ガンダムの一年戦争の契機は「スペースコロニー版リーマンショック」による地球圏世界大恐慌なんじゃね…(゚д゚)!? という考察

「国家を通貨から考える」


これがワイの信念であり、この世界を俯瞰する唯一の方法だと確信がありました。そして宇宙戦艦ヤマトの世界観は単純に植民地主義的国家同士の国家紛争に過ぎない事から、わかりやすく説明するのに最適…と考えました。

戦争は外交の一環であり、自国権益の確保を最優先と考えた場合、ガミラスは単なる資本主義型帝国主義国家に過ぎないので、21世紀のテロンを説明するのにわかりやすい世界観だったというだけのことです。19-20世紀を振り返るだけの作業ということですから…。


逆に言うとガンダムの世界は「なぜあんなに戦いまくっているのかサッパリわからん」のです。舞台装置の国家と経済的バックボーンが薄く、現実の世界構成とはかけ離れていることや、ニュータイプ論はむしろ社会進化論になりそうで、それは優生人類論的な危険もはらむ事。なにより「現実の国家(日本)を通貨の視点から見る」が主目的であり、ガンダムの世界観をカネで解釈することでは「ない」ので、やめました。


しかしそれでも一年戦争に関してだけは辻褄を通すことは可能です…m(_ _)m

一年戦争の発端の主因は、スペースコロニー相手の「リーマンショック」〜宇宙世紀不動産バブルとその崩壊…いうことです。多分、こんな感じです。


  ※     ※     ※


もともとスペースコロニーは金持ちの道楽から始まり、各国の政府予算で「科学的な見地」を主として発展を見た。やがて宇宙での生態的研究と、宇宙開発に必要な技術的成熟度が増し、同時に各国政府は宇宙における権益確保のために公共事業の一環で自国民の移民政策を始めるようになった。この時点で主導権は国家 (もしくはアルテミス計画のような国家連合)から民間ベースへと移行し、規模が拡大していきます。


やがて宇宙から天然資源の回収を目的とした一次産業が軌道にのり、コロニーでの経済圏の拡大が起こった。この産業を支えるために、多数の人口の移動が必要になった。特に下層労働者に相当する「天然資源の採掘」および「その加工」という第一次・第二次産業を支える肉体労働者層をメインとし、これを支える金融・サービスなどの第三次産業が勃興するようになり、あらゆる階層〜しかし特に多数の下層階級に相当する人たちが「より良い生活」を目指して宇宙移民を始め、この経済拡大により更なるスペースコロニー圏の拡大が可能になった…という流れは自然です。


「金持ち移民せず」…アメリカ大陸に移り住んだ白人は大抵は貧乏人でした。一攫千金を夢見て旧大陸を飛び出すか、じゃがいも飢饉の結果、アイルランド人が多数、米国へと移民せざるを得なかったように、です。


各国がどう対処したかは不明です。移民に困った欧州が「新しい移民先」としてスペースコロニーへと移民を振り向けようとしたのかもしれませんし、国連〜地球連邦政府が組織的に「貧乏人を地球外に追い出す」事を政策としたかもしれません。しかし多数の人たちが宇宙移民をした…はありえます。


ある時点で「金持ちの道楽」から「産業勃興による移民受け入れ環境の整備」もしくは「移民せざるを得ない災害・貧困の発生」という理由から宇宙移民が加速しただろうということです。「貧乏人の大移動」ということです。


この流れを「宇宙移民第二波」とすると、この時、問題になった事は「スペースコロニーは建造費が高い」ということと、これに反して「移民第二波」の大抵の人は「所得が低い」だろうということです。所得のギャップという大問題です。


米国大陸 (新大陸)に移民したかつてのヨーロッパ人は未開の土地を目の前に愕然としたでしょうけど、基本的にタダでした。生物圏としての移民は可能だったということです。しかし宇宙は違います。宇宙移民は生存環境を予め準備しておかねばならず、つねに「赤字」からスタートです。


コロニーは高級リゾートではなくなったとしても都心湾岸エリアの高層マンション程度の値段はしたでしょうし、貧乏人には高い買い物だったでしょう。ルナツーやフォン・ブラウン市の路地裏にホームレスとして住み着くはありえても、水も空気もない月の表面でシャツ一枚で野宿する…は不可能だからです。


  ※     ※     ※


するとこういう話になります…m(_ _)m

コロニー公団のなかで、コロニーの中に移民する人の中で所得が高く、コロニー内の住居 (不動産)を買える人たちを「プライム」、買えない人たちを「サブプライム」と序列をし、サブプライムな人たちに対しては不動産ローンを組ませる。そしてコロニー公団が金融機関のケツ持ちをしてサブプライムな人たちの不動産購入支援をする、という流れです。移民たちは働いてカネ稼ぎ、コロニー内の住宅ローンを返済する。返済できなければ家を取り上げるという事です。


このため彼らの家は担保物件であり、サブプライムな人たちなので銀行からの住宅ローン金利も高めです。しかしこれだけでは金融機関が不渡りを出す心配があるため、ここで貧乏人たちの住宅ローン債権を「買い取る」特別な金融機関が設置されます。


ローン融資した銀行は、この特別な金融機関に債権を売り飛ばし、手元に現金を手に入れます。他方、銀行から貧乏人たちの債権を購入した金融機関はこれを資産として運用します。つまり住宅ローンを元手にしたカネを民間企業や市場に投入して利益を得るということです。


そんな事できるの(?_?) …と思いがちですが、可能です。住宅ローンは元本と利息分を支払い続けるわけで、これが金融機関のカネの元となります。このカネを市場で投資や投機、証券債権に回すということです。


