第24話 勝利と、その先

ザシュッ!


サクラの一撃が、巨大ムカデを切り飛ばす。


ゴウッ!


エレノアが放った魔法が、近づこうとしてたキノコを焼き尽くす。


《ほいっと》


レイの蹴りで、マジックゴーレムが壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなる。


そそそ、とドロップを収拾するトキ。壁に掛かっていた剣が動き出し、トキに襲いかかるが、危なげなく躱し、斧で切断し・・・ドロップを漁っている。


《燃えろ!》


ユウタの放ったファイアストームが、3体のガイコツを焼き尽くした。本当に慣れてるなあ。別に武器の強さで強くなった、と言うよりは、強い武器を使っているという思い込みが良い作用をしてそうだ。あれ以降、手を出さなくても上手く敵を倒している。


ボス扉・・・この先に、さっきのダンジョンマスターがいる。


《どうする?今なら引き返せるけど。多分、みんなにはまだ早いかな》


《危険・・・なのでしょうが、行ってみたいです!》


エレノアが前に進む。


《行こう!》


レイがすっと前に出て、扉を開けた。


扉の向こうにいたのは・・・リッチー。取り巻きにレイスもいる。


「まさか此処まで辿り着くとは。想定外ではあるが、実験材料として使ってやろう」


後ろの扉が閉まる。逃げられないらしい。


《行くぜ!》


サクラが敵に飛び込む。その剣じゃ切れないぞ。


ボウッ


笑いながらそれを見るリッチー・・・斬る直前にユウタの魔法が発動、剣が聖の光を帯びる。


ザンッ


リッチーの上半身を切り飛ばした。返す剣で、レイスを切る付ける。


ゴウツ


エレノアの魔法、ソウルレイがレイスを射貫く。


自己エンチャントした拳で、レイがレイスを牽制。


リッチーが再生し、魔法の詠唱を始め・・・聖の光を付与された斧で、トキがリッチーを真っ二つにした。レイがラッシュで追い打ちをかける。そして・・・ぱっとレイとトキが離れ、道を空ける。エレノアとユウタが同時に魔法を放ち、リッチーを貫いた。


「ぐおおおお・・・貴様等・・・・」


リッチーが塵となって崩れていく・・・凄いな・・・適正レベル70か80くらい、決して敵う相手ではないはずなのだけど。


《や・・・やったあ!》


レイが飛び上がって喜ぶ。エレノアとユウタ、サクラとトキがハイタッチしている。


《やりましたよ!》


レイがこっちに駆けてくる。んー・・・あの様子だと多分・・・


「貴様等・・・私を怒らせた事を・・・あの世で後悔するがいい。最早実験材料にするとは言わぬ、永き苦しみを負わせられぬのは残念だが、消し炭となるがいい」


初心者殺し、という奴だろう。序盤のダンジョンで、序盤では絶対敵わないボス。恐らく、勝てない、という体験を味合わせる為かな。ようやく自信が出てきたプレイヤーを、一気に絶望に叩き落とす。そこで奮起し、頑張るのか、それとも諦めるかは、そのプレイヤー次第。まあ、俺達が情報を持ってないだけで、有名な話だったりはしそうだけど。昔やってた方のゲームだと、死亡はそのまま永久ログアウトだったので、みんな結構必死に情報集めもしたし、かなり安全ライン取りながらやったものだけどね。本気になった後のボスは、レベル300・・・400くらいあるかもしれない。


《そんな・・・》


レイが絶望してへたり込んだ。他のメンバーも似た様子だ。相手の強さを感じられるだけでも凄いけどね。

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