非常に興味深い武蔵野市市長選挙について ←外国人参政権問題などではなく前市長・松下の自滅戦
武蔵野市長に小美濃氏 初当選 保守系18年ぶり
https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/news/20231225-OYTNT50000/
武蔵野市長選挙は全国的には大変注目された選挙でした。ここの前松下玲子が極左市長で外国人参政権条例を提出した事から「左翼の牙城」と考えられるようになりました。また極左暴力集団も乗り込んできたらしく、この状況で市政を左翼勢力に継承させるのか否か?…ということから「23区にもなれない片田舎」の割には全国的に知られるようになったと考えられます。
現在、自民党の違法献金問題が取り沙汰され、また世界的なインフレの悪影響で日本でも賃金が伸びずに物価高だけが進む…という与党岸田政権にとって大変厳しい逆風の中での「左翼の牙城」での自民保守系候補の勝利は、リベラルや左翼勢力にとって激しく動揺させる選挙結果であり旧ツイッター上で涙目多数。また反リベラル派などからは「奇跡の大勝利」で盆暮れ正月が一緒に来た…的な扱いされるほどになっています。
しかし本当でしょうか…(๑¯ω¯๑)?
カネにまつわる話ではないので「事実の検証」の結果の報告…という事にさせていただきたいのですが、少し違うような気がしています。結論からいうと「外国人参政権などの政治問題以前の、松下が市政を放り投げた事に対する反感」の結果と考えたほうが良さそうということになります…m(_ _)m
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まずこの武蔵野市についてですが、今世紀になってからは少なくとも左翼の地盤と考えられるようになっています。しかしワイの見解は違います。
田舎の方は「東京は洗練されていてリベラル」と考えがちですが「全然違います」。東京もまたごく普通の「田舎の選挙区」です。よってドブ板選挙出来るか否かがまずは勝負です。有権者が(電話かけて呼びつけたら)飛んでいけるフットワークの軽さと、ヒマがあったら支持者にご挨拶回りする体力・忍耐力が必要です。しかし有権者は一度でも(呼びつけた時に)来てくれれば、その候補者にシンパシーを感じるものです。カネではなく義理人情の問題であって、これは東京でも変わりません。
しかしもう一つ強い要素があります。総理大臣を出したかどうか?…です。
総理大臣を出すということは「オラが村から宰相が出たー(゚∀゚)!!」級のインパクトがあります。これは田舎も都会も同じ事。そして武蔵野市は管直人の地盤なのです。よって武蔵野市は管直人の「領地」であり、圧倒的な知名度と実績を持つ…という事になります。管は国政政治家であるため市長は自党・立民の候補を出すということですが、要は「管直人のお墨付きがあれば誰が出ても勝てる」という事かと思われます。彼の領地だからです。松下は管直人の「影法師」に過ぎなかったということです。
その影法師の松下は左翼で外国人参政権を強引に押し通そうとしたり、左翼勢力を呼び寄せて「街頭闘争」を行ったり、駅前の再開発に中国系企業を引き入れ、結果として駅前駐輪場が大変利便性の悪い場所に移動させられてしまった…など問題が多い政治家でもありました。今回の選挙もまた松下が国政選挙に乗り換えるために辞任した結果であり、その意味では税金の無駄使いと言えます。反面、自民逆風下であるばかりか(地元とはいえ)ほぼ無名の小美濃という人物に迫力があったとは聞いていません。前評判は立憲民主候補の勝利であり、彼女には幅広い左翼勢力および反自民勢力がついていました。組織票です。このプロセスを見れば「与党(左翼勢力)圧勝」でなければおかしいのですが、実際には僅差で敗北となりました。しかも選挙を見てみると投票率は前回よりも低いという結果でした。これは異常です。
通常、有権者の動向を見ると「選挙に行かない人は現状追認派」の「保守」です。よって投票率が低いと組織票が強いのです。またオーストラリア等の例を見ても「投票率が上がると保守(この場合は与党)が優勢」という傾向が出てきます。反対に積極的に選挙に行く人は左派系が多いのが日本のおおまかな傾向で、これは自民政権に対する反感から「左翼は選挙にいく」という事でOKと思います。
ならば投票率が低いのだから立民候補圧勝のはずでしたが、結果が逆です。
この謎を解くカギは「僅差」です。
