたとの報せがあり、ブレスト・ブースターが颯爽と参上し、カウンター・サンダーキックで次々とバグレラやバグアッパーの群れを蹴散らしていく。そしてバグロイヤーの旗艦に向けてカウンター・ジャベリンを膝から突き刺す。このジャベリンはポーの形見……ウィンは今こうして自分は妹戦っているのだと感じながら、彼女の遺志も継ぐとエネルギーキャノンをぶっ放して艦を粉砕するのだった。


・シャルの描いたブレストの強化プランは見事に成功した。だが一方肝心の模擬戦だが試合が中断していたのだが、オートシミュレートモードに切り替えてその後の戦闘を予測した結果だと、何とごくわずかながらシャルが勝っていたとの確率が上回っていたとの意外な結果が。これに動揺するシャルだったが、ウィンは実際に戦ってもいないデータだけの結果に興味はないとの事。自分の玲也に対しての憎しみは完全に消えたわけではない、だが妹と自分の体を失った身の中で、シャルの想いに惹かれたものは確かにあったと彼女の玲也を助けたい思いを支えるために協力する事を選んだ。そんな彼女の答えに玲也は正直あぁ強がらざるを得なかったが内心どうなるかを考えると恐ろしかった、今はそれだけでも良いと本心を明かして仲間として彼女を迎え入れた。


・最もアンドリューからはその後予測結果とはいえお前がシャルに劣勢だったのはどうか、シャルともども鍛えなおしてやると半ば冗談交じりに突っ込んでいた。なおエクスの約束に対しては予測結果で負けていた事から付き合う話はなかった事にしてくれと玲也は妙に必死に彼女を遠ざけていた。そして翌日あれからウィンがシャルと一緒に住むようになったのはまだしも玲也のクラスにまで彼女が転校してきたとの報せにはずっこけた。何故お前がと突っ込めば、シャルのパートナーとして彼女の身を案じなければとシスコンじみた理由でもあり、玲也が何をしでかすかわからないとの別の理由もそこまで警戒されると困ると玲也は何ともいえない心境だった

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