巻末資料:『菊華繚乱ブーツトゥー』プロット
[菊華繚乱ブーツトゥー プロット]
【概要】
「彼女の靴音は菊花に似ていた」
〜靴フェチが人間の彼女も愛そうと頑張る話〜
事故で車椅子になった靴デザイナーの女性と、その家事手&プロデューサーとして同棲する靴フェチ主人公の恋愛小説。
主人公はブーツを愛しており、ロングブーツの似合う彼女が好きだった。
しかし彼女はもう靴すら履けない。その現実を受け入れられないまま日々回想に沈み、惰性で世話をしている。
女性は「ブーツが好きだ」と言っていた主人公の興味を、ブーツをデザインし続けることで繋ぎとめようとしている。
このズレにお互い気付けていない。
華美な表現で主人公が回想に耽るパート、淡々とした文体で現在の出来事を綴るパートが交互に展開される。
物語の進行と共にその区別が淡くなり、伴って主人公の気持ちの整理もついてくる。
最後には現実を受け入れ、新たな気持ちで彼女を大切にすると誓う。
文体の変化と美麗で読ませ隊。
総文字数二万時程度。
【登場人物】
-ヒロイン 桂 亜由
二十代後半の女性。売れっ子のレディース靴デザイナー。
数年前の事故で足首から下がなく、車椅子に乗っている。
気が強い。すぐ舌打ちする。口も悪い。いつも不機嫌そうな顔。
よく車椅子の肘掛で頬杖をついている。育ちはあまりよくなさそう。
不遜な態度は不安の裏返しだったりする。
車椅子で美容室に行くのが恥ずかしくて髪は伸ばしっぱなし。
プライドは高いので外に出なくても綺麗に化粧している。
-主人公 沢原 良夜
短大の経済学部を出、二年ほど経った青年。ヒロインの恋人。
ヒロインのマネージャー・プロデューサーとして打ち合わせや事務処理を担う。
靴フェチを拗らせており、靴の履けなくなったヒロインから興味を失くし気味。
普段の性格は穏やかな常識人。
メガネ。眼鏡を外すことで意図的に彼女の表情を見ないことがある。
【粗筋】
序
-起
「彼女の靴音は菊花に似ていた」
主人公が庭の菊を摘み、香りや味を楽しむ。恋人から離れ物思いに耽れる数少ない時間。
「僕、ブーツが好きなんだ」と恋人に言ったときのことを回想。
恋人のロングブーツ姿がどれほど美しかったかの回想。
過去の彼女の説明。芸術に縁のないごく普通の短大生。
-承
主人公は菊を花瓶に生けたのち、彼女の部屋に戻る。
彼女は新作の靴の図を印刷しながらメールを打っている。
「『うちの工場じゃこの布でこのコサージュは縫えない』なんて企業努力が足りないのよ」
舌打ちする彼女を宥め、印刷物をクリアファイルに詰める主人公。
現在の彼女の説明。売れっ子靴デザイナー。
(この辺でちょっと肩の力抜けるような会話を挟みたい)
-転
主人公は靴製造社の者と打ち合わせに向かう。
携帯でスーパーのチラシをチェック。
現在の主人公の説明。彼女の家事手&プロデューサー。
電車に揺られながら物思いに耽る。
「どうして芸術に縁などなかった彼女が靴の絵を描き始めたかはわからない」
「唐突だった。しかし彼女にも僕にも才能があったのだろう。十分すぎるほど収入は潤沢だ」
-結
銀座の喫茶店(千疋屋がモデル)で打ち合わせ。
菊の花弁が浮いたジュースに見とれ、つい物思いに耽る主人公。
相手の声かけで我に返る。
相手は彼女を「偏屈で怒りっぽい。扱いづらいから主人公さんが居て助かる」と評する。
「昔はそうじゃなかったんだが」と主人公は苦笑する。
破
-序
夕食の材料を買って主人公帰宅。
彼女は部屋に籠って新作を練っているようだ。
主人公は食用菊の花弁をむしりながら物思いに耽る。
ブーツの彼女を連れてあちこち行ったことの回想。
(ほぼ靴の話。読者がそろそろ「あっこいつ靴フェチだキモイ」と気付けば嬉しいな)
-破
夕食の時間。菊の花を散らした綺麗なサラダ。
疲れた彼女はサラダの皿を取り落とし、癇癪を起こす。
「そんなキーキー怒らなくてもサラダくらい僕のを分けてあげるのに」
「サラダがどうこうじゃあないのよ。自分で拾えないから怒ってるのよ!」
彼女の言い分がよくわからず動揺する主人公。
-急
大泣きする彼女をやっと宥め寝かしつけた主人公。
(部屋の様子を詳細に描写。仕事場ながら女の子らしさのある部屋)
書きかけの日記が置きっぱなのに気づく。
最近デザインが上手くいかないこと、女らしく家事やお洒落ができない自分への嫌悪、
ブーツを作り続けなければ見捨てられるのではという不安が綴られている。
ズレてこそいるものの、興味が離れつつあるのを悟られて焦る主人公。
急
-起
翌朝。主人公のPCにメールが。
彼女がデザインした靴のCMを撮影するから、もし良ければ見に来ないかとのこと。
主人公はとても行きたがり、彼女も承諾するがどこか不安げ。
身支度をしながら何十分も鏡を見ている。
-承
よく考えれば彼女にとってすごく久しぶりの外出。
思わず靴箱を開け、ブーツを選んでやろうとしてしまう主人公。
(めちゃめちゃいっぱいある。クローゼット一個使ってても良いかもしれない)
彼女と共に都内のスタジオへ。
移動中、車椅子が揺れたり人にぶつかったりする度に舌打ちする彼女。
だんだん元気がなくなっていくが主人公は気付かない。
-転
スタジオに到着。
舞台には形も色もさまざまな菊の生花がいっぱい敷き詰められている。
ブーツで踊るモデルたちに、目を奪われる主人公。
綺麗に並べられたブーツにも生唾を飲む。
ものすごく久しぶりの「ときめき」を感じる。
(直接的に勃起を描写するかは要検討。車椅子の高さなら股間は目の高さなはず)
ふと気付くと、彼女は隣で声を殺して泣いていた。
(自分の勘違い、主人公の靴フェチに気付いてしまう)
-結
家に帰り、彼女の風呂を手伝う主人公。
彼女「ごめんね。綺麗な靴履けなくて」
主人公「そんなこと言わないで。靴を履こうと履けなかろうとキミは綺麗だよ(大嘘)」
風呂後、彼女が着替えている間、靴箱から昔のブーツを取り出す。
ブーツにしか興味がない気持ちも、自分を愛してくれる彼女が大切なのも本心だ。
脚部分を愛撫し、靴先にキスしながら、靴の忘れ形見として彼女を大切にすると誓う。
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