第7話「愛憎にこの身を焼いて」ストーリー構想など

・玲也の腕の怪我も無事完治したが、コンバースはPARの南米支部のバレフ・ストンという隊員が行方不明になった事を案じていた。南米支部は先日バグロイヤーに襲撃され、ディエストとイーテストにより被害は最小限に食い止められたそうだが、行方不明になったバレフが一体何者かと玲也が尋ねると、自分よりアンドリューに聞いてみろ、もう話してくれるはずだろうとの事。


・その経緯で玲也はアンドリューへバレフは一体何者かと問う。するとアンドリューは洗いざらい明かしてくれた。1年ほど前、ドラグーン・フォートレスには玲也の前任ともいえるブラジル代表プレイヤー“ナムル・コット”とハードウェーザー・ボックストが所属していたという。彼女はバレフの恋人であり、彼に誘われる形でオンラインゲームのハードウェーザーを始めたらクリアしてしまい、プレイヤーとして招かれた経緯があったという。彼女は玲也より教え導くのに手間がかかったが、結ばれるがために夢を追っていたが夢を絶たれて挫折した恋人を救いたいとの一途な想いで彼女は玲也以上の根性の持ち主だったと評して、やがて自分も力をなろうと導くようになっていたのだと……。


・だが戦場はナムルの成長を待たずして彼女の命を奪う虚しいものであったとアンドリューは語る。そしてその後アンドリューはバレフという男にナムルの仇だと襲われたことがあったという。彼は逆に返り討ちにするが、バレフとナムルの関係、そして彼女の死を知った彼の心境を察して、俺が襲われても仕方がないが、俺はお前に殺されるわけにはいかないと伝えて不問にした。この彼の態度にバレフは悔しがる様子で去って行った後、ふと調べたらPARの南米支部へ入隊していたと分かったとの事だった。


・それから定期パトロールに出る玲也はリンへアンドリューが話してくれた過去について話した。玲也は俺もアンドリューのようにガロやジャレコフの関係者に恨みを買って襲われることもあるのではないかと若干不安を打ち明ける。自分やニアが親しい相手を失った時に当事者が誰か知っていたことから、バグロイヤ―と戦う動機があるが、それをよく知らない人々からすれば、見当違いの方向に恨まれることもありえるかもしれないと不安を案じていた。その折にバレフらしき者の遺体を発見し、今後の事もありネクストのコクピットに回収する。


・しかしバレフは宇宙空間を漂流しながら生きていた……そして玲也を人質にドラグーン・フォートレスへアンドリューを呼べと命じた。これにアンドリューはイーテストで急行。バレフがどういうつもりで玲也を人質にしたのか半分察しているが、お前の復讐の為に万が一のことがあってはいけないとの姿勢だった。バレフはアンドリューへ大切な相手を失った世界はもう俺にとっては世界じゃない。ナムルが死んでからはアンドリューへ復讐することしか考えていたなかったが、相手にされず敗れた事から彼へ復讐するための力を欲するために、PARへ入隊しただけでなく、何と先日の襲撃の機会に乗じてPAR南米支部の機密を手土産にバグロイヤーへ寝返ったのだという。彼を迎え入れた二番隊隊長”アルファ・ベルゼイ”はそのままでも使い物にならないと、彼の目標を果たさせることもありサイボーグへと改造した。バレフは既に地球を裏切ってバグロイヤーに寝返った身からもう地球人である必要はないと後悔することはなかった。


・玲也とアンドリューの人質交換、つまりアンドリューを人質に迎え入れて始末するのはバレフの目論見だが、アンドリューはそれを拒んだ。そしてドラグーン・フォートレスからアインがバレフに対して「甘ったれるな」と指摘。アインにとってアンドリューは同僚だけでなく、恋敵でもあった。アメリカ空軍時代に同じ女を取り合って競い合っていた関係でもあったと。だが彼女はアンドリューと同じ戦場へ出撃してその命を散らしたとの過去があり、自分もアンドリューに対して復讐を試みたこともあった。しかし上官から同じ戦場でその死を目にしてきたアンドリューこそ一番つらいはずだと諭され、彼が人知れず涙を流し悔やみ続けていた様子から時間はかかっても彼を許すことを選んだのだと……。