投票率が低かったので立民の左翼組織票はかなり有効だったはずです。しかしそれでも負けたということは立民候補・笹岡の得票率から組織票分を取り除いた「武蔵野市民票」が殆どなかったと考えるべきかもしれません。ということは今回、投票した武蔵野市民の中で「左翼プロ市民」でない一般投票者の殆どは小美濃に入れたということになります。これが変なのです。
もし外国人参政権問題で左翼が武蔵野市を占拠する…という事に対して武蔵野市民の危機意識が高まったのならば、多くの有権者が投票に行き「自民候補に入れる」はずです。実際、立民・野田政権末期の選挙では「左翼は駄目だ」という全国的な意識が自民大勝と安倍政権発足をもたらしています。同じことが発生したはずだったのです。しかし投票率は前回よりも下がっているのです。これは「現状追認派が多い」事を意味します。なら一般に言われている「外国人参政権問題」は特に重要ではなかったと考えるべきでしょう。
その理由もなんとなくわかります。この外国人参政権条例は議会で否決されています。このため武蔵野市民は「終わった」と考えた可能性があります。終わったことなので争点にはならなかったということです。もう一つの可能性は「左翼勢力そのものが少ない」ということです。低投票率での左翼勢力組織票で勝てないのですから「左翼の母数がそもそも少ない」と考えるべきかもしれません。これも納得の理由があります。武蔵野は左翼の牙城ではなく「管直人の領地」だからです。このどちらかは正直、わかりません。しかし「僅差」ということから以下の類推は可能です。
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左翼は組織選挙を戦った。その数は不明だが立民・共産・れいわ・社民・生活などが支持していたので「相当数」が笹岡に投票したはずだ。ということはプロ市民系ではない一般武蔵野有権者は今回はかなりの数が自民・小美濃に入れた。なら武蔵野市市民の大多数は「今回は小美濃」派であり、この結果が(低投票率にも関わらず)現れた…と。よってもし「全員強制投票」だったらダブルスコア・トリプルスコアで小美濃が勝っていた可能性さえあります。
しかし同時に低投票率なので「それほど立民与党に抵抗があったわけでもない」のです。ならば立民への抵抗感の少なさは松下への支持ではなく「管直人への支持」であり、松下がドブ板をどれだけ回ったか?…という事に疑問を生じさせます。武蔵野市を自らの基盤として管から禅譲されたにも関わらず「耕していない」という可能性です。左翼活動家は武蔵野市民からみて「ガイジンテロリスト」に写ったかもしれませんし、そもそも松下は投票券のない外国人よりも有権者である武蔵野市民に細かく丁寧に回って自らの票田を作る地道な作業が必要でした。何より前回・前々回の圧勝は松下に「自分への支持がある」と勘違いさせた可能性があります。
この「地に足のついていない」松下が今回、唐突に国政選挙に出るために市長を辞任した…という事に対して武蔵野市民が不信感をつのらせたということではないでしょうか? 前市長の松下が市民の支持を全く広げておらず、身勝手な我欲で市長職を投げ出したのが立民敗因の主因ということです。
よって結論として「松下への反感」が管のお膝下をしても野党・小美濃を勝たせたということになり、敗北は全て松下の責任ということになります。
逆にいえば外国人参政権問題などの政治課題は今回「選挙結果には影響していない」と考えるべきと思われます。そんな話以前の不様な松下の敗北ということです。また左翼の総力戦+二度と無い自民逆境下での敗北はかなり致命的です。管直人の神通力がなくなったら武蔵野市は自民党の領地になる可能性さえある…ということです。
反面、右派保守勢力界隈のいう「大勝利」では「ない」ということもわかります。立民・松下の自滅だからです。小美濃は自らの勝利と考えないことです。これは領地の鞍替えに近く、旧来のお殿様を慕っている領民の上で
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では今後どうなるか? …の可能性です。
急激に有り得そうな可能性に俎上してきたのは「管直人の息子が市長選に出る」です。ここではあえて名前は出しませんが、正直、かなり微妙な人物です(爆)。引きこもりの末、Fラン大学をかろうじて卒業したものの、地盤のない選挙区で二度も負けた「ガラクタ」でした。また立民は常々「世襲はよくない」とも言っています。
しかしそんな事言ってる余裕は無いのではないでしょうか…ಠ_ಠ;?
