第23話 無境界退魔結社ケルベロス

 人は誰もがコンプレックス劣等感を抱えている。 

 本人にとっては恥ずべきコンプレックス。

 でも僕から見たら素晴らしいチャームポイント。

 女優のような美人。だけどアニメ声。そのギャップが萌えるという何気ない一言。

 その結果、虎の尾を踏み、逆鱗に触れ、地雷を踏んだ僕は死にかけた。

 もちろん僕に悪気は全く無い。


 しば先生は次の日になってもまだ怒っていたので、

「邪神の復活を防ぐ使命があるならそんなことでイチイチ腹を立ててはダメです。大願たいがんの前ではちっぽけな事です。もっと人間としての器を大きくしてみてはどうでしょう」

 と柴先生に面と向かって忠告したら大蛇が襲ってきたので脱兎のごとく逃げ出した。


 このように時には衝突もしたが、それはそれとして僕と柴先生とブルーノの三人の間で連絡先を交換した。

 次に、柴美和子しばみわこ引田文悟ひきたぶんご、ブルーノ・サンマルチノの三人一組のユニットを『無境界ボーダーレス退魔結社ケルベロス』と名付けた。三つの頭を持つ冥界の番犬の名前は中二病丸出しなので反対したが一対二の多数決で負けてしまった。

 ちなみに僕が候補に上げたのは、黒い三連星、 三ツ星キラリ、三ツ矢退魔みつやタイマ~などだ。我ながらいいセンスだとは思うが、二人からは相手にもされなかった。

 

 更には簡単な協定を結んだ。

 なお結んだ協定は次の通り。 

 一、それぞれの組織の特徴と個人の特性を活かし、よく協力し合うこと。

 一、報・連・相の徹底。

 一、連絡が来たら速やかに応対すること。

 一、お互いがそれぞれに敬意を持つこと。

 一、One for all and All for one(一人は皆のために、皆は一人のために)

 一、公衆の面前でみだりに全裸にならない。


 協定は結んだが、最後の一文だけは守れそうもない。

 こうしてはなはだ不本意ではあるが、なし崩し的に僕も協力する羽目になってしまった。

 しかし後に、僕はこの協定をフルに利用して、あるトラブルを解決するのだから世の中はわからない。

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