【最重要】「税は財源ではない」というツイッターのクソタグが間違えている理由について〜その2【一番重要】

○国債ってなんじゃいな?… (๑¯ω¯๑)


借金には金利がついています。国債もそうです。ここでもしもボックスを使って「国債に金利がなかったら?」と仮定してみます。

国債は政府の借金で、例えば10,000円の国債があったとします。金利はゼロです。これを誰かに買ってもらいます。「国債は政府の借金・民間の資産」なので、民間が買ったとします(ただし中央銀行が買ったわけではない…ということは重要です。中銀が直接購入することは財政ファイナンスと言われる、また別の行為です)。


ここからが重要なのですが、この時、民間は「現金」を使って購入します。ということは「元々手元にあったカネ」です。貯金やタンス預金をおろしてきて国債を買った…ということです。実際には国債を購入できるのは一部の金融機関などに限られ、彼らは中央銀行の当座預金を作らされて、この口座から引き落として購入するのですが、それでも中央銀行という「民間銀行」の預金から現金を出してきて買った…という意味では同じです。


よって国債10,000円分を現金おろして10,000円で買った…という場合、「日本円の通用する領域」内で考えた場合、実は「お金は増えてない」ということに気づきます。


日本の民間現金資産は大体2,000兆円くらいで、このカネの中から今回の10,000円をおろして来て10,000円の国債を買った…ということなのだから、国債を買ったカネは「もともと日本国の中にあったカネ」です。日銀が新たに10,000円刷ったわけでは「ない」のです。よってお金の総量は一円も「増えていません」。


また政府が国債を償還する時…借金を返す時も10,000円を還した後、国債を破って捨てるだけなのでトータルとしてカネの総量は「増えても減ってもいない」のです。ただ単に10,000円が往復しただけであり、政府が10,000円を借金してもその分、公共投資などで仕事にカネをツッコミ、結果、税金が10,000円とれれば、このカネで償還すればよいだけです。


要は、国債の売買行為だけ見ればお金の総量は全く増えていない=中央銀行などがお金を刷った(=増やした)わけでは「ない」ということでした。


しかし実際には金利が付いています。そこで金利分を考えてみます。

ここでは金利…表面金利クーポンが10%だったとします。つまり10,000円の国債の償還日に政府は11,000円を支払わねばデフォルトという事です。このため政府は必死になって国力を増強して税収入を+1,000円分経済成長させるか、さもなければ国民の不満を覚悟の上で+1,000円分増税するしかありません(この場合の増税は純粋に民間資本を摩滅させるだけの愚行)。


んで、満期になった時、11,000円を無事、償還(返済)したとします。すると奇妙なことに気づきます。国債購入者は10,000円で買ったのに、償還を受けた時には11,000円を受け取ったということです。「そりゃ当然」というかもしれませんが、この場合「10,000(民間)=10,000+1,000(政府側)」という計算になり、そもそもイコールになりません(爆)


ではどう考えるべきかと言うと「本当の国債の価値は11,000円だった。購入した時にはまだ10,000円の価値しかなかった。だから10,000円で売却した。そして償還の日には本来の価値である11,000円に戻った」ということだったのです。つまり時間的な広がりがあったということです。もともとの価値は11,000円だったのです。たとえば10年もの国債だった場合、販売した時=償還時の10年前の価値は10,000円しかなかったという事です。この「将来受け取れるはずの利得分の現在の価値」のことを「割引現在価格」と言います。現在の価格は本来の価格の割引いた分…という事です。なので国債の販売価格は割引現在価格という事です。


と、ここで重要なことに気づきます。金利がない時は国債をいくら発行しても民間のカネで買い取り、償還しただけの「10,000円が政府と民間との間を行って来い」しただけで「カネの総量はびた一文も増えてない」だったのに対し、金利がついている場合は「1,000円分(政府の負担が)増えた」という事です。


この分は「足りない分は増税でもすればいいや」では「ない」事に気づきます。


たとえば日本の民間資産の総額が10,000円だった時、金利がなければ政府が10,000円国債を発行しても日本国全体のカネの総量10,000円は変わりませんし、国債を償還した後も民間に10,000円が戻るので日本国全体のカネの総量は変わりません。

しかし金利1,000が付いていた場合、民間資産10,000円を使って政府が10,000円(+表面金利10%)の国債を発行した場合、償還時には「日本国全体が11,000円」になっていなければならないという事です。+1,000円分を「日本国全体の中で増やさねばならない」=「現在の日本国の外から手に入れてこなければならない」ということになるのです。よってこの金利分+1,000円分のカネは純粋に「現在の日本国の枠外」から生成もしくは取得する必要があります(例えば貿易黒字など)。


