page・2 封印
で、フレンズと化した後は島を出て行くだの一緒に暮らそうだの問答を繰り返したが、俺の方が折れてジャパリパークに居を構える事になり、現在に至る。
とりあえずかばん達とは一旦別れ、俺はここ数日の間だけ図書館で居候させてもらう事にした。博士曰く「迷惑を掛けられた分うんとこき使ってやるので覚悟しておくです」との事。まぁ…それぐらいならしょうがねぇか
「ところでリューク…お前火は平気ですか?」
「なんだよ突然」
「いいから質問に答えるのです」
2人の質問の意図がよく分からないが…とりあえず正直に答える事にした。
「そりゃあまあ平気だが…死神が火傷なんてする訳ないし」
「ほほぅ」
「じゅるり」
…なんかとんでもない判断ミスを犯してしまった気がする
………
「クソあのチビ鳥共…最初からこれが目当てで俺をここに置きやがったのか」
愚痴ってもしょうがない。とりあえず簡単な料理に取り掛かるとするか
でも料理なんてやった事ないんだが…えーとまずは火を起こして水を温めてる間に野菜を包丁で切って……
「痛っ!」ザクッ
ゆ、指切った…げっ!おいおい血が出てるじゃないか……
どうやらヒトと化した影響で痛覚が備わり、身体には血が巡る様になってしまったみたいだ。元の死神の身体だったらこんな事にはならなかったのに…全く不便な身体になっちまったもんだぜ
「なかなか苦戦してるみたいですね博士」
「そうですね助手。ですがここは温かく見守ってやるのです」
結局俺が料理して出来たものはカレーの様なカレーではない様ななんか黒い暗黒物質的なものだった。博士曰く「とても食えたもんじゃないのです」そして助手曰く「これを料理と呼ぶのは料理に失礼なのです」などと散々な評価……今度かばんに会ったら料理を教えてもらおうかな
………
「ではリューク、お前をこの島のフレンズとして迎え入れる前に話しておきたい事があるのです」
「この2冊のノートについてですが……」ファサ
机の上に置かれた2冊のデスノート
一見ただのノートに見えるが、このノートに人間の名前を書くと40秒後に心臓麻痺で死に、死因を書けばその通りになり、死ぬ前の行動もある程度操って殺せるという恐ろしい代物だ。
…とは言ってもこれを使って殺せる生物はあくまで人間のみであり、動物がヒト化したフレンズの名前を書いてもなんの効力も得られない。だからこの人間のいなくなったこのジャパリパークにおいてはなんてこと無い普通のノート……だった筈なんだが
「同じ悲劇が繰り返されぬ様に……このノートは図書館の奥深くに封印しようと思うのです」
「お前に返してノートを落とされでもしたらセルークの様な化け物がまた生まれてしまうかもしれないので」
セルーク…セルリアンがデスノートを取り込んで生まれてしまった最凶最悪の死神
俺の姿とノートの性質をコピーし、フレンズを殺す能力を得た奴はその力を自分の快楽の為だけに使い、結果何人ものフレンズが奴の手に掛かり殺された。
俺が奴の石を砕いた事によってなんとか事態は収束したものの、またノートがセルリアンに取り込まれてしまえば……
確かにこいつらの言う通り俺がノートを持っているよりはここに保管してセルリアンの手が届かない様にしておくのが一番安全かもしれない。だが…
「そうか…いや、別に反対はしないが…なんならそのノート、燃やすなり切り刻むなりして処分したらどうだ?その方が確実で安全だろ」
そうとも…どうせフレンズになった俺にはもうノートは必要ない
「それは出来ないのです」
以外にもきっぱり否定された。
「聞けばリューク、お前達死神はこのノートを使って延命するそうですね?」
「動物だった頃はな、それがどうした?」
「もしもノートを燃やしてしまったら、いつかお前が動物に戻った時、お前の生き長らえる手段が無くなってしまうのです」
なんだそんな事を気にしてたのか…こんな俺なんかの為にそこまで気遣わなくてもいいのに…ったく、なんでフレンズって奴はどいつもこいつも超が付くほどのお人好しなんだか
「ですのでこのノートは2冊とも我々が預かっておくのです」
「異論はありませんね?」
「ああ…まぁ好きにしな」
話し合いの結果ノートは2冊とも図書館の奥深くに厳重に保管される事になった。
ノートの件はとりあえずこれでいいとして、さて……この後どう行動したもんか
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