第3話 私が神です

「私が神です。人類の皆様、全知になった気分は如何ですか?皆様に出した課題がきちんと達成されて私は嬉しい限りです。しかし課題の提出期限が間に合っていませんでした。よって皆様には追加の課題を出すことにします」


 突如空中に映し出された一つの姿。神だと名乗るそれは人の姿をしていた。その姿は誰もが知っていた。その姿は……

「皆様が見ている姿は私ではないですが、私でもあります。皆様には皆様自身の姿に見えておられると思います。そして私の本当の姿を見つけることが皆様への追加の課題となります。期限は……えー、適当でいいです。皆様が死ぬまでに見つけてください。つまりこれはひとりひとりに出しておりますので、他人任せにしないように」

 人類は突然の神の出現に、神から紡がれた言葉に、驚いた。だがさらに驚愕させられることになった。

「しかし皆様は課題を達成してくれたので、ご褒美をあげます」

 そういうと神は一人の人物の名前を挙げる。

天野一あまのはじめ。彼が今の人類のリーダーでしたね。彼のお願い事を叶えてあげることにしました。お願いはすでに聞いてあるので皆様にお伝えしたうえで叶えてあげることにします。彼のお願いは『知らない世界が欲しい』です。よって皆様に、知らない世界を差し上げたいと思います」

 そう言った神は指を鳴らす。その音は指から出たとは思えないほどの轟音を生み出した。

 誰もが驚き、瞬きをした。再び目を開けたその時。


 知り尽くした世界は、知らない世界へと再編されていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

発見 あまめ @amamehara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