【コレ意外と重要!】貧乏人にまでカネを行き渡らせる唯一の方法→激しい物価高…m(_ _)m【トリクルダウンの真実】
2023年、新春のお喜びを申し上げます…m(_ _)m
昨年の2022年を一言で言えば「インフレ地獄」の年でした。
欧米で6%(フランス)〜10%(米英独など)、世界的には更にひどく15-20%もしくはそれ以上…たとえばイランなどでは実に40%もの激烈なインフレに見舞われ、各国で騒乱や社会暴動が頻発しました。インフレは物価高であり、特に食料・燃料代・家賃の3つが急上昇すると貧乏人の負担が(金持ちに比べて)より増加します。このため貧困激増→社会混乱はいつものことです。
このインフレの原因は以前から何度か言ってるように2020年2月以後の新コロ発生時、世界的なパニックが発生して株式債券市場が大暴落(米国S&P500が一日で千ドル以上も下げる日が四回も発生)し、これを受けて世界恐慌を防止するためにトランプ大統領+FRBが都合900兆円規模の金融緩和で市場にドルを撒き、また他の主要国も同様に市場に資金を供給したためにインフレの種が撒かれました。この後に物流・供給の混乱とウクライナ紛争による食料・エネルギー不足の深刻化から一気に2022年に世界的な高インフレに見舞われることになりました。
よってインフレの主因は推定で1500兆円とも言われる2020年以後の市場救済型の金融緩和措置のためです。ウクライナ紛争は決定的なインフレ加速要因ですが主原因ではありません。最期のダメ押し似すぎないのです。
しかし時々、「バイデン政権はインフレ対策が遅きに失した」と言われることがあります。よくトランプさんたちが「バイデンの失策」として使うフレーズですが、「おそらく事実」です。理由はこちらです…m(_ _)m
アメリカ経済で最近よく耳にする「高圧経済」ってなによ…(゚д゚)!?
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885841125/episodes/16816452219008919948
財務長官ジャネット・イエレンの「高圧経済理論」が実はこの高インフレ環境とほぼ同じだからです。
イエレンは元々ケインジアンで、誤謬を恐れずに言うのなら「左派」です。下層労働者の生活を守るためにどうするか?…という問いに対し、アメリカのように所得格差が大きくしかも富裕層への増税が必要な累進課税制度の強化策が政治的に採用できない国の場合は、下層労働者の労働賃金を直接引き上げることだけが唯一の「貧乏人の所得水準の向上策」という考え方のようです。
このために「カネを行き渡らせる」必要があるという事です。乱暴な言い方ですが、貧乏とはカネが無い事。貧乏人とはカネのない人たち。なら国債刷りまくったり金融緩和しまくったりして「市場にカネを大量にばら撒けば良い」…程度のアイディアです。大量にばら撒けば、貧乏人にまで行き渡る…という感じです。
カネをばら撒くということは通貨量の膨張ということで、それはつまりインフレです。沢山ばら撒けば高インフレになりますが、逆に言えば高インフレになれば貧乏人にまでカネが行き渡るはずだ…という事です。
よってバイデン政権は高インフレが発生した時に対処しなかったとしても不思議ではないのです。実際、2022年1月24日に右派テレビのFOXニュースの記者からの「2021年の頃から顕著になってきたインフレにもっと積極的にデフレ化対応しなくてもいいのか?」的な質問に対して…
バイデン氏、FOX記者に「愚か者」 インフレ関連の質問に対し
https://jp.wsj.com/articles/biden-curses-at-fox-news-reporter-after-inflation-question-11643078838
…と答えています。しかもこの後で「インフレで良いんだ!糞ネトウヨ!(←トランプ贔屓のFOXの事)」的なニュアンスの独り言を言っており、そのことからほぼ間違いなくイエレンの高圧経済理論を念頭においていたと考えるべきでしょう。
もう一つ
トランプ排除のためには米国経済は好景気であり続けるべきで、事実、FRBの政策主導によりオバマ〜トランプ政権の長期に渡ってほぼ米国経済は右上がりを続けていました。2021年以後、経済的に失速するのは民主党の敗北に直結する重大時で、「経済成長と失業率の低下」をどうしても維持するためにも適度なインフレが必要と判断していたと言うことです。特に新コロで世界経済が打撃を受けていた(≒デフレ化)の恐れがあったことや、供給・物流サイドの混乱によってインフレが加速していた時期も続いたことから、2021年時のインフレを与党・中銀FRBともに「一時的現象」と見誤った可能性はあり、まさか一年後に此処までインフレが亢進するとは思っていなかったのかもしれません。
