第15話
俺は大学に入って、がむしゃらにサッカーをやった
いつか静香に認めてもらいたい…と思っていたのかもしれない
大学生の間、それなりに彼女も出来た。
彼女は俺を好きだと言ってくれたし、俺も彼女のこと大切にした
でも、俺のどこか埋められない気持ちに気付き、去っていった
あっという間の4年間だった
卒業後、クラブチームに入ったが、俺はイギリスに行く夢を持ち続けていた
そして、2年後、
チャンスを掴んだ
24歳の冬
イギリス行きの切符を手にした
地元で壮行会が開かれ、久しぶりに啓太と会った
「啓太、元気にしてたか?」
「元気だよ。翔、凄いなー。お前の活躍はいつも見てるよ」
「ありがとう」
お互いの近況
懐かしい思い出話
啓太の彼女の話
話は尽きず、朝方まで飲んだ
「こんな時間になっちゃったなぁ。翔、明後日、発つのに、こんなことしてちゃダメだな。大事な身体だし」
「ほんとだよー。ハハハ、嘘だよ。啓太と会えて良かった」
帰り際、
啓太に1通の手紙を渡された
「これは?」
「五十嵐先生からだ。翔に渡してくれと頼まれたんだ」
「そっか。ありがとう。
啓太…またな」
「おー、またな、翔、頑張れよ」
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吉沢 翔 様
イギリス行きおめでとう。
高校時代からずっと頑張ってきた結果だと思います。
いつも、真っ先にグランドに出て、皆が帰ってからもいつまでもボールを蹴っていた君の姿を思い出します
私は吉沢くんに謝らないといけないことがあります
高校3年の時、君は川崎先生と思い合っていましたね。
私は吉沢くんの将来を考えるのなら、身を引くべきだと彼女に助言したのです。
彼女はすぐにそのことを受け入れ、辛い選択をしました。
結果、君を傷付けてしまうことになった
でも、私も彼女もあの時の選択は間違っていなかったと思わせてくれるぐらい、君は素晴らしい姿になってくれた
きっと、川崎先生も喜んでいると思う
もし、今でも彼女に会いたい
彼女を受け止める勇気があるなら、
会いに行って来なさい
中途半端な気持ちなら止めなさい
本当に彼女は素敵な女性ですね
これからも、君の活躍を陰ながら応援しています
そう手紙に書かれ、
最後に静香の住所が記されていた
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