第七十七話 そこでの生活

 ツバサさんの背に乗って空を飛びながら村へ向かっている時に、事の事情を私たちは聞かされた。

 五年前に、近々本格的に村に乗り込むというアォウル国の情報を、スズメさんは耳にした。

 村には優れた者が多く、負ける気はさらさら無かったが、数は圧倒的に向こうの方が多い。

 今までも村の人たちの力に頼ってばかり。それに以前は村人たちに怪我は一切無かったが、今回も無いとは言い切れない。

 村の事をとても大切に思っているスズメさんは、今回の作戦を立てたらしい。

 ツバサさんとセイゴさんには全てを話さず「しばらくの間、様々な国との会議の為に出かけてくる」といってアォウル国に向かった。そして、その時にバレたらまずいと判断したフゥも森の洞窟へと身を隠したらしい。

 そこで上手く潜伏できた二人。スズメさんとリョウゴさんは上手く自分の容姿を隠して、王の行動を監視していた。

 そんな時に王は「異世界の者の命で神獣をこの世から消せる」という話を本で知り、私をここへ呼び出したみたいだ。

 驚くべきなのは、私をここに呼んだ魔導士というのがリョウゴさんだということ。

 私を巻き込まない為に、リョウゴさんは私を呼ぶ役になって、私を逃がす役をスズメさんが受け持ったみたいだ。

 だが、そのせいで私と別れたあとにスズメさんはすぐ王に捕まり、私を異世界から呼んだ事がスズメさんにバレたと思ったのか、しばらく牢に捕えられていたと話した。


「でも牢屋の生活は初めてだったけど、思ったよりもそんなに辛くない事が分ったよ」


 牢屋ってじめじめしてるんだねと、のんきに話をするスズメさんに私は呆気にとられた。

 なんでそんなのんきにしてるの! 牢屋に入れられてたんですよ!?

 リョウゴさんはそんなスズメさんの発言には慣れているのか、何も言わずに目を伏せていた。


「こいつはこういう性格だ。あまり気にしないでくれ」


 フォローを入れてくれたのは、以外にもセイゴさんだった。リョウゴさんは話す気がないから、セイゴさんぐらいしかいないもんね。


「タイミングを見計らって帰ろうとしたんだけど、まさかセイゴがくるなんてね。思いもしなかったよ」

「市場でいつもの物々交換をしていたら、俺等を監視している女を見つけてな。そしたらその女が諜報員の女で、それで呼ばれたから付いて行ったら俺等を強制送還するとか言って来たんだよ。だからここの国の王と、ちゃんとした話し合いをしたいっていっただけのことだ」

「それでついでに御手洗をここに呼び寄せた理由を知りたかっただけだろう?」

「えー、セイゴ下心とかあったの?」


 シュタインさんとスズメさんは顔をよせて、ひそひそとまるで内緒話をするかの様に話し始めていた。


「そんな訳ないだろうが!」


 ないだろうね。

 私とセイゴさんはまずそんな関係ではないので、そういうのは無しの方向でいただきたい。

 まぁもしあったとしても、それはきっと村のためなんだろう。

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