第71話 フルーツサラダブラマンジェとほろ苦まかないスープ

 一皿で美味しさと栄養を補給するとなると、スープが思い浮かぶ。

 夏のクールスープ、いいかもしれない。


 もしくは、野菜やハムなどを固めたゼリー寄せ。

 ブイヨンを使ってアスピックにしたらボリューム感も出る。


 寄せものにするなら、目先を変えてフルーツサラダのブラマンジェはどうだろうか。

 生のアーモンドの皮をむいてすりつぶして粉にしてミルクに混ぜてアーモンドの香りを移してこくを出す本格派のブラマンジェ。

 少し固めにゼリー寄せとサラダブラマンジェを作って、キューブ型にカットして、ピックを刺しておけば手を汚さずに食べられる。

 夏野菜を彩りよく選んで、オリーブやケッパー、ポアブルローゼでアクセントを付けて。


 ブラマンジェ寄せには、鮮やかでキュートな北欧の夏のベリー。

 リンゴンベリー、レッドカラント、クラウドベリー、ラズベリー。

 赤やオレンジのサマーカラーが、ブラマンジェの根雪から顔を出す。

 酸っぱさと甘酸っぱさ、そして、つるんとした甘さ。


 スープはマグに入れてサーブすれば片手が空く。

 冷たいスープとひんやりスイーツ風なサラダブラマンジェ。

 めまぐるしさをクールダウンしてくれる組み合わせだ。


 そこまでイメージしたところで、料理にとりかかることにした。


「寄せものを先に作って冷しておいて、その間にスープね。ただ冷たいだけだと、おなかがふくれないから、どうしようかな」


 おなかがふくれるもの、スープになるもので。

 

「そういえば、ビールのスープのレシピを見た覚えがある。どこだったかな」


 カフェオリオンのレシピノートだったか、ネコヤヤさんのリトルプレスだったか、記憶を辿ってみる。


「図書館で借りた、北欧のスープの本。確か、あれに載ってた」


 思い出したものの、その本は返してしまっていた。

 

「ビールを使うスープって珍しいから、じっくり読んで頭に入れたはずだから、作ってみよう」


 本は手元にないけれど、レシピは頭の中に書き込まれている、はず。

 私は、手早く材料を揃えて、まかない作りにとりかかった。

 



 

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