第5話「故郷(いえ)なきポーは宇宙(いえ)にかえった」ストーリー構想など
・新たに転送されたハドロイド・マイとポー。彼女らのプレイヤーがサウジアラビアとイタリアとの事もあり、それぞれビャッコ、フェニックスに所属することが決まった、これに関して国家間のパワーバランスの他、ドラグーン・フォートレスに玲也が所属している事から実質アメリカ代表ではなく、国境を越えた遊撃部隊として再編する話も国連から出ていた事もあった為、両フォートレスの人員をその分増やそうとの事だ。
・そして現在各フォートレスが二人の訓練を持ち回りで受け持っているが、アンドリューは玲也に指導する側へ立てと命じた。これも彼もプレイヤーとして戦うことに慣れてきたことと、経験が浅いもの同士でちょうど良いとの事もある。玲也は少し戸惑ったものの今後の事を考えて教える経験も必要だと考えて承諾した。
・それから訓練当日、ポーのプレイヤー・ジャレコフは……よりによって腕を怪我したとの事で病欠らしい。マイのプレイヤー・ガロは玲也に対して穏やかな様子だったが、マイがニアと因縁の関係だったことから早速いざこざが起こる。訓練の内容としてシミュレーターでの模擬戦だがマイとニアが険悪な関係だけでなく、同じお嬢様として話が合うと思っていたエクスへも一緒にしないでほしいと見下したので結局険悪な関係。ということで半ば消去法でリン、つまりネクストと戦わせることにした。
・そして模擬戦だが、マイのハードウェーザー・ネオジストは背中のプロペラからエネルギー波を展開し、バリアー、ビーム砲、ビームソードと攻防遠近問わずに駆使される万能武装・電次元ストームが強力だ。ネクストはプロペラを本体から分断させようとアサルトハーケンで連結部を狙おうと、トランスクロスを利用してステルスによる奇襲戦法を使おうとするが、ネオジストは彼の場所に向けてライトニングレネードを投げつけた。電磁波により身動きが一時取れなくなったことを狙い、ビームガンが放たれトランスクロスは破れてしまう。
・ネオジストはヘリコプター形態に変形して空中から電次元ストームを地上へ掃射する。これを回避するだけで精いっぱいのウィスト……かと思えば、すぐさま電次元サンダーをプロペラめがけて放射する。エネルギー兵器を吸収する能力を持つ電次元ストームには効果がないと思われたが、しばらくして受け続けていたプロペラが砕ける事態が発生した。ガロは電次元ストームのプロペラの吸収力を過信しており、吸収しきれずに限界へ達してしまったのだ。ネオジストはゼット・コーティングにより本体もエネルギー兵器を受け付けないが、アサルトハーケンを胸元に突き付けられたら成す術がない。模擬戦は玲也の勝利に終わった。
・この戦いの中で、玲也は電次元ストームが幅広い用途で運用できる武装だとの事を感心しており、ガロの発想を称賛した。ガロもまた玲也が自分より年下でも場数を踏んだだけの事はあると素直に称賛しており互いの親交が深まった。翌日以降ガロはオフに玲也へ会うことが増え、互いに今後のハードウェーザーの運用方針で盛り上がることがあった。最もニアはガロの事にあまり快く思っていなかった。ガロ……というよりマイに問題があるのだが。リン曰く、マイは大物政治家の娘として将来を背負わないといけない事から焦っているだけで、別にそこまで嫌な人ではないと擁護していたが、彼女から見下され続けていたニアは信じられない状況だった。逆にニアはポーと会うことが増えていた。彼女はそもそもニアの学友であり、自分が両親のいない孤児の身でありながら、自分を見下すことせずに接していた事もあり、ポーもニアへ多々助けられていており互いに交友があったのだ。ただポーはニアに対してどこか余所余所しい様子であり、逆に玲也は彼女が怪しいのではないかと疑いを寄せる。この辺りはポーのハードウェーザー・ワンダーストが自分のブレストの半分コピーみたいな背景も疑わしい所だった。
・それから1週間後、玲也は再び訓練として実際に出撃した2機の隊長役を務めることになった。この日はポーのプレイヤーことジャレコフが現れるも、彼は玲也を子供だと見下している。最も今まで他の面々との訓練の様子からあまり大したことがない様子から玲也はあまり彼を相手にしないようにしていた。そして途中ワンダーストが後れを取っていた様子があったのだが、その為か玲也はあまり関心を持っていなかった。
