第三記
「ん、もう朝か」
凛は起きて近くの水溜まりで顔を洗った。
「冷たっ」
季節は秋に入ろうとしている。
自分の身支度を整えて朝ごはんの用意をする。
朝は、ツナ缶とビスケット。
水を沸騰させ、飲み物を作る。
その匂いにつられて彩も起きた。
「おはよー」
「彩、おはよう」
彩も身支度を整えて朝ごはんを食べた。
「今日は何しよっか?」
凛はバッグの中身を確認した。
「食べ物の量が少ないかな、あと飲み物もできれば」
「よしじゃあ、あそこの奥に見える横に広い建物に行こう!」
そして二人はショッピングモールの残骸へとバイクを走らせる。
ガタガタな道だがさすが我が国の誇っていたバイクなだけあってぐんぐん進む。
「ねー凛、あれ何?」
視線の先にあるのはタイヤではない、ゴムでつながったベルトがついた乗り物がある。
「あれは戦車だよ」
「爆弾投げてくるやつ?」
「ある意味間違ってない」
残骸はまだいたるところに落ちている。
建物や戦車、一般車や砲弾など。
「彩、余所見しちゃだめ!」
次の瞬間、鈍い音が瓦礫の山を響かせた。
「いったたたたぁ」
彩はとりあえず無事なようだ。
しかしバイクは前タイヤがパンクしてしまっている。
「ありゃりゃ、これじゃ使えなくなっちゃった...」
「そんなことより平気?大丈夫?怪我してない?」
彩はひざとひじに擦り傷を負っていた。
「怪我してるじゃん!絆創膏は...」
「大丈夫だよこんくらい」
「大丈夫なわけ無いじゃん!こんな瓦礫で怪我して菌とかに感染したらどうするの!」
凛は本気だった。
「彩がもしいなくなっちゃったらどうするの!彩がいなくちゃなにもできないんだよ」
「まったく、凛は寂しがりなんだから。わかったよ、消毒しよ」
バックからアルコールを取り出して清潔なガーゼを浸した。
「痛かったら言ってね」
「痛い」
「まだ触ってすらないけど...」
「滲みるから嫌いなんだよ」
その後アルコールで消毒して絆創膏を貼った。
「うさぎ柄だ!凛もかわいいね」
「うるさい、ばか」
「それより...どうやって移動しようか」
バイクはプスプス音をたてて壊れている。
「うーん困ったな」
二人はあたりを見渡したが残骸ばっかり。
しかし凛は気づいた。
「あそこにまだ建物がある」
「とりあえず行ってみよー」
歩いて移動してみるとそこはなにかの売店だった。
「あ、これコンビニだ」
「おーこれがコンビニかー」
「コンビニならいろんなものが残ってるかもしれない」
「じゃあ、入ろっか!」
二人はコンビニの残骸に足を踏み入れたのだった。
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