第二記
まだ国内紛争だけだった頃に幸田 凛は普通の家に生まれた。
といっても母子家庭で父はいなかった。
幸い地方のドがつくほどの田舎だったのであまり被害がなかったのだ。
凛は昔から静かで読書が好きだった。
静かではあるがなぜか読んでる本はだいたい登山や釣りなどといったいわゆるアウトドア系だった。
そんなことあってグッズだけは持っていたりしたが使ったことは無い。
そんなある日、彩が家に来た。
彩は孤児院から養子として迎えられたのだ。
その孤児院は紛争に巻き込まれる危険地帯になってしまったので養家を探していた。
彩は運動が得意で凛の読んでる本に興味津々になり、凛も趣味があったのですぐに溶け込めた。
家族で普通の暮らしをしていた。
彩は田畑を手伝い、凛は家の掃除、母は出稼ぎに出て順風満帆な生活をしていた。
山奥に秘密基地など、凛も外で遊ぶようになった。
しかし、長くは続かなかった。
紛争が激しくなりとうとう他国まで巻き込んでしまったのだ。
すぐにこの国は他国に攻め入られてしまった。
凛と彩は山奥に秘密基地という名の地下シェルターに逃げ込んでいた。
そこには食べ物も湧き水もあり、なんとか暮らせていた。
ある日の深夜に警報とともに爆音ととてつもない揺れが襲った。
何事かと外を見渡してみれば外は一面火の海だった。
――空襲だと凛は分かった。
そして数日後、揺れによって潰れそうな秘密基地を出て行くことにした。
外は瓦礫と灰、燃え残った木々しかなかった。
とても静かだった。
そしてきれいな空だった。
銃声も爆撃も木々の揺らめく音も、なにもなかった。
まるで生物がいなくなったかのように。
凛は絶望した。
これからどうしたらいいのか、なにができるのか。
彩はもっと絶望したかもしれない。
それでも凛は生きたいと思ったのだ。
たとえ世界が瓦礫に埋もれていまっても私には彩がいる、それだけでいい。
だから生き残る方法を探すんだ、目標をたてるんだと。
こうして二人の長い物語が始まった。
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