第4話

帰国して以前在籍していたチームに戻った


静香は幼稚園の養護教諭として、復帰し、園児が可愛い可愛いと毎日楽しそうに話してくれる


「翔、聞いてぇ、今日、アヤちゃんって子がねぇ」


「嬉しそうだね~」


「だって、子供達、可愛くて」


「静香…子供…ほしい?」


「え?」


「イギリスにいる時、サッカーに集中出来るようにって。静香は俺のサポートに専念してくれてた。

日本に帰ってきたんだしさっ、もう」


「翔…」


「俺は…静香を幸せに出来てるか?」


彼女の頬に手をあてて真っ直ぐに見つめると、静香はその手を取って一瞬俯き、すぐにしっかりと顔を上げて言った


「ねぇ、翔、キス…して?」


「え?うん」


チュッ


「この唇好きよ」


「いやっ、そんなこと言ってんじゃねぇし」


「目も鼻も髪も腕も、何もかも好き」


細い指でなぞっていく静香


「くすぐったいって。っんだよ、いきなり」


「だから……

こんなにも好きな人の側にいれるの

幸せじゃない訳ないでしょ?」


そう言って恥ずかしそうに首に手を回して俺の胸に顔を埋めた

彼女の身体をギューっと抱き締めて立ち上がった


「きゃっ」


「よしっ!作ろ」


「何よ、いきなり」


「子供作ろう」


「やだぁ、翔、そんなに張り切らないでよ」



ニヤリと笑ったまま、何も言わず、上から見下ろす、彼の顔が一気に艶めいた表情になると、私はいつもあなたに翻弄されていく


熱い身体が寄り添うように1つになる時、

この世界で2人だけしかいないような感覚になる


確かな温もりがあること

ただ、それだけでこんなにも幸せなんだって。



そして、

日本での生活も2年が過ぎようとした頃、

五十嵐先生から連絡があった


翔には内緒で私に頼みたいことがあるからって…。

.

.

.

.

今日は朝から静香がよくしゃべる

何かあるんだろな。

嘘、ついたり、隠し事がある時、やたら喋りだすんだから、わかりやすい


「翔、今日は何時から?私ね、お休みだけど、お友達とランチ行ってね、あっ、そうだ、お買い物にも行って来ようかなぁ」


「はいはい、行ってくればぁ」


ニヤニヤ


「へ?何か可笑しい?」


「なーんにも…クスクス

静香ってさぁ」


「ん?」


「いやっ、いいや」


「気になるでしょう、言ってよ」


「また、今度ね、ゆーっくり、楽しんでおいで」


すっげぇ、気になるけどとりあえずそっとしといてやろう。

きっと、大したことないに違いない

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