変身ドライバー
ノザ鬼
第1話
走る二人の男。
一人は二十歳前後の若さであろう。もう一人は四十路を超えたあたりの中年といったところであろう。
若い男は、筋骨隆々としていて精悍な顔立ち。正義感漲(みなぎ)る鋭い目を持っている。
中年の男は、若い男と正反対で頭脳派といった雰囲気。掛けた眼鏡が、印象を更に強くしている。
その二人が息も絶え絶えに必死で走っている。特に、中年の男は苦しそうだ。
何かから逃げている? 逃げているのではなく、追われているのだ。単に逃げるだけなら、後ろを振り返ったりしないで走ればいい。
少し視線を彼らの後ろへと向けると、追っている者が見える…。一人ではないから、追跡者は者達であった。
「追え! 絶対に逃がすな!」
追跡者達の先頭にいるものがリーダーであろう。他の者達に檄を飛ばしている。
前を行く二人が、角を曲がったところで、突然終わりを迎えた。
袋小路。それが終わりの名前。
追い詰められ窮地に陥る二人。
覚悟を決めたように中年の男が持っていた銀色のアタッシュケースを開く。中には緩衝材に守られたものが収められていた。
「これを使え!」
取り出し、若い男に渡す。
「これは?」
「変身ドライバーだ。身体能力を強化する強化服を纏える。」
「そんなものを持っていたのか…。」
「これが悪用されたら世界は終わりだ!」
「解った…。」
若い男も覚悟を決めたようだ。
「腰に巻け! 後は、ドライバーがナビゲートしてくれる!」
変身ドライバーを腰にセットする若い男。
「起動コマンド『HENSHIN』を叫べ!」
深いため息の後に、
「HENSHIiiiiiN!!!!!」
叫ぶ!
腰に巻かれたベルト状のドライバーに光が点り、起動されたと解る!
ナビゲート音声が流れる。
「変身ドライバー起動します。」
「始めての変身ですね。」
「先ずは、ユーザー登録をお願いします。」
変身ドライバーが、光のキーボードを男の前に映し出す。
質問の答えを入力していく。
「お名前は?」
「住所は?」
「お電話番号は?」
「Eメールアドレスは?」
「生年月日は? 西暦でお願いします。」
「以上で、ユーザー登録が完了いたしました。」
「変身ドライバーは、声紋と生体を認証するシステムになっており、ユーザー以外は変身できない仕様となっていますので、ご安心してお使いいただけます。」
「現在アンケートにお答えいただくと、Sレアの装備が貰えるキャンペーンを行っております。」
「更に、アンケートにお答えいただいた方の中から、SSレア装備が当たるキャンペーンも行っております。」
「SSレア装備をご使用いただくと、上級フォームに変身でき、さらなる進化により活躍が期待できます。」
「アンケートにお答えいただけますか?」
「Yes/No」
もちろん、《Yes》を入力。
** アンケート中 **
「第一問。変身しようと思ったきっかけは?」
「第二問。変身した感想は?」
「第三問。変身後の使い心地は?」
「第四問。欲しいアイテムは?」
「その他。何かあればご自由に。」
「アンケートありがとうございました。」
「Sレアアイテムを、ご登録の住所に発送手続きいたました。後日、お受け取りください。」
「初めてご登録の方に、初変身キャンペーンとして、【ヒーロー魂】の購入割引サービスが実施中です。期間は三日間、是非ご購入をご検討ください。」
「【ヒーロー魂】を消費して、ヒーローガチャを回す事ができます。」
「ガチャには、Sレア、SSレア、そしてSSSレアのアイテムが含まれております。」
「SSSレアのアイテムをご使用いただくと最上級フォームに変身できます。」
「一気に、最上級フォームのチャンス!他の変身ヒーローに差を付けられます。」
「以上、宣伝でした。」
「では、変身ドライバーのOSのバージョンを確認します。」
ーー 確認中 ーー
「最新のバージョンが見つかりまた。」
「バージョンアップを行います。電波の強い所で待機してください。」
「ダウンロードには、10分程かかります。」
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「ダウンロードが完了しました。」
「インストールを開始します。」
「インストールは、約5分の予定です。」
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「インストールが完了しました。」
「夢の変身生活をお楽しみください。」
「変身ドライバーを再起動します。」
ーー 再起動中 ーー
「変身コマンドを入力してください。」
「変身コマンド入力待機中。」
「変身コマンド入力待機中。」
「変身コマンド入力待機中。」
「変身コマンド入力…。」
「変身コマンド…。」
「変身…。」
「…。」
変身ドライバー ノザ鬼 @nozakey
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