第27話 2階と3階

湖の洞窟に着いた。レベル設定を40に設定する。


《じゃあ役割の確認を。サクラさん、トキさん、レイさんが前衛を。エレノアさん、ユウタさんが後衛を。俺が中衛やりますね》


《回復は任せて下さい》


ユウタ。


《回復と補助、私も気をつけるね》


レイ。


《適宜雷エンチャするか、大火力魔法使います》


エレノア。


《じゃあ行こうか》


グー、を出すと、みんなグーを返す。突入。


敵は、サハギン、フライフィッシュ、巨大蟹・・・40くらいの敵だが、基本前衛が一撃で倒す。離れた箇所は、後衛が片手間に飛ばした雷魔法で倒れていく。もう、普通に歩くのと変わらない速度で移動する。2階の階段につく。


《ちょっとぬるいにゃあ?》


普通はここまでさくさく進まない。前衛がクリティカル出しまくるのと、後衛の魔力操作が異常に早いせいで無詠唱で高威力を撃っているせいだ。


《もっと強い敵出ても良さそうですよねえ》


ユウタがぽりぽり頬をかく。


《さっきまで行ってたダンジョン歯ごたえあったよ》


言うサクラ。まさか俺が籠もってたダンジョン行ってたんじゃないだろうな。


《確かにちょっと温いかもねえ。制限ダンジョンにも色々あって、難易度が高いダンジョンだと、制限レベル+20レベルとかの敵が出る。ここは、ほぼ制限レベルと同じレベルの敵だから、初心者用だけど・・・慣れてくると刺激が少ないかな。とりあえず降りようか。基本的に、階層が進む毎に敵が強くなるので、少しは厳しくなるよ》


2階に降りる。パイレーツスケルトンに、レイス、紫色の大きめの蟹、ヤドカリ、浮いてるクラゲ。レベルは+3といった所、やはりさくさく進み、3階への階段。


《楽しいけど、やっぱり物足りないよー》


レイがやっと手をふる。


《僕でも余裕ですものねえ》


いや、エレノアも既に40レベルに達しているので、十分強いのだけど。


3階に降りる。敵の密度はちょっと増えたけど、やっぱりさくさく倒せる。レベルは+5と行ったところか。ここが最下層、かな。四角い大部屋が、複数の通路で繋がっている構造のようだ。北にボス扉が見える。このままさくっとクリアするかな。


《トレイン》


ぼそ、とトキが言う。


《ちょ》


俺がトキを止めようとするが、みんなトキに注目している。


《私が知り合いに拉致された時の事にゃあ。トレインでレベル上げたにゃあ》


《トレイン・・・ですか?それは一体?》


《簡単にゃ。回復と火力職を動線の中央に配置。そこで待機させつつ、大魔法等を準備させる。で、他のメンバーで敵をかき集め、攻撃範囲に入ったところで一気に攻撃で殲滅する。これで大量経験値ゲットにゃあああ》


そう、所謂MMOで一般的にやられる狩り方で・・・特にインスタンス形式じゃない場所でやると、めちゃくちゃ迷惑になって、周りからすげー嫌われる。このゲームはインスタンス形式だから問題ないけどね。ただ、火力職に敵のタゲが集中したり、倒し切れなくてそのまま全滅したり、ハイリスクハイリターンの狩り方になる。後作業が単調だから眠くなったりする。移動狩り、固定狩り、と言った区別もある。前のゲームでは、命優先だったので、こういったレベル制限掛けた状態でやったりしていた。


《やってもいいけど・・・危険性だけは認識しておいてくれ。まず、攻撃する職は、敵の攻撃が集中するので、気をつけて欲しい。大魔法とかは、敵の攻撃、ヘイトが集まり安い。次に敵を引きつけてくる前衛だけど、敵の攻撃が集中すると、防御や回避の低下が発生し、一気にダメージを受け、倒れる可能性がある。攻撃が当たって動きが一瞬止められたりしたらそのまま離れた場所で殺される可能性もあるし。集める敵の量は気をつけて欲しい。慣れない内は練習も兼ねて、少しずつ、だ》


《やってみたいー!楽しそう!》


レイが嬉しそうに言う。いや、回避型のモンクだと、あっさり蒸発するからね。


《少しずつ、少しずつ、だからな?》


ぐー、みんながエモを出し、散開した。俺も集めるか。


敵の前を通り、タゲが切れないくらいの距離を保ちつつ、少しずつ移動。5体程敵を引き連れ、ユウタとエレノアの待つ大部屋に入る。向こうからレイが・・・20体くらいいるぞ?!サクラが10体程、トキが10体、合計45体程が、わらわら部屋に集中する。2人の詠唱は完了している。円を描きつつ、少しずつ近づく、そして・・・



2人同時に放った・・・いや、融合魔法?!想定してたより遥かに広い範囲に、想定外の威力の雷が荒れ狂い・・・数瞬の後には、焼け焦げた死体のみが残る。トキがさっさとドロップを漁っていく。強いな・・・


《凄いな、2人とも。びっくりしたよ》


《はい、せっかくなので練習してみました》


《お役に立てて良かったです》


ユウタ、エレノアが嬉しそうに言う。


《魔法も楽しそう・・・》


レイが悔しそうに言う。


《美味しい~》


トキがくるくる回りながら言う。確かに一気に経験値が入った。・・・俺の場合元のレベルがアレなので、ほとんど入ってないだろうけど。


《次々行くよ!》


レイがぐー、エモを出した。

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