5.侵食される現実
第80話 後遺症
〔ますたああああ、相談があるにゃああああああ〕
ログインするなり、トキが叫ぶ。ルシファーの一件が終わり、女神による現実の仕事調整等も止んだ。俺も仕事を再開、のんびり日常を送る・・・はずだったのだが。数日も続かなかったようだ。
〔・・・じゃあ月夜の海岸亭で〕
〔宿舎の個室でいいにゃか?内密に相談したいにゃ〕
という内容をギルドチャットに流すトキ。いらん想像する人が・・・まあいないか。
〔分かった。じゃあ宿舎の個室に。とりあえず宿舎前に集合するか〕
宿舎の個室は、許可した人しか入室できない。秘密の相談にはもってこいだ。まあ、PTチャットを使うのだからどうせ他のメンバーは聞こえないし、メイド様や月花は聞こえてるみたいだけど。
宿舎前で待ち合わせ、PTを組む。トキの個室に移動する。なんかレアアイテムが無造作に大量に置いてある。いいなあ。あと洋服がいっぱいあるようだ。意外とお洒落なのだろうか。
《それで相談なのですが・・・リアルで会えませんか?》
《ぶっ》
え、何、トキ、そういう関係じゃないよなっ。
《貴方がリアルを隠しているのは知っています。でも、貴方の力が必要なんです》
ああ、何か真面目な話っぽい。いや、トキ相手だし、別に何も期待してないし、がっかりもしてないんだけどね。そうレイ相手に言われたら・・・いや、今は目の前の事だ。
《・・・そうだ、俺はリアルはひたむきに隠している。それは俺が小心者だからだ。一応引き籠もりは直ったが、それでもまだ見知らぬ人と会うのはかなりハードルが高い。仕事も何とか勤務しているが、かなり辛いんだ》
周りはみんなじゃがいも。みんなじゃがいも。
《それでも御願いします》
トキがこちらの目を真っ直ぐみて懇願する。
《今、NLJOは危機に晒されています。想像がついているとは思いますが、この前のルシファーの一件です》
トキは首をふるふる、と振った後、
《NLJOは、今までは様子見、というのが世間のトップ会議での結論でした。ところが、これが、危険視、に傾きつつあるのです》
トキはじっとこちらの目を見て、
《NLJOが危険認定され、人が遠ざけられるような事になれば女神様がどうするか・・・いえ・・・》
トキがこちらの肩に手を乗せ、顔を近づける。
《そういう言い方は良くないですね。私はこのNLJOが、みんなと過ごすこの世界が好きなのです。だから私はこのゲームを続けたい。何とか、危険指定されないようにしたいのです》
トキのアバターって改めて見ると可愛いよなあ・・・ここまで近いとドキドキする。個室でベッドに2人で座っているというシチュエーションも。
《御願いできませんか?!》
《お、おう》
思わず返事する。
トキが笑顔を見せ、手を握ってくる。
《ありがとうございます!詳細はまた連絡しますね!》
・・・あれ、何かとんでもない事したような・・・気が・・・する・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます