第3節 ③
「ッ……! かえ、して――!」
「……何を返してほしいか、わからないけれど。それ以上暴走を続けるのなら、力づくで対処するしかなくなくなるね」
「――海で……待って、て……」
「?」
「海で――ヤクソク、したからッ……! 待ってて、って――!」
「……っ!」
刹那。脳内にノイズが迸る。
海。約束。待ち合わせ。
過去の記憶。五年前の、映像。
『ねぇ、コウ。あたし、海が見たいな』
その言葉は、
『ボトルメールかぁ。ほんとにあるのかな、そういうの』
自分の意識と関係なく、急激にフラッシュバックする。
『あたしね。ずっと待ってるから』
――やめろ。
夢の中以外で、その映像を見せるな。
『約束だよ。私のことを、きっと、いつか――』
「ッ――――!!」
「ぐっ――が……!」
「かえ、して――それは――それ、は――」
「ア――」
一方、
「うみ……いかなきゃ……ここ、じゃない……やくそく……」
「くっ――ま、ぐぶっ……」
口から血を吐き出す。咄嗟に腹部へと意識を集中し、変異血種の治癒細胞の活性化を図ったが、すぐに効き目は起きない。
止血が間に合わず腹部から血を流しながら、
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