国防費5兆円増額をどう捻出するか? ←当面は国債で賄うが正解

首相、「国民の責任」発言を修正 防衛増税、自民幹部が紹介

https://www.47news.jp/8691151.html


右からも左からも叩かれて、少々気の毒ですね…(  ̄ー ̄)y-~~

新自由主義者のワイなので、岸田政権の経済政策はあまり支持出来ないのですが、そうは言っても「岸田くん、なかなか難儀してるようですわ」というのが感想です。ご苦労さまです。


今回の国防費増額は左翼がいうような安倍派への配慮ではなく米国からの依頼であって、しかもウクライナ紛争仕掛けるロシア・核武装化を進める北朝鮮・地政学的な膨張主義を推進する習近平政権というユーラシア大陸の東側が暗黒大陸化してる現実を考えれば、我々が国防力を増強するのは西側自由主義陣営の国家や民主主義を守るために絶対必要というほど切迫しています。


たしかに新自由主義者は税金がないことばかりを考える輩で、ワイもその一人ではありますが「新自由主義に間違いがないわけではない」という事実を理解しているつもりです。つまり「無税がよいが、不可能」という事を判っているということです。


そもそもカネは国家の富をベースに生成することから(本編参照)「国家がなくなったら自国通貨がなくなる=我々の資産がなくなる」という状況を考えれば国防は極めて重要なことは言うまでもありません。フリードマンでさえ国防は重要案件という話をしています。なら、国防費は無税でやるわけにはいかず、また民間に任せれば良い性質のものではありません。そもそも水事業の民営化とて成功した試しがないのですから(爆


よって課税はある程度は必要です。残念ですが…。課税無しでは国債を発行することさえ出来ないからです。これが現実です。

問題なのは税制と課税額、また課税があたえる社会的・金融的な問題ということと思われます。その時々の経済情勢を勘案することも大事かと思われます。んで、2022年の日本について言えば…


・新コロ+ウクライナ紛争の悪影響で全世界的に高インフレ体質になっている

・高インフレ抑圧のため、FRBの金融引き締めが続き、今後、世界経済が著しく悪化する可能性が高い

・EUおよび中国という巨大市場は政策のミスおよびエネルギー資源高などから景気悪化の可能性が高い

・日本国内は低金利政策のまま

・日本の景気は世界景気とインフレによって輸出は伸び悩むことが予想される反面、国内景気は新コロの悪影響から抜け出しつつあり、自律的な内需回復の可能性もある


…つまり「よくわからない」もしくは「踊り場」ということです。


この状況で増税はやはり「やめるべき」です。

増税は常にデフレ要因だからで、日本国内の自律的な内需回復に壊滅的な打撃を与える可能性があるからです。また日本のインフレ率は相対的に低いことも理由です。インフレとは「好景気」という事です。よって世界的な高インフレというのはカネ的に考えれば「擬似的な好景気」という意味になる訳で、そのため英国など欧州では「増税」しているわけです。好景気を冷やすためには(政策金利をあげる以外に)増税→デフレ策ということだからです。


実際には勿論、違います。欧州などは新コロ時の多額の財政出動の穴埋のために増税するのですが、カネの理屈から言えばインフレは市場にカネが溢れすぎていることなので、これを回収するために増税…という話になります。庶民にしてみれば腹立たしいことなのですが…


インフレとは産業国家においては経済成長を誘引します。ある程度のインフレがなければ国力が衰退していくだけなのであり、実際、過去30年の日本のデフレ政策のために国民平均所得が約80万円も減っているという事実が「インフレにならないと国力もワイらの所得も増強されない」という事実を物語っています。なら、いまの「弱いインフレ」状態の日本でデフレ策の最たる増税をすれば、日本の景気が腰倒れになる可能性が高いということです。日本のインフレ率はまだまだ低いので、いま増税すれば過度なデフレから国内景気が失速するリスクがあるという話です。国防費のために増税する余地がないということです。


しかし国防費は捻出しなくてはならない…というのも国際関係の要請。本来なら、この不足分とされる5兆円ほどのカネをロシア・中国・北朝鮮に請求書送りつけるのが正解ですが、多分、それも出来ないでしょう(やるべきですが)…。

そこで現実的にはどうするか? ワイが思うのはこうです。


現在の日本は、欧米や世界に比べれば1/3-1/5程度のインフレ。しかしこれでも過去30年では「相当高い」。そしてインフレとは物価高=カネの価値がグイグイ減っていくという事です。国債という政府の借金は借りた「カネ」なので、国債の価値も(カネなので)グイグイ減っていくということです。

