第3話 家で拉致する系彼女って可愛いと思いませんか?
進路についての面談も無事に終わり、放課後……。
「……」
「さぁ…吐いてもらおうか……」
なぜだか知らないが、俺は家に着くなり覆面二人組に拘束され、椅子に固定されてしまったのだ……いや、平然と現状説明してるけど俺全然場の空気に付いていけてないからね?
「えっと……」
「さぁ!吐いてもらおうかっ!」
「何やってるの?ほのか……」
「ギクッ!な、何の事だかさっぱりだね………」
「思いっきりギクッって言ったよね?ほのかだよね?」
見え見えの嘘をついているこの少女の名前は櫻庭帆乃夏、俺のたった一人の兄妹だ。
そして多分……こいつの隣にいるこのフードを深々とかぶった細身で……だがしかし、出るところはきちんと出て、引っ込むところはそこそこ引っ込んでいるこの少女は……あーはいはい、解ってきたぞ?
「雫も何してるんだよ?」
「………何のこと?」
「とぼけたって無駄だぜ?お前が雫だって俺が思う理由は二つある!」
「………」
「まず一つ、お前のその喋り方……雫そのものだ」
俺の言葉に対して雫(仮)は動揺一つしない。
だが、俺は問い詰める手を解くことはない!
「そして二つ目……」
「……」
「俺がお前を間違えないって俺が信じてるから」
「っ……ふ、ふうん?それが理由になるなんて思えないけど」
「もう認めとけよ、二人ともどうしたんだ?何かあったのか?」
「………」
すると、雫は自身の顔に被っていた覆面をするっと脱ぎ捨て、俺の顔をじっと見つめた。
「ちょ、ちょっと!?雫ちゃん!?」
「もう、いいんじゃないかな?伊月が気づくなんてこと絶対ないだろうし」
「気づく??何がどうしたんだ?」
「むぅぅ!!」
何がどうしたのかほのかは唸ってしまい、俺の方をじっと睨んで……え?なんで?俺が悪いの?何したの俺!自覚がないから怖いわ!
っと、ほのかは俺の感情なんか知ったことかと言わんばかりにこう切り出した。
「お兄ちゃんはさ!今日何があったか覚えてないわけね!こんなに可愛い未来のお嫁さん放っておいてどこ行ってたんだっけ?思い出してみようか?」
「今日…………面談があって……え?もしかしてその事?」
俺が雫の方を向くと小さくこくんと頷いた。
「私はちゃんと言ったんだけどね?今日伊月遅くなるみたいだから今日のご飯はさきにたべてようかって」
「はぁ……それなのになんでお前は怒ってるんだ?」
「だって……」
「だって?」
「雫ちゃん今日家に来たとき凄くしょんぼりしてたんだよ?何回聞いても『何もないよ』っていうだけだし……」
「えっ」
正直意外だった。
どんなことがあっも滅多に顔に出さない雫がほのかが心配する程に落ち込んでたなんて……それ以前に彼氏である俺が気づけないなんて……。
「ごめん」
「伊月?」
「俺まさかこんなに雫が傷ついてることに気づけないなんて……彼氏しっかk…」
「だめ、それ以上は言っちゃダメ」
「雫?」
雫にしては割と大きな声だったので俺は少し驚いてしまった。
そして雫は俺に抱き着き一度軽く唇を合わせて俺の目をじっと見つめた。
「私の彼氏のことを悪く言うのは例え伊月でも許さないよ?もし次言ったら次の日寝不足で受講できないくらいすごいことするから」
「ちょっ!?ほのかも聞いてる前で!!」
「いいよ、別に、お兄ちゃんのことだから※※※とか〇〇〇とかしてると思ってたから」
「お前はお前で何言ってんだ!!」
こいつら……日頃どんだけハードな物見てんだよ……。
いや、そう言えば最近の中学生とかってもう……その…アレしてるんだよな?
「いやならもう言わない……わかった?」
「は、はいっわかりました……」
「よろしい…………ところで…」
「?」
雫は端的に俺に要件を伝えた。
「少しムラっときたから……その……今夜……ね?」
今夜は寝られなさそうです。
〇〇系彼女って可愛いと思いませんか? 愛妹魅唯 @taku11524731
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。〇〇系彼女って可愛いと思いませんか?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます