赤く色づく葉の落ちる島
やっぱりさ、女の着飾ったのはいいもんだと思うんだ。着飾ってない女も、そりゃあいい。でもさ、身なりを気にして、いろんな工夫して、赤や桃色や、いろんな色で顔を塗ったりしてさ、
それが自分のためだったら最高だと、そう思うんだよな。
そうだろ?
お前はどうなんだ?
ああそうか、記録だったな。
ここも書くのか。まあいいか。
なかなかの居心地がいい島だったよ。季節のある島だ、いまは秋だって言ってた。
上へ伸びる形の、ほうきを逆さまにしたような木がよく生えてるんだけど、秋で赤くなった葉っぱがびっしりついてて、たいまつみたいになってた。
下には落ちた葉っぱがやっぱりびっしりで、世界が真っ赤でそりゃあ見ものだったよ。
見たかったか。
そんな顔すんな、悪かったかな。
記録者ってのもな、あれだよな。
気にしてないのか? うん、そうだな、あとでもう一回島に降りるから、あの葉っぱも取ってきてやるからな。
で、その葉っぱだけどさ
ヒンメルって発音するらしいんだけど、綺麗なやつを取ってきて、洗って、火でちょっとあぶると自分を火の仲間だと勘違いしやがるのか、いい具合に辛くなるんだと。
匂いのいい野菜を爪の大きさくらいに刻んで、砕いた塩と、香草と、あと酢だな、ちょっといいやつな、を、入れて、そんでこのヒンメル砕いて入れて、
夜に釣った魚を、皮焦がすくらい焼いたのにかけて食うわけ。
焔の姫のベール焼きなんて洒落た名前がついてたけど、
ようは焼き魚に香草の酢漬けをかけたやつ……
んだよ、実際そうだろ。
まあ確かに、洒落た女がいいって最初に言ったのは俺だよ。名前まで気取っておしゃれしてくれる料理があっても、そのおしゃれまでうまさってわけだよな。
洒落た男もいいものだって……俺のことか?
そう速く否定しなくてもよくね?
ああ、焔の姫と対になる料理があったのか、見落としたな。また行ってくるか。
葉っぱ、拾ってきてやるから。
大島の月の御方のぶんもな、拾ってきたら、ナナイあたりが本で押して飾りにでもしてくれるだろ。
じゃあまたな。
明るい水多く巡る年
11の月20日
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