・その通信の様子にアンドリューはアインの言う通り戦場で、それも人間同士の紛争で恋人を失った過去があったが、それで俺は紛争を起こした国を、人を恨んだかといえば答えはノーだと、俺とアインは大切な人を失っても本当に戦うべき相手が誰か見失うことはしなかった。それがお前を俺が相手にしなかった理由だとアンドリューはバレフへ忽然と言い放つ。それだけでなく玲也だってこの間ガロを、そしてニアの親友だったポーを手にかけて人知れず苦しんでいた事、ニアは玲也のパートナーとの事。お前より子供の玲也が俺にとって相手にする価値のある男だと挑発した。


・バレフの内通を知ってPAR南米支部から追討部隊が送られた。状況的に追い詰められていく彼は人間の体を捨ててこれでは報われないのかと焦る。これにアンドリューはお前が勝手に俺たちを逆恨みして起こした事だと同情する事は決してしなかった。そしてリンは追い詰められた状況の中でバレフの体内に爆弾が仕込まれていると指摘。戸惑う彼の隙を見て玲也は彼を押し飛ばして転送銃G1を突き付ける。だが玲也はリンが機転を利かせて嘘をついたのだと思っていたが、彼女はどうやら本当にバレフの体内に爆弾があると主張する。アルファは万が一に対して改造すると同時に彼へ爆弾を仕掛けたのかもしれない。彼を見限るようにバグレラ部隊が接近し、PARのセカンド・バディ部隊と交戦状態に発展。この状況のさ中ネクストのトランスクロスとサイレントシーカーを展開しながらネクストの周囲をかく乱する。これもバレフの爆弾が遠隔操作で起爆しないようにする為だ。コンバースの指示に従いリンはバレフの爆弾の除去を試みるが、コクピットの設備だけでは手術する環境は整わない。玲也は転送銃G1で彼をドラグーン・フォートレスへ転送して手術させようとするが、ジャミングの範囲が届かず万が一彼が爆破される可能性もあること、何よりバレフはもう機密を漏洩させた身だから後戻りはできないと拒否し、強引にネクストのコクピットから脱出して船外へ飛び出した。


「アンドリュー・ヴァンス……!お前と違って俺は愛した女の元に逝くことができるんだよ!!」


・バレフはレーザーガンで自分の爆弾が内蔵されている位置を撃ちぬいて宙域で爆破四散した。爆発に巻き込んだのがセカンド・バディではなくバグレラの群れだったのは彼に残された最後の良心だったのかもしれない……ちょっとはお前に報いてやるよとアンドリューは玲也へ「準備しとけ」とただ一言。これに玲也も察してブレストを出撃させ、転送銃G1 ですぐさま転移した。


・これはガロの分、これはポーの分。ブレストのカウンターダガー、カウンタージャベリン、この2つの武器を合体させたカウンターランサーがうなりを上げてバグレラの群れを次々と蹴散らしていく。この頼れる後輩の様子を横目にイーテストのグレーテストエッジがバグロイヤー艦を一刀両断。逃げる艦に向けてグレートクラッシャーが投擲されて貫通。こいつらは志半ばでナムルの魂だ……とアンドリューは静かに熱くその言葉を口にしたバグロイヤーとの戦いで犠牲者が出てくることは悲しいが避けられない。だからといって戦うことを俺たちが辞めることは許されない。たとえ見当違いな事で恨まれようともだ。玲也はアンドリューにとって苦い戦いだったかもしれないと気遣おうとするが、彼は下手な気遣いは無用、それより散っていった仲間たちの事を忘れずに戦い続けることが大事だと逆に玲也は激励され、新たな武器カウンターランサーを目にしながら、自分たちが戦いから逃げてなるものかと固く誓う……。

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