ということは、この金利分(+1,000円)は本当に「通貨の量が増えた」という事です。そして通貨供給量が増加したということは「インフレ」です。なので金利分こそが本当に増強されたカネの量ということになります。そしてインフレ(←カネの量が増える)は経済成長を促すので、金利が高ければ経済成長率も高い…という理屈になります。このことから「金利≒経済成長率」という密接な関係にあったということです。


実際、ワイらがテレビとかでみる「金利」とは「この借金するとき、金利はこれだけ」という約定に書いてある表面金利(クーポン)ではなく、市場での取引価格である市場金利の方です。

例えば10年モノ国債を持っていて、ある一定期間手元に持っていたら売り飛ばしてもいいという約定になっていた場合〜たとえば二年後とかの場合、表面金利10%で10,000円の国債を売り飛ばす時、既に二年分の金利は支払われているので実質的な価値は10,000円+800円の10,800円になります。本来11,000円の価値のある国債から200円分価値が劣化したことになります。


こういう劣化した国債を売り飛ばす時に、例えば新しく刷られた10年モノ国債(新発国債)が表面金利11%になっていたら「そっちのほうが買いなんじゃね…ಠ_ಠ?」的になった場合、いままでの古い劣化した国債は買われなくなり、買ってもらいたいならば「より高い金利をつけて」売るしかなくなる…的な動きが発生します。これが他の発行年度の10年モノ国債および他の5年モノとか20年・40年モノ長期国債(←大抵は損保生保年金などの資産となる)との「価値の比較」によって、自分の売りたい・買いたい国債の金利が動的に変わってくるということです。


この計算は超面倒なので端折りますが(本当は端折っちゃダメなんですが…)、この事から価値のない国債は高い金利をつけないと売れないし、価値あるとみなされた国債は低い金利でも買われるという事になります。よって…


国債の金利が上昇した=国債の価値が減った

国債の金利が下落した=国債の価値が残った


国債の価値減衰→国債の金利が上がる

国債の価値アリ→国債の金利は下がる


…という逆比例の関係になります。なので「金利が上がった!」というニュースがやばいと言われるのは、「いままで発行した国債の価値が減る→少しでも損する前に売り飛ばしにかかる→ますます売られる→ますます金利が上がる」…になるからということです。そして国債の金利が上がるとその高い金利で利払いしなきゃいけなくなるので負担が増え、負担増に耐えられなくなると国家デフォルト…という単純な仕組みです。


ということはこの市場金利が国家破綻の目安になり、また市場金利が国家の経済成長率に密接に関係するということになります。現在の日本は多額の国債を発行してしまった(と財務省が考えている)ために「国家破綻を防止するために市場金利を徹底的に下げねばならない」ということからYCCというゼロ金利政策を採用し、このため「市場金利ほぼゼロ%≒経済成長率ゼロ%に近い」の状況になっていると考えればよく、日本の長期デフレの理由がこの長年のゼロ金利政策が原因…という、非常に単純な理由になります。

また現在、世界が激しいインフレで悩んでいるのに、何故日本だけが3%(しかし日本にしてみればとても高い)程度で落ち着いているのか?…も「ゼロ金利政策のおかげ」ということがわかります。


例え話をします(実際の数字とは全く違います)。例えの話として、「モノ100=カネ100」がインフレがないイーブンな環境と仮定します。この時、日本はゼロ金利政策だったので成長率がほぼ0〜1%くらいだったと仮定すると「モノ100 < カネ101」くらい。他の国はその数倍の成長率があり、例えば(わかりやすく拡大して)「モノ100 < カネ120」くらいだったとします。

この時に石油という資源が戦争で調達量が減ったとした結果、モノ100がモノ90くらいに減ったとしたら、日本はモノ90 < カネ101。他方世界はモノ90 < カネ120くらいで、モノとカネのアンバランスの度合いが日本の方が遥かに低い…という感じです。はじめからカネの総量(この場合は市場で流通している通貨量)が圧倒的に少なかったために今も激しいインフレが起きていないということです。そのくらい市場金利が決定要因になる…ということで、経済成長できなかったデメリットも今の所は役に立っていると言えると思います。特に消費税減税を頑なに拒否している事は(庶民には大変不評でも)「カネの総量を増やさない」=インフレ阻害要因なので、激しい物価高にならなくて済んでいると考えたほうがよいのではないでしょうか?


日本の場合はこの他に、例えばエネルギーに関しては長期契約を結んでいたり、ロシアからの天然ガス調達に関しては「コッソリと今でも続けている」とかイロイロとやっているので欧米を含めた他の国よりエネルギー調達量が多いために(モノ90ではなくモノ95くらい…の感じ)、ますますモノとカネとのアンバランスの差が小さい→インフレがそんなに激しくないと考えてみるのはどうでしょ?