・しかし遅れていた間に恐ろしい事態が発生していた。ジャレコフが暗殺された。それはポーを太陽系へ送り込んだアステルの仕業だ。ポーはアステルと手を組んでおり彼の手引きを受けてポーがコクピットに招き入れて、ジャレコフは彼に始末されたのだ。ポーはアステルに自分と姉のウィンの体を人質に取られており、二人の体を解放する条件でハードウェーザーの機密を盗むように命じられていたのだ。だがポーはニアが同じハドロイドだった為親友を裏切ることは出来ないと葛藤しており、結局そのスパイの役目を果たすことは出来なかったのだ。これにアステルがどのようなつもりかと問いただせば、ポーはハードウェーザーを奪うことは出来たと意外な事を指摘する。彼女は自分がアステルのパートナーとして従うつもりだと告白する。親友のふりをして彼女を裏切り続けるより、もう敵として立ちはだかって縁を断ち切る方が良く、あなたもハードウェーザーを手土産にすることができるのだと……。アステルはこの提案に対してどの道ポーの体はジーケインを襲った際に跡形御なく消えていたのだと告白。もう自分はハドロイドでしか生きていくことができない……ポーは涙を堪えた。自分がダメでも姉のウィンを守るにはもうこれしか手がないのだと……。
そして玲也とガロがワンダーストを見失ったと気づき捜索に出た所ワンダーストが現れた。安心するガロだが、既にワンダーストがバグロイヤー側の手に落ちていたことを知る筈もなかった。膝からのマキシマムシャフトにネオジストは見事胴体を貫かれ……そして爆散した。目の前で仲間の死を目にした様子に玲也は言葉を失った。逃げるワンダーストを怒涛の勢いで追うブレストだが、その間にバグロイヤーの戦艦が包囲する。イーテストとダブルストが彼らの大群を引き寄せて応戦し、玲也はワンダーストを急ぐが目の前の一隻が抵抗し続ける。これに苛立つ彼は電次元フレアーを発動。戦艦が爆散しいよいよワンダーストを追い詰める。
・ニアからの問いかけにポーは内心動揺を抑えられず言葉が出ない。彼女は非情になりきれない……アステルはポーへブレストが仕留めた戦艦にはウィンの体があったのだと明かす。信じられない彼女だが、爆散したカプセルの破片を調べると彼女のカプセルの番号と一致するものであった……。
・ポーがキレた。姉を殺したのはブレストだと復讐を成し遂げようと攻撃を開始する。ニアは彼女を攻撃することができないと葛藤するが、玲也は自分たちがこのままやられて良い道理もないと応戦する。内心では身寄りのないニアにとってポーが心の支えだとは理解しており、内心では彼女を殺めることが辛い。悪いのは彼女を利用してハードウェーザーを乗っ取っているアステルだと……だが、彼だけを都合よく仕留めることが出来るのかと。これ以上野放しにしたら被害はもっと増えてしまう。応戦し続ける玲也をニアは血も涙もないのかと非難するが、玲也はバグロイヤーへの復讐の為にハドロイドの体を手に入れたお前が言えることかと思わず当たってしまう。
そして戦艦の群れを退けたイーテストとダブルストが合流してきた。リタはニアに対して兵器でもある自分たちは友人同士の情が敵味方に分かれたら断ち切る覚悟も必要だと諭す。アンドリューもまたお前がニアのことを案じて躊躇する気持ちもわかるが、ガロとマイがそいつに殺されたのもまた事実だと告げる。そしてマーベルは戦場で判断を誤るお前はまだ子供だと指摘してハウンドショットランチャーの照準を定めた。
「ごめんねニアちゃん……ウィン姉さんが家で待っているから……」
・ブレストはカウンタークラッシュを展開して放たれた弾丸をはじき返そうとした。しかし彼の目前にワンダーストは電次元ジャンプでワープしていた。苦悩の末にポーはニアを守ることを選んだのかもしれない。しかし無情にもショットランチャーの弾丸が到着する前にカウンタークラッシュが背中から直撃し、最期を悟った彼女はアステルを道連れに自爆して果てた……
「手にかけたことを言い訳はしない、血も涙もないと言った事は謝る。だが俺があの時過ちを犯したとは考えていない……」
・戦いが終わってから玲也はニアにボコボコにされた。私の親友をあんたが殺したんだ……玲也は彼女の気が済むまで殴られることを選んだが、目の前の彼女が涙を流し、かみしめた唇から血がこぼれている様子に血も涙もないと指摘したことは謝るが、ポーを手にかけたことはあの時それしか方法がなかったと考えを曲げることはなく嘆き悲しむ彼女を背にしながら一人去る。だが彼の拳はいつもより強く、そして悔しげに握りしめられていたのもまた事実だった。
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