と同時に、サブプライムな人たちは潜在的にローンの支払いができなくなるリスクを抱えている貧乏な人たちです。なので金融機関はこのリスクをヘッジするためにクレジット・デフォルト・スワップという金融商品を使ったことでしょう。


複雑で様々な手法があるのですが、ごく基本的な話をします。

まずサブプライムな人たちのリスクの「売り手」と「買い手」がいます。売り手は債権を抱えた金融機関で、万が一の不渡りに備えて「買い手」に対して「もしワイのトコで不渡りが出たら、全額もしくは一部をアンタが建て替えてくれ。取り立ての権利はアンタたちに譲るから勝手にしてくれ。ただしそれだけだとアンタたちが損するから、いま、現金で『保証金』を即金でくれてやるわ」…と。


現ナマをいまくれてやることで、万が一の破綻の時には債務相当額を「買い手」に支払ってもらうという契約です。当然、現ナマは保証金なので返済の必要はなく、買い手は契約を結べば「現金がタダで手に入る」という事です。このカネは更なる投資や投機に回せます。あとはサブプライマーが失業さえしなければOK…ということです。


たしかにこれは良いカラクリのように思えますが、万が一に多数が連鎖倒産し、買い手の弁済能力をこえる程になった場合にどうするのか?…という問題が発生します。唯一の正解は「無理な契約を結びすぎない」〜やりすぎないことなのですが、「契約を結んだだけで保証金が手に入る」という誘惑に各金融機関が我慢できるのか?…という事です。


できないですよねぇ〜... (;一ω一) ジィー


おそらくはそういう展開になったと思われます。

宇宙世紀30-40年代に急激にスペースコロニーへの移住が進み、不動産バブルが発生した。この時にサブプライムローン型のコロニー建設ラッシュが続いた。貧乏人は宇宙で家を買えるようになり、コロニー人口は急激に増えた。資源開発・重化学工業およびサービス業の急拡大が爆発的な好景気を生んだ。


このバブルのために資金需要は旺盛になり、ますますサブプライムローン型バブルが深化した。おかげで宇宙空間の肉体労働者たちでさえ、地球にいた時とは違い「自分の家」が持てるようになり、求人は引手数多ひきてあまた。家族を持つことができ、子供たちはより良い仕事と生活が手に入れられるようになった。この人口増加・所得増加がさらなるインフレ成長を呼んだ。


この好景気のサイクルを「チャンス」と捉えた金融機関はさらに、弁済能力を遥かに超える規模のクレジット・デフォルト・スワップ契約を結んでいった。景気が失速すれば破滅する事は判っていたものの、カネをぶっこみ続ける→景気は上昇し続ける…を繰り返しての金融ドーピング型バブルは「このまま永遠に好景気は続く」という幻想を抱かせた。簡単にカネが手に入る状況下で抑制を失った民間が過剰融資や不正取引の結果、返済能力を遥かに超える債務を抱え込み、やがて…


これ、そろそろやばいんちゃう…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル


…と誰もが思い始めたが、バブルの常として「最後に降りたものが勝つ」と信じ込み、「最悪、連邦政府と地球連邦金融準備制度(FRB。地球連邦政府の中央銀行に相当)がなんとかしてくれる」・「いつかは破綻するが、今日明日ではないだろう」とのめり込んだ挙句のはてに、何かの契機で民間資本が破綻したのを端初として金融機関が連鎖破綻。


その後、地球圏全域でのスペースコロニーバブルの破滅による世界大恐慌→大不況による失業と貧困、格差の拡大を目の前にしてサイド3で革命騒ぎが勃発→大衆運動からのニュータイプ論を振りかざすファシズム化・経済のブロック化から60年代の武力衝突〜0079年の一年戦争という流れが自然だろうと思われます。


0040年代に始まったジオン・ズム・ダイクンという人物が政治運動を展開し、彼の急死を受けてザビ氏による統制型国家への変貌の政治的な流れは不明ですが、そもそもジオン氏の革命騒動・地球からの完全独立に共感する人たちがムンゾ(サイド3)の中に多数いたという事は、それだけ多くの人たちが失業と自宅の取り立て・生活苦や貧困により、その原因が地球連邦政府によるグローバル型金融資本主義にある…とするのなら、これに共感したという事かもしれません。


こういう革命騒ぎの時は特に政治的思想的な背景ばかりが取りざたされますが、普通の人間は宗教家でもなければ政治屋でもなく、「日々の生活に追われる」だけの人たちです。よって絶望的な貧困に突き落とされでもしなければ、そうした思想家の意見に耳など貸さないでしょう。1930年代のドイツ・ワイマール共和国市民のように、です。この時にはジオン氏の意見に耳を傾ける時間があったということです。誰もが失業していたからです。

残念なことにバブル時に豊かになったのは金融所得の大きな富裕層で、多数の人達は貧困層に転げ落ちたでしょうから。その後の流れは1929年の世界大恐慌→10年後には世界大戦の流れに似ています。


事実、サイド3は58年にはジオン共和国を名乗って「自称独立国家」になったようですが、彼らのいう思想には反資本主義的な色彩が伺え、特にコロニー生活者が政治的経済的に自治独立が可能という言い方に、富裕層の多かったであろう既存の国家がうごめく地球本星からの経済的独立と不平等の是正を暗に狙っているようにも思えます。特に不動産バブルは常に莫大な損失を出し、その処理に時間と費用がかかるものです。この多額の損失を抱えたサイド3を含めたスペースノイドたちの苦悩と絶望は相当のものだったと推察できます。


一年戦争の契機となったのは大規模な世界恐慌がきっかけで、起こり得る事象としてはスペースコロニー版リーマンショックが原因だろうという話でした…m(_ _)m

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