インフレは一度定着すると長続きする…という悪癖があります(インフレの粘着性)。有力な理由の一つがインフレヘッジ行動で、インフレはカネの価値が目減りするのでカネを持っていてもしょうがない→んじゃ、物を買おう…という行動です。これは貧乏人から金持ちまでほぼ全ての階層に渡って見られるもので「明日買うよりも今日買ったほうが得」が毎日連続するのでモノを買いまくる→消費が延々と旺盛なまま→インフレがなかなか終熄しない…という流れです。
特に米国のように1/10が年収20万ドル以上という富裕国の場合、相対的に価値の減らないモノへと資産を変換すること(モノを買う)で自分の資産価値を目減りさせないという行動に出やすく、その最たるものが不動産です。
不動産は高額で資産価値があり、しかも転売時にも利益幅がでかいだけでなく、借金して買ったとしても「借金というカネの価値もインフレで目減りする」のだから借金バンバン建ててでも不動産を買っておいて、値が釣り上がったら売り飛ばせばいい…という当然の結論に至り、そのためインフレが不動産を中心に長く続く可能性があるということです。個々の取引価格が大きく、販売戸数も多いですからね(^_^;)
普通、インフレの3大要因は食料価格・燃料価格・不動産価格であって、これらは季節変動幅が大きいことから産業の成長力をみる指標からは外れることも多いのですが、重要です。米国不動産の場合、S&Pケース・シラー住宅価格指数(←かなり重要)や新築住宅着工件数(←やや重要)・中古物件販売件数(←重要)などは個人消費に直結してるので比較的重要な先行指数となり、これらから米国経済の今後…ということは世界景気の将来が結構見えてきます。また同時に家賃指数というのもあり、要するに家賃の価格動向なのですが、この数字(家賃の金額)の上下は15-18ヶ月遅れて実体経済に反映するという、これまた重要な指数です。
そのためこれらの不動産価格動向を見ることである程度の予想は出来、21年を通してダラダラと右上がりでした。それどころか急激に力強く上がっていたときもあるくらいでしたが、季節変動幅が大きいとか、ウクライナ紛争やら中国のゼロコロ政策やら、前述の物流の混乱やらの複数の供給要因のために将来を正確に見通すのが難しかった一年でもありました。よってFRB・民主党ともに「そもそも通貨供給量が多すぎるだ!」という根本を読み間違えていたた可能性はありますね…(この状態なら絶対に高インフレになる)。
んでもって昨年2022年。丸々一年でものすごいインフレになりました。現在においてはほぼ考えられないような先進国(ただし日本を除く)での約10%インフレ。この結果、日本を除く欧米ではどうなったか?
労働賃金が急上昇した…(๑¯ω¯๑)
…でしたm(_ _)m
欧米は2020年以前には大体、時給1000〜1200円程度だったものが、2022年後半では大体3600円前後の賃金になっています。これはいわゆる最低賃金のことで、この一、二年で一気に数倍に跳ね上がっています。
賃金上昇が急激に上がった理由ですが、まずはインフレによって企業にとっても「収入が増加した」があります。物の値段が上がったので、経費はかかるものの販売価格が上昇し、売上の実数が伸びたという事です。また全所得階層におけるインフレヘッジ行動によって消費が続き、このために好景気に似た現象から人手不足が深刻化。同時に物価高によって今まで賃金上昇が抑え込まれてきた業種でも労働組合や労組結成→デモなどの実力行使を含めた政治的な賃金上昇圧力によっても最低賃金上昇が発生したということです。
英国などかそうで医療現場を支える介護師などはここ10年に渡ってほぼ最低賃金のまま据え置かれてきました。この人たちがデモっているというのは海外ニュースでよく流れてくることですし、同じ英国の鉄道労組が賃上げでストライキを打っているというのもこの流れです。こうした動きはインフレ時には特に公的組織で見られることで、政府が財政支出カット→医療現場や福祉介護・国鉄や公共事業体の職員の給与が長年に渡って据え置かれてきた事から発生するという事例で、ここまでひどくなくても好景気に依る人手不足を主因として急激に賃金上昇が発生しています。加えて先進国では若年層人口の割合が相対的に少ないことや新コロや各国のナショナリズムの高まりなどから若年層移民のスムーズな職場流入が阻害されるなどの理由もあって、労働賃金の上昇が発生しています。
不思議なことはドイツのように、もともと日本と似たような財務体質+低成長国家であったにも関らず、高インフレ(年率8-9%以上)によってやはり労働賃金が日本の2-3倍に跳ね上がっているという事です。ドイツのインフレの主因はエネルギー価格の上昇で、その意味ではエネルギー不足による産業力低下が原因なのですが、このときでも労働賃金の上昇は発生しています。
エネルギー不足を原因とした産業力衰退の場合、普通は失業率の悪化を呼ぶものですが、今の所はそうはなっていないようです。ドイツは多数の移民がいて(移民は「祖父母までに外国由来の人物がいる場合とされているようです)若年層労働人口が少なくはないはずですし、また新コロの死者は高齢者に極端に偏っているために若年層人口の減少は見られていないので、景気悪化の時によくテーマとなる「若年層の失業問題」が発生してもおかしくはないのですが…??
