第七十八話 家族の会話

 その後、無事に村へ戻った私たちは、ゼルギウスさんたちに思い切り頭を撫でまわされ鳥の巣にされた。無事を確認したことに安堵をしたのだろう。

 久々に帰って来たスズメさんとリョウゴさんにも、村人たちは色々とはなしかけていた。

 ちなみに森に帰ろうとしたシュタインさんにドゥフトさんは大丈夫だろうかと尋ねたところ。


「帰って来る途中に飛んでいた鳥たちに聞いたら、森で爆睡しているようだ。走り疲れたのだろう」


 無事に森に帰っていたみたいだ。安心した。

 城に戻った私たちは、メイドさんにあれよあれよと着替えさせられて、いつの間にか夕飯を食べていた。

 相変わらず作っているのはツバサさんのようで、今日は海鮮丼がテーブルに並べられていた。

 つい先ほど帰って来たばかりなのに、こんな料理を出すってどういうことだツバサさん。

 豪快に食べるセイゴさんと、何とも上品に食べるフゥとリョウゴさんとスズメさん。

 これは流石というべきか。

 スズメさんがここの城主と知ってしまったせいか、私はみんなと一緒にご飯を食べることに何となく躊躇してしまう。

 だって、いまだ勝手に住まわせてもらっている城の城主との初対面な訳だ。リラックスしてご飯を食べられる訳が無いだろう。


「ツバサ、もう少し丁寧に魚をさばいた方が良い」

「精進致します」

「リョウゴはこんなときにも文句を言うんだから、ご飯は静かに食べようよ」


 家族のようなこの会話に入る勇気が私には、ない!


「そうだ、綾さん。食事の後少々お時間よろしいですか?」

「も、もちろんです!」


 なんだなんだ。

 とうとう、この城から追い出されるときが来たというのか。

 スズメさんは優しいって知ってはいるけど、やっぱり怖いものは怖い!

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