第七十五話 魔導士の人


「おい、こんな話俺は聞いてないぞ」


 沈黙が続くかと思ったさなか、しびれを切らしたのかセイゴさんがスズメさんに話しかけた。

 アハハとごまかす様に笑うスズメさんは、困った笑みを浮かべる。


「悪いねセイゴ。敵を騙すにはまず味方からというだろ?」

「あの王には、もうほとほと愛想がつきていたからな。本性を神獣に見せてしまえば、神獣が王に愛想をつかすだろうと思い、この形をとらせてもらった。こんな事も分らないクズのお前が悪いんだ」


 優しくいうスズメさんに対して、もう一人の魔導士の人はまるでセイゴさんを見下す様に言った。

 このお兄さん、口が悪すぎやしませんか。


「リョウゴ、もうその姿はやめていいよ」

「わかった」


 そういうと、小さい声でなにか呟くと見た目がどんどんと変わっていった。

 髪は金色の短髪になって色が明るくなり、背も先ほどよりも数センチほど高くなった。

 そして顔も次第に変化していった時、どこかで見覚えのあるような顔に首を傾げた。

 ふいに近くのセイゴさんと、その人を見比べてみる。

 この人、顔がセイゴさんそっくりだ!

 セイゴさんをもっと大人っぽくさせたようなそんな顔だ!


「御手洗、あいつはセイゴの兄で、スズメの執事をしているリョウゴだ」


 パタパタと羽を羽ばたかせる音が聞こえたかと思うと、自分の耳元から聞こえて来たのはシュタインさんの声。

 どうやら私の肩にとまったらしい。

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