去る者は追わず

 背を向けた敵をむやみに追撃してはいけないという兵法のひとつ。

 時代が下ってくると、わざと「別れよう」などと言って好意を試すような、面倒くさい恋の駆け引きをしてくるやつは、そのまま付き合うと無限に面倒くさい駆け引きをしてくるので、さっさと別れた方が良いという意味でも使われるようになった。


 いずれにしても、余力をもって逃げる相手は、罠に引き込む、隊列を崩させて反転攻勢をかける、ドタバタさせて疲労させるなど、攻撃的な選択肢として逃げている可能性を考慮すべきであり、まじめに付き合うと後手に回ってしまう。

 下手に追わず、相手の策略に付き合うことを一切拒否して、体力の温存、回復に努めるのも、十分強力な戦術なのである。

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