もともと管の領地ならば子が襲ぐとしても特に不思議はありません。むしろワケのわからない謎のパラシュート候補者(いわゆる降下猟兵)よりも、幼いときからよく知ってる領主の息子の方が何かとシンパシーが湧くというものです。この人物は市議選挙では勝ち抜けています。要するに「地元なら勝てる」候補者ということです。
なら後は日本の選挙の鉄則である「ドブ板まわり」を徹底し、武蔵野市市民に顔を売ることです。あとは「政治に世襲か二世かは関係ない。良い政治家ならよいのだ!」的な強いセリフが言えればOK。仮に反リベラルなどがSNSで「立民ダブスタ」と叩いたところで「武蔵野市有権者でなければ関係ない」のです(爆)。逆境でも状況によっては十分勝てることは、むしろ今回の小美濃が証明したほどです。なのでよもやの立民系世襲市長の可能性もあります。
同時に自民はこの選挙は「特殊」な例外に過ぎないことを肝に銘じるべきでしょう。松下の自滅という特殊要因の結果です。自民大逆風はまだ続きます。岸田政権失速の最大の原因はインフレによる生活苦で、欧米諸国での選挙結果とほぼ同じ…「インフレ時は与党苦戦」の一般論そのままです。自民の違法献金問題など「取るに足らない」のです。なぜならこの問題が発生する遥か以前から岸田内閣の支持率は超低かったからです。こうなると来春の景気回復を信じて待つ…くらいしか自民党には選択肢はありません。ただし危機にあってはまとまるのが自民党でもあるので、岸田政権がこのまま消滅するかどうかは今の所、わかりません。また総選挙があるかどうかも判断つきません。言えることは「武蔵野市の自民勝利は例外」ということで、この勝利にすがるような愚策を取らないことです。
今回の選挙はこの視点でみると面白いものでした。ちなみにワイはこの選挙区に興味がありませんでした。「武蔵野市市民ではない」世田谷区民であることと、前述のように「管直人の領地」だからです。しかし管が応援しても負けた…という、これまた痛い敗北で、もしかしたら左翼の牙城と言われていた武蔵野市自体での左翼の地盤沈下が始まったのかもしれません。それは今後の選挙で判ることでしょう。それを食い止めるは菅源太郎かもしれませんね(笑
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【補足】
東京・武蔵野市長選で野党支援候補敗北、裏金疑惑を追い風にできず…立民「発信力に課題」
https://www.yomiuri.co.jp/election/20231225-OYT1T50317/
要するに『武蔵野市は、菅氏のお膝元で、強固なリベラル層からの支持も見込まれていた』との事で、ワイのトコの保坂始め左翼勢力総集結での敗北ということの原因に『松下前市長が任期を2年残したまま辞職したことへの反発や、市長選と同日投開票された市議補選に、菅氏の長男が出馬したことが「世襲」との批判を浴びたことが響いたとの見方も出ている』とのことでした。とはいえ息子の管源太郎氏は武蔵野市市議選挙で堂々の二位(実績はなし)なので世襲批判を受けたとしてもビクともしなかったと考えるべきで、やはり松下の投げ出しが最大の敗因かと思われます。
当の松下は、政界を引退した管直人の代わりに国政に出たという事です。総選挙時に勝てるかどうかですが「立民の選挙戦略に依る」としか言えません。ただし興味深い内容もあって『11月の高知市長選や、12月の東京都江東区長選などでも与党推薦候補が勝利している。自民幹部は「自民への逆風も強いが、野党にも風は全く吹いていない」と指摘した』とあり、実際、直近の地方選挙では自公などの与党系新人が野党系現職・新人との勝負で三連勝していることもまた興味深いと言えます。
確かに地方与党と中央政界とは一枚岩ではなく、各地域の個性・政治状況で中央政界とは対立することも(与野党ともに)珍しくはありません。なのでこの結果をもって「野党に風が吹いていない」と言い切れるかどうかは断言出来ませんし、総選挙を考えた時「自民は踏みとどまれる」と言い切れる材料とも思えません。総選挙は大抵は経済情勢が争点になるので、岸田政権が今後、大幅な賃上げで庶民生活に潤いを与えることが出来るかどうか?…が全てだと思われます。日本人は多額の生活補助よりも稼ぎを伸ばしたいのであって、これが出来ていない事が支持率低下の主因です。高インフレという厳しい局面であり、二年連続の実質所得の低下という苦しい情勢です。
こう考えると今年の夏に総選挙に打って出なかった岸田政権および自民党の判断ミスが最大の誤算だったのかもしれませんね…
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