第10話
私達は誰にもバレないようにと学校では出来るだけ、接しないようにした。
暗くなってから、会うのは私の部屋でだけ
普通の恋人同士のように手を繋いで堂々と街を歩きたいとも思ったけど、今は翔と会えるだけで幸せだった
練習が終わると彼が来る
私は仕事を終え、食事を作って待った
「お疲れさま、雨降ってたの?濡れたねぇ。シャワー入っておいで」
ずぶ濡れの翔の背中を押すとイタズラっぽく笑う
「ふっ、なんだよー、静香、早くシタイの?」
「もう、すぐ、翔は、そんなこと言うー」
「だって、俺はいつでも静香に触れたいと思うよ。悪い?」
不貞腐れた顔で言う
「悪くはないけど…」
「けど…何?」
「翔は…私で満足してるのか…って思っちゃうの」
そう言うと、彼の顔色が一気に変わり、鋭い目つきで私の手首を掴んでバスルームへ
「どうしたの?翔、痛いよ、離して」
彼は濡れた服を脱ぎ捨て、私の服にも手をかけた
「ちょっと、やめてよ」
「静香…俺は静香のこと、好きで好きでたまらないんだ。満足しない訳ないだろ?」
何も纏わない姿になった私を彼はまじまじと見つめた
「恥ずかしいよ」
背を向けると翔は肩に手を置き強引に自分の方に向けて言った
「すっげぇ、綺麗だよ
静香の瞼も頬も唇も、胸も…腕……ここも、全部、俺だけのもの」
翔は丁寧に確認するかのように、キスを落としていく。
もう、立っていられない
崩れそうになった私を引き寄せ抱きしめた
シャワーの滴が2人の身体を叩きつけるように落ちてくる中、抱き合い、愛し合った
求めあって、溶けていく
もう…何も、いらない
翔…あながいれば……。
.
.
.
.
翔は泊まっていくことはなかった
私達は2人で朝を迎えたことはない
高校生の彼
親に心配はかけないようにと私が言った。
翔はあまり干渉しない親だから平気だと言うけど、やっぱり、そこは気になってしまう
彼の腕の中にいると、このまま、ずっとこうしていたいと、どれほど思ったことか…。
でも、それは許されない恋をしているがゆえの制約
「翔、大学は?」
「俺、もう、サッカーの推薦で決まってるよ」
「そうなのー!すごいね」
「まぁなぁー、大学でサッカー頑張って、将来はイギリスのリーグでプレイするのが夢なんだ」
「そっかぁ」
「静香は?夢とかあるの?」
「夢?私の夢かぁー」
「結婚は?」
「そうねぇ、一応、30までにはしたいかなぁぐらい」
そんな何気ない会話をしてた。
でも、"結婚”という二文字を軽く話す翔に若さを感じずにいられなかった
翔の未来に私がいなくてもいい
今はあなたの隣にいる、それだけでいい
彼の肩に頭を乗せ、温もりを感じながら、
このまま、時間が止まればいいのに…と思ってた
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