第21話 セカンドジョブ

《奥さんに呼ばれた。悪いのだけど、みんなで狩っててくれるかな?この辺りをうろうろするだけなら問題無いと思う》


ライトはこっちを見て、


《シルビア、君結構慣れていそうなので、みんなを見てあげてね。別ゲームとかやってたのかな?》


《そうですね。別のゲームを結構長くやっていました》


まあ、少し子守するくらいならいいだろう。


《じゃあ、俺は街に戻って離席してるから、何かあったらPTシャウトで御願い。時々ログは見るようにするよ》


そう言って去って行く。


《やった、奥行こう奥!レア欲しい!》


レイが元気になった。


*《遠くに行っちゃ駄目だよ》


ライトがPTシャウトで話かけてくる。PT同士なら、離れていても聞こえる全体チャットだ。


*《大丈夫ー。分かってますー》


レイがPTシャウトで答える。何で早速使いこなしてるかなあ。しかも嘘だろ。


《まあ・・・行こうか》


みんなを先に促す。まあ俺自身暇だしな。


キキ・・・


ラットが5体程向かってくる。ちょっと多いな。溜まってたのかな。


シュシュ


2体、矢を放って間引き、3体にする。残りが向かってくる。


わらわらっと、5人が迎え撃つ。うーむ。


《エレノアさん、ちょっと離れて魔法詠唱。ユウタさん、エレノアさんの近くで、離れた場所から全体俯瞰しつつ、回復。後、エレノアさんに敵が来たらタゲをとって引き離す役を。レイさんはモンク志望?サクラさんと一緒に敵を引きつけたり、タゲとりつつ逃げたりして攪乱を。トキさんは防御も回避も低いので、後ろから殴ったり、タゲとってサクラさんに運んだりして》


指示を出すと、みんなその通りに動く。素直だなあ。


《エレノアさん、詠唱終わったら合図。前衛は、エレノアさんの合図聞いて横に避けたり、敵を突き飛ばしたりして距離をとって》


《行けます!》


レイがラットを蹴り上げる。エレノアがレイが蹴り上げたラットにファイアボルトを放ち・・・ラットが悲鳴を上げて沈黙する。


サクラが1体、倒す。残り1体を前衛3人で叩き、倒した。


《凄い、何かPTしたって気がする!》


レイが興奮気味に言う。


《魔法、楽しいですね!》


エレノアが言う。


《離れた位置で戦況見て、ですか。凄く情報が流れてきて、でも楽しかったです》


と、ユウタ。


《楽しいな!》


サクラ。


《私でも貢献出来たかにゃあ?楽しいにゃ》


トキが素材を剥ぎながら言う。


基本、好評なようだ。


《セカンドジョブも、検討してみるといいよ。良かったら相談に乗るよ》


レイを見て、


《レイさんはモンク志望?ステータスは、AGIメイン?お勧めは、ファイターかな。アコはレベル上げが大変だからね。防具も装備できるし、体力も上がる。攻撃スキルも便利だ》


《なるなる・・・うん、セカンドをファイターにしてみる》


次にサクラを見て、


《サクラさんは、前衛職だし、セカンドジョブなくても行けそうだね。セカンドジョブをとると経験値が分散されるから。早くファーストジョブをカンストして、二次職を急ぐのも手》


《うん、そーするよ》


うんうん、と頷くサクラ。


ユウタを見て、


《ユウタさんは、セカンドにメイジとかどうかな。全体の流れを見るのが得意そうだし、レベル上げも楽になる。ファイターにした方がソロは楽になるけどね》


《メイジにしてみますね》


にっこり頷く。


エレノアを見て、


《エレノアさんはどうする?セカンドジョブをとると、体力は増えるから、死ににくくはなるよ》


《僕はアルケミスト志望なので、前提条件である商人を取ってみようと思います》


《なるほど、アルケミスト志望なら商人をとった方がいいね》


後は・・・トキ、


《トキさんはどうします?》


《私はシーフをとってみようかと思うにゃー。戦闘能力も上がるにゃー》


《良さそうですね》


はいはーい、とレイが手を上げる。


《シルビアさんー》


《何かな?》


《セカンドジョブってどうやってとるんですかー??》


知らん。


《ごめん、それは知らないんだ。誰か知っていますか?ライトさんに聞くかな・・・》


《え、シルビアさん、セカンドジョブつけてますよね、ソードマンって》


・・・く・・・余計な事に気づく・・


《まあそれはそれとして、誰か分かりますか?》


流す事にした。ユウタが反応する。


《あ、ヘルプに書いてありました。ギルドでできるみたいです。転職も》


《なるほど、じゃあ、サクラさん以外は、今からギルドに行って転職してきますか?サクラさんは一緒にここで遊んでいますか》


《了解した!》


サクラがむんっと剣を構える。他のメンバーが、ぞろぞろと、来た階段を登っていく。さて・・・ちまちま潰すか・・・といってもこの辺りの敵を倒してもあまり面白くも。


キー


こうもりが2体、ラットが3体くる。こうもり1体とラット3体を射落とす。


《なー、シルビアさん。シルビアさんが攻撃したとき、大きなエフェクト出てるの何でだ?》


《多分、トゥルークリティカルかな?弱点っぽい場所を狙って攻撃すれば、クリティカルやトゥルークリティカルが出る。威力が一気に上がったり、防御を一部無視したりするので、狙って出せるようにするといいよ。ステータスが上がったら、何もしなくても自動的にクリティカル出たりするけど》


《ふむ・・・》


試行錯誤しながらラットを狙っている。やがてコツをつかんできたらしく、時々クリティカルが混じり始めた。群れを見つけては、敵を2体程に減らし、後はサクラが倒す・・・といった事をしながら時間を潰していた。


しばらくすると、他のメンバーも戻ってきたので合流。


《じゃあ行こうか・・・そうそう、PT活動をする上で決めておく事があるけど、分かるかな?》


《さっきみたいにPTでの役割ですか?》


レイが小首を傾げながら聞く。


《勿論それもあるけど、宝の取り分かな。今回はレアは望めないけど、レアが出た時にもめたりする。後は敵からの他の戦利品、素材等。拾いやすい職ばかりが拾って、拾った者勝ちだと、不公平になってしまう》


《それは・・・そうですにゃあ》


トキが頷く。


《今回は、ドロップしたレアと収集品は、後からお金に換えたりして分配、直接取得した高レアに関しては、取得した人の物、としよう。この直接取得は、貢献度やランダム等、平等に決まるから。今は経験値とアイテムが各自取得だから貢献度が大きいけど、完全な公平分配にすると、貢献度に関係なく完全にランダムに分配される。さっき言ったもめ事を防ぐ為のシステムだね》


《分かったにゃー。収集品やドロップしたレアは私が集めておいて、後で分けるにゃー。荷物集めたり持ち運んだりは得意にゃー》


商人は結構そういう役割を担ったりする。


《戦闘の進め方はさっきの通りでいいかな。何か気づく事があったら言ってね》


》》》

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