なお長期契約というのは、例えば天然ガスがそうで、天然ガスは需要の多い冬場の値段が高く、夏場は需要が少ないので安いのです。こういうその時々の値段をスポット価格というのですが、日本は購入する時にはスポット価格ではなく「数年先までこの値段」と先に値段を提示しておきます。大抵は冬場の値段+αくらいです。つまり非常に割高で買ってるのですが、今回のような突然の価格高騰のときでも「日本さんは約定に従った値段」で手に入れることが出来ます。どれほどガス価格が高騰しても…です。ある意味、先物取引なのですが、今回のような非常時には大変有効です(^^)v


なので今回、日本は価格暴騰に巻き込まれにくいわけです(日本偉い!)。ちな「エネルギー代が高くて凍死しそう(T_T)」と騒いでいるヨーロッパはスポット価格で天然ガスを買っています(爆)。もっと言えば生産国にとっても日本のような長期安定契約の方がありがたいのです。スポット価格は上下が激しく、長期的な開発投資が必要な資金を安定的に確保出来ません。しかし日本のようなお得意さんなら何があっても契約時の値段で買ってくれる(通常は量もある程度決まっている)。なので長期的な資金確保のめどが立つ…ということです。常連サンのありがたみ…という事です。ちな、日本ももし足りない場合にはスポット価格で買うことになります。

さまざまな防止措置を予め講じていた日本の知恵が生きたわけですが、その他にも大きな理由として「市場金利が低金利すぎるから」インフレがこの程度なのだ…という事も留めおいてください。



○税は財源ではない ←間違い。  

  

というわけで、市場金利ってとても大事という事です。そしてこの市場金利を作り出しているのが「国債」という事だったのです。同時に国債は(市場)金利という「通貨供給量の増加分」を作り出し、インフレ成長を作り出していたのです。国債を中央銀行が公開市場操作などによって買い取ったり売り払ったりすることで市場の通貨量をコントロールし、インフレデフレを適切に管理していた…という意味で国債はまことに優れたツールという事になります。これが金本位制では出来なかったことでした。


では国債はどうやって作る(刷る)のか?

借金する場合、カネ借りる相手の資産状況を確認するはずです。担保となる物件とか、稼ぎとかを調べるという事です。心配があれば「貸してもいいけど金利は高めにとるよ」的な事もあります。んで、国債は政府の借金です。政府は国民から選ばれた(はず)という事なので「政府は国家の富を資産として保有している」と考えることが出来ます。なので「国家」そのものを担保にしてカネを借りる=国債を刷る事が出来るということです。

しかも「国家の富」というのは国家が生き残っている間は(たとえ増減があったとしても)延々と活動し続けるはずであり、ならば国富が延々と蓄積し続けるということです。しかも民主主義国家は独裁国家とは違い、政策上のミスがあったとしても政権交代で済むために革命などで国家そのものが消えてなくなる可能性が極めて低く、そのため「政府(←政治政体)が消滅しない=政府の借金も消滅しないでちゃんと弁済してくれる」と考えられるために「信頼できる」存在と考えられています。


このことから国債は、現在だけでなく未来永劫続く国家がトータルで生み出す莫大な富=事実上、無限大の富を担保とし、その現在価値である「現在の国富or国力」の一部を担保金にして発行する…という事になります。これに「税金」が使われるのです。


よって税金無し、もしくは不十分な税金量では国債が発行できないということになります。国債が発行できなければ十分な量の通貨供給が見込めずデフレで衰弱死するということでもあります。


永続する政体を持つ国家は、国富を永久に生み出し続ける。総量は事実上、無限。この無限大の富の「割引現在価格」に相当するGDPもしくは今日現在の日本国の富の総額を担保とし、さらにその一部を徴税の形で収奪して実際の政府資産とする。そしてこの政府資産を元に国債を発行する。そして国債は回り回って通貨となり、その通貨がインフレをもたらし経済成長をもたらす…という事です。


よって「税は財源」です。税がなければ国債は発行できず、その金利が生み出す実質的な通貨供給量増加が見込めません。インフレが発生しない事になり経済成長がなくなります。経済成長がなくなれば国富増強がなくなるわけで、それは未来永劫続く政府が(遠い将来に渡って)本来取得出来るはずの「無限大の国富」が消滅することになります。通貨が生成できなくなるわけで、それは国家の消滅を意味します。よって「税は自国通貨生成のために必須」です。しかも「担保として信頼できる」十分な量の税金が必要ということになります。無税国家もしくは超低税率国家は、たとえば中東諸国の一部で見られるように石油資源の利益をこれに当てているなどの結果であり、「税」に当たるカネ…つまり国債(と通貨)のための元ガネまでない国などありません。あるとしたら既に失敗国家で、イエメンのような国家とはもはや呼べないような国だけでしょう。

あらゆる公共事業、あらゆる福祉政策、国防ふくめて政府の公的投資のすべてをオミットしたとしても、自国通貨の生成と信頼のためには税金が必須だったのです。残念ですが…( ・ั﹏・ั)



         【 この話、もう一話続く… 】

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