終焉世界の二人組
あしがらきかん
第一記
「ねえ彩、今日はここで休まない?」
「もう少し進んでもいいじゃーん」
彩はまだ進みたそうにしている。
「私もう運転したくないよ...」
凛は停止して降りた。
「そろそろガソリンもなくなっちゃうしエンジン切っとこう」
「これがないと移動大変だもんねー」
瓦礫の端っこにカブを停めて座り込む。
「凛、お腹すいたー」
最後にご飯を食べたのはいつだっただろうか、ふと凛は考える。
「最後に食べたのが...12時間前か、食べようか」
バッグからブランケットやスープの缶詰と乾パン取り出して開ける。
アルコールストーブに火をつけて缶ごと暖めた。
暖めている間、二人は空を見上げていた。
きれいな星空だった。
燈らなくなった街灯はしずかにたっている。
「あっ、ぐつぐついってるよ!」
彩は夜景よりご飯らしい。
「まったく...わかったよ」
バッグからカップを取り出して分ける。
温かいスープの匂いで食欲がでてきた。
「それじゃ、食べようか」
「「いただきます」」
二人はただただ食べていた。
貴重な食料。
この世界では安定したものはない。すべてがなくなった世界。
最初は海面上昇によって起きた土地の国内紛争。
それはやがて世界に広がっていった。
世界中で大戦が起き、人間が築き上げてきた繁栄はなくなっていった。
残されたものはごくわずかな食料や兵器、文明しかない。
「昔はここに新幹線が走ってたのかな」
「そうなんだ、ってあれなんで新幹線ってわかるの?」
瓦礫に埋もれ線路は半分くらい埋もれている。
「新幹線は電車と違ってレール幅が少し広いんだ。
あとここらへんはあまりぐにゃぐにゃしてないから速度のでる新幹線なんじゃないかなって」
「どんくらいはやかったの?」
もともと住んでたところが田舎だったので新幹線はあまりなじみがないのだ。
凛はカブを見つめながら答えた。
「私たちが乗ってるバイクの十倍くらいはやい」
彩は驚きすぎて声が出ないようだ。
「でも昔の話だよ。いまじゃそんな早い乗り物なんかないけどね。」
「へー、そうなんだ。いつか乗ってみたいなー」
「いつか...ね」
そのまま二人は寄り添うようにして眠りについた。
なにもないすべてが終わった世界。
言い換えれば、静かで自由な世界。
そんな中、目標を立ててなんとか生きようとする女子高生二人のお話。
「おやすみ...また明日ね...」
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