ならば国債で国防費を賄えば、国防力を増強した挙句、インフレで国債は消滅していく。同時にカネを市場に撒いたのと同じ効果があるために日本国内ではインフレが続く。ということは「国民はインフレ税」という税金を払っているので「収支はトントン」であり、またインフレは経済成長をもたらすということで「国民の生活苦は続くが、欧米程ではない。そしてその生活苦=物価高が労働賃金の上昇をもたらし、同時に景気上昇に寄与する」のです。


現在のYCCという超低金利政策を維持し続けるというのなら「ドーマーの定理」の話もせねばなりません。「経済成長率(≒インフレ率) > 金利」ならば国家は破綻しないということです。国債撒いてインフレ率が高いままならば、経済成長した挙句、国債はぐいぐい減っていくばかりが長期金利(市場金利)が0.25%しかない日本ならば国家破綻もしない。ということは「景気が持続的に成長しつつ、国債は減っていく。これがますます国家破綻の可能性を低める」という、国家にとってはまことに良い事だらけになるのです。


勿論、タダで食べられる昼食はないので何処かが負担しているわけですが、「ワイら庶民」が物価高≒生活苦ということで負担しています。これは理論上、課税分と同じかそれ以上の負担になるので本来は「悪手」なのですが、「増税よりマシ」もしくは「経済成長して手取りが増えるのならば、物価高も是認する」という世論があるのなら「やったらいい」のです。国民がそう判断した…ということなのですから(๑¯ω¯๑)


とはいえ、国債の発行にはある程度の税金が必要という話もしました。減税…つまり国力の担保金の積み増しもなく、政府が国債を発行したり多額の国債発行から財務状況の悪化が予想されたならば、英国のトラス内閣のように木端微塵に自滅します。これはやめたほうが岸田政権のためでしょう。そこである程度の増税は必要で、高額所得者に重課税するのがベストです。庶民から広く課税すれば国力減衰にしかならず、金持ちから取り上げても特に問題はありません。三木谷や竹中平蔵がいうような「金持ちを減税すればトリクルダウンが起きる」などということは有り得ないことは既にワイが説明しました。


トリクルダウン効果とは高インフレによって勤労所得が上昇するパターンだけ


…現在の世界がこれを見事に証明しています。これ以外のパターンは存在しません。よって金持ちから課税すべきということです。中間層を厚くするのが国策であり、金持ちが中間層まで転げ落ちてくれればますます結構(爆)。しかも中間層に転げ落ちれば税率も下がりますからね(爆笑)。そのため今の所、岸田政権に勝手にアドバイスするとしたら、


・高所得者に課税する

・法人税を強化する(≒内部留保金の活用)

・不足財源を国債に当てる(≒高インフレで消滅する)


…という事です。この理屈を国民に説明するのが岸田くんの仕事です。フォワードガイダンスということです。市場に方向性を提示し、理解と納得をさせねばなりません。


あと「国債を当てる」という話ですが、2020年から続けている新コロ対策の国債増発分の多くを国防費に振り向けるべきということです。新コロ対策費は未活用分などを含めて一旦、内容を精査して切り詰める必要があります。「新コロ対策で多額の国債を刷ったのに、そんな事して大丈夫なのか?」ですが…

「大丈夫なんじゃね?(  ̄ー ̄)y-~~」です。以下に理由を綴ります。


重要な事実があります。2020-21年度の租税収入は、新コロでサービス業中心に打撃を受けたにも関らず「過去最高」だった事です。これは誰にとっても驚愕の現実で、専門家たちも困惑していたようです。これに関しては、ワイは単純に「金融緩和効果」だと思っています。この二年、民間救済を目的に30兆円近い国債=カネをばら撒いたら、日本の現在の貨幣乗数1.8倍分だけ民間でカネが増えた=インフレになって民間企業が潤った…というだけだと思われます。


租税収入…法人税・所得税はその時々の経済状況を如実に反映します。好景気の時には増加し、不景気の時には減少します。なので財務省の連中は景気に左右されにくい消費税を使いたがるわけです(怒)。そしてこの時期、外国人の旅行収入は激減し、同時に世界的には物流混乱や中国のゼロコロ政策などで世界景気も不安定でした。それだけ考えれば租税収入が過去最高になるのはおかしな話で、ならば単に金融効果〜アベノミクスみたいなものと考えればよいのではないかと思われます。


