第6節
第6節 ①
砂浜で、一人の女性が砂浜で佇んでいた。
本来なら右手にオートマチック、左手にリボルバーというスタイルなのだが、昨日の負った左腕の傷が完全に癒えていないため、自由が効く右手にリボルバーを構えるようにした。
――昨日のような、失態は犯さない。どうにか無事に済ませようなんて、考えてはならない。昨日の時点で、ほんの少しのことがきっかけで暴走を起こしたんだ。このままでは、彼女は本当の化物として、人を殺してしまうのも時間の問題だろう。
「ねえ、きみ」
だが、女性から声をかけられる。
「まさか――」
「あれ。聞こえナかった、かな……ごメんね、ちゃんと話スの、久しぶりだカら」
その声は、目の前にいる女性からだった。しどろもどろだが、昨日とは違って、意味が通じる言葉を紡いでいる。
――思考能力が、戻っている?
「……聞こえていますよ」
「よかった。ちゃんと、話せテる、みたい」
どういうことなのだろう。
「あなたは……彼にお願いされて――わたしを、殺しに来たんデしょ? 昨日、みたいに……」
「ッ……!」
「だい、じょうぶ。わたシから、あなたに、危害をくワえる気は、ないから。けど……あなたが、わたしを、殺すのも――抵抗、しないから」
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