第30話 ギルドを作ろう

今日は休み。街の片隅に、ライトから呼ばれて集まっていた。初めて見るメンバーもいる。


《集まってくれてありがとう。こっちが、昔からいるメンバー。で、こっちが少し前に入ってくれたメンバー。初心者さん達だね》


《えっ、初心者??》


《有名ギルドから来た助っ人とかではなくて?》


古参メンバーが驚いて聞き返す。


《何を言ってるの。レベルを見たら分かるでしょ。1人は10ちょっと、残り5人は1レベルだったんだから。今はちょっと上がって・・・えええ?!》


古参メンバーの遥か上のレベルを行く初心者勢。わーぃ。


《待って・・・私・・・もう1年以上やってるんだけど・・・》


αからのメンバーもいたらしい。レベルは80。


《・・・とにかく、俺はフォース、よろしくな》


レベルは一番高い。アコライトとファイターをマスターしないとなれない、パラディンの職らしい。レベルは93。


《私はエンチャンターのメルヘン》


ぺこっとエモを出す。


《プリーストのホルンです》


パーエモを出す。


《俺はシルビアです。ウェポンマスターやってます》


《レイだよ!モンクやってます》


《サクラだ。バーサーカーだな》


《ユウタです。プリーストです》


《トキにゃ!魔族にゃああ!》


それは職業じゃなく種族だ。


《エレノアです。錬金術師です》


古参メンバーがなんか押され気味だ。


《・・・とにかく、今日集まって貰ったのは、顔合わせの他、そろそろギルドを作ろうと思うんだ。ので、これから、有志だけで、プレギルド狩りを行おうと思う》


《プレギルド狩り、ですか?》


レイが小首を傾げる。


《ギルド狩りっていうのは、他のギルドに押しかけて金品や人材を奪う事にゃああ。エムブレムというギルドの旗印を奪われたギルドは、奪った人に絶対服従になってしまうにゃああ!!》


《何それ怖い・・・私はギルドに所属しなくていいかも・・・》


ユウタが怯える。違うからな。


《そ、そんな事実はないよ。駄目だよトキ、嘘をついちゃ》


《ううう・・・魔族の本性が囁きかけたにゃあああ・・・》


そもそも何故魔族なのににゃあなのか。


《ギルド狩り、っていうのは、ギルドメンバーで一緒に狩りに行く事。この固定PTはまだギルドではないので、プレギルド狩り、ってところだね。ギルドを作るのに、王冠ってアイテムが必要になるので、それを集める必要があるんだ。手伝ってくれる人がいたら、手伝って貰おうと思って》


王冠・・・クラウンか。かけらも、塊も、幾つもあるけど。まあ、別に珍しい物でもないしすぐに出るだろう。


《王冠、クラウンってアイテムは、かけらと、塊があって、ギルド作成に必要なのは塊。かけら100個で、クラウン1個になる。集団戦闘をしかける系の敵がかけら、稀に塊を落とすので、そこが人気の狩り場になっている。かけら100個集まる方が早いので、かけらを集めよう》


《面白そう!行きたい!》


《専用ダンジョンと違って、一般フィールドになるので、横殴りや溜め込みに注意してね。トレインはしない事》


《トレインは楽しいアレだよね・・・横殴りと溜め込み?》


《うん。MMOだから、マナーが大切でね。マナーを守らない人は、ノーマナーって言われちゃうんだ。嫌われちゃう。横殴りは、既に誰かがタゲをとってる場合に、横から攻撃しちゃう事。溜め込みは、魔物を大量に集めてしまう事だね。マップに沸く魔物の総数は決まっているので、誰かが溜め込んでしまうと、他の人が狩れなくなっちゃう》


ノーマナー、別名俺ルール違反。よほど酷い場合はともかく、付き合ってられない場合も多い。タゲ被り、ってのもあって、基本的に俺以外が悪い、ってルールになりがち。やっぱりインスタンスダンジョンが快適だ。


《よし、じゃあ行こうか。目指すは、ゴブリン村》


ぐー、みんなのエモがハモった。

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