気になる国債総額ですが、やはり減っています。インフレ+低金利政策のため政府の国債利払い費用は減っていて、しかも実額でも減ります。償還は順調に進んでいるからです。2022年の長期国債発行額は933兆円で「特に爆増したわけではない」のです。マスコミなどがいう「政府の借金」にはカラクリがあり、これに短期国債約120兆円+地方債を合わせて計算するので日本の債務総額がGDPの230%という話になるのですが、普通の国で地方債務を政府債務に乗っけるバカはいません。中国でそんな事したら既に日本の債務総額を遥かに越えています(ちな中国は中央政府が抱えている約1000兆円分の債務「だけ」を「政府債務」として会計しています)。また短期国債は民間の資金融通の場であり、金利負担が軽いこともあって政府債務からは除外して計算するのが普通です。


なので1000兆円未満の債務が日本の債務と考えるべきで、ここが年率2%以上のインフレという、今までの日本からは考えられないほど高いインフレ率が続けは、確かに結構な量の国債が消滅すると考えられます。景気も良くなればますます結構ですしね(๑•̀ㅂ•́)و✧

あれだけ国債刷りまくっても、意外と増えていないということです。日本の場合、償還は順調に進んでいたいうことでもあります。


もう一つ言わねばならないのは「復興基金」を国防に振り向けるという事ですが、これは明らかに目的違いであり、やめるべきです。復興基金のために国民は2037年までは「追徴課税」されています。この「東日本復興特別会計」は日本で最も成功した偉大な特会であり、このやり方は「後世に借金をつけまわさず」に損失を償還できた成功事例です。ただし目的が災害復興なのであり、国防とは違います。よってやりたいのならば「国防特別会計」という形にすべきということです。


この「国防特別会計」は要するに現在の日本国債を資産として国内外で運用し、その利益を国防に当てる…という程度のものだと考えればOK。普通に考えれば日本国債を担保に現金を借りるか、さもなければ投資資産の中に日本国債の額面(おそらくは日本国債の市場金利を元にした価格)で繰り込んで運用してるのでしょう。財務省が特会の中身を全く公表しないので推測でしかないのですが、おそらくこれが正解です。


だとすると問題点が二つ出てきて「国債の金利を上げられない」と「金利が上がった場合の損失は現ナマで補填する必要がある」のです。国債の金利上昇≒インフレ≒国債の価値が下落するので、組み込んだ資産の一部がインフレで目減りするという事、そしてそうなったら損失分は現金で補填しないと資産運用会社がマジギレ=日本の信頼が激しく動揺して、トラス内閣のようになるということです。資産会社のこうしたマージンコールって、国家の格付けに非常に影響してきますからね。勿論、これ以外にも為替や金利の変動による差損、それを補填するための金融派生商品などに現金が必要になるので、この分は金持ちから増税するしかないでしょうね。これは同時に金利を容易に上げられない=YCCを続けざるを得ない理由ともなります(やめたほうが良いんだけど…)。



そんなわけで、金持ちに課税した後で、新コロ対策費として考えていた国債増発分を精査し、多くを縮小して残りを国防に振り向ける。同時に経済成長戦略を提示し、インフレ成長軌道を確保する…が正解と思います。「当面は国債で大半を賄う」という事です。あとは金利を元に戻すことで発生するであろう着実なインフレ成長戦略を考えることです。景気回復ということです。そもそも国防費を二倍にするよりも、GDPを二倍にした方が誰にとっても幸せなのですから…。


あと岸田さんには、口汚く喧るだけのバカ相手にするのはやめたほうが精神的にラクになれるというのが助言です。少なくとも批判ではなく提言にのみ耳を傾けたほうがいいと思うんですよね。耳は二つしかないのですから…



  ※     ※     ※

  

  

P.S.

とはいえ、これも次善の策に過ぎません。最善なのはYCCをやめて市場金利を建てるということです。勿論、政府の負担が爆増して日本の国家破綻のリスクが高まるのですが、カネ的に考えれば「金利を上げる=市場にカネがあふれる」なのでインフレ効果がでます。実際には円安などの悪材料が出てくるということですが、このインフレにより景気は回復し債務は減ります。国民のインフレ税(物価高)という犠牲によってです。1992年の英国ポンド危機のようにです。英国ポンド危機の時には、英国は半年で景気回復を果たしています。「大規模な債務と景気の調整」と考えればよく、どこかでこうした荒療治も必要です。


ただ、世界は戦時なので、いまやるべきではないというだけのことです…m(_ _)m

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