全世界的にそうだ…とは言えないのも事実で、中国ではゼロコロ政策の大失敗による景気の著しい悪化(2022年GDPが20%近く減衰したのではないかと概算されるほど)によって若年層の失業率は20%に達し、これは大卒に限ったデータなのでこの高学歴層以外を含めれば遥かに高い若年層失業率と推定されます。産業力が衰退すれば失業率は上昇するのですが、先進国ではあまり見られないのが今回の特徴です(いまのところは…)。
※ ※ ※
まだまだ現在進行形でずか、一つ言えることは「高インフレにならないと貧乏人にカネが行き届かない」…つまりトリクルダウン効果は「物価高」が誘引するということです。この事をイエレンは見抜いていて、「さすがケインジアンだ!」とマネタリストのワイも思うほどです(爆
まさにイエレンが考えていた高圧経済理論そのもので、カネをばら撒いて(2020年の世界的な大規模金融緩和)高インフレを発生させた挙句の労働賃金上昇でした。
勿論、インフレ率(8-9%以上)に比べて賃金上昇率(4-5%程度)の方が低いので「実質、労働賃金は下がった」のですが、それでも急激なインフレ収束と緩慢な賃金上昇圧力が続けば、結果として所得の上昇は叶うのであり、イエレンやバイデンたち民主党主流派にとっては「実はまんざらでもない」なのかもしれません。彼らが念頭においていた「失業率の低下がない場合の高インフレは下層労働者の勤労所得上昇に直結する」という結論、そのままでした…m(_ _)m
しかしこれと同じことは1970年代の日本、2000年代の中国の10年間に発生していたことであり、日中および2020年の経験則から「唯一のトリクルダウンは激しい物価高によってのみ発生する」と断言していいと思われます。重要です。他の理由ではもはや発生しないでしょう。戦後を調べても、これ以外で労働賃金の急上昇が見られた事例はありません。ワイ的には「思ったとおりだった」でホッとしています。結局、なんでもいいからインフレにならないと賃金は上がらないのです。なので賃金上昇は常に物価高の後追いということです。物価上昇のないデフレ国家日本では労働賃金は「永久に」上がりません。断言します。逆に言えば、いずれは日本でも生活苦がにじみ出るような物価高が必要な時代が再びやってくる…ということです。
もう一つ言えば、竹中平蔵が使い物にならないということがよくわかりましたね(爆)
ヤツはただの無知な政治ゴロだったということです…(  ̄ー ̄)y-~~
※ ※ ※
P.S.
2023年、FRBの激烈な金利上昇政策 (インフレ撲滅策)によって失業率が悪化するほど景気が冷え込んだ場合、労働賃金の低下が発生するのかどうか?は気になりますね。大抵は物価水準が低下しない場合には、労働賃金の低下は限定的になるのが普通です。今後、判明することと思いますが…m(_ _)m
また失業率の悪化が見られないということも重要です。人口構成で若年層(労働人口)が少ない事や、国家の産業力が50年まえとは比較にならないほど巨大化し、基本ベースとして労働力不足があるという背景もあるのでしょうけど、ワイ的には金融政策が進化しスタグフレーションを防止できているから…だと考えています。柔軟なインフレ抑圧政策がFRBによって果敢に実施され、実行力が伴っているために金融的に破綻することがなく、そのため経済が破綻することがないのではないか?…ということです。資本と技術が潤沢にある先進諸国のような産業国家の場合、破綻は金融政策で抑え込めるというのがワイの持論で、今回は1970年代のような破滅的なスタグフレーションを避ける事が出来たとしたら世界的な中銀の機能強化と金融技術の向上が主因で、まさに国家はカネによって帰趨が決まるという良い事例になると思っているのですが…(^_^;)
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