「は？」

「私を呼んだのが、神獣を消すためだなんて、ふざけるなっていったの」

　心の声が爆発した。もう、この王に言ってやらないと気がすまない！

「そんなことの為に、会社が倒産してやけ酒していた私を呼び出すなんて、身勝手にもほどがあるんじゃない!?　セイゴさんたちに出会えたから呼んでくれた事には心の底から感謝はするけれど、あんたの方に行かなくてよかった！　村に行って正解だったわ！」

「な！　わざわざ呼んでやったというのに！　なんだその態度は！」

「呼んでほしかった訳じゃない！　あんたの為になんか、この大切な命を使う気なんてさらさらないに決まってるでしょ！　自分のことだけ考えていて、一国の王として恥ずかしくない訳!?」

　人間は結局自分のことしか考えない生き物だって昔から知っているけれど、でもこの人は度を超している。会社の金を横領した事務と同等だ！

　脳裏に浮かんだ村の人たちに、今日出会ったこの国の人たち、そしてツバサさんにセイゴさん、そしてあの優しい神獣。

「それに、見た目で邪悪だとか、悪さをしているだとか、神獣に向かってなんてこと言うのよ！」

「本当のことを言っただけだ！　あんな気持ちの悪い姿をした神獣が悪さをしないなどありえん！」

「知った風なことを言わないでよ！　こっちの神獣のことも知らないくせに妄想だけで決めつけないで！」

　人々のために感情を食べて、体を黒く染めてもなお食べ続ける優しい神獣。それを妄想で決めつけ、消そうとしている。

　みんな必死にこの世界で生きているのに、自分が気に入らなかったものはいらないだなんて、まるでこの人は子供じゃないか。

　言ってやる。みんなの本心を今、ここで、この人の目の前で言ってやる！

「村の大切な神獣に対してそんなことをいうあなたは、この国の王になんてふさわしくない！」

　部屋中に響き渡るくらい、大きな声で言い放ってやった。

　目の前の王は言葉の意味が理解できないのか、ポカンと口を開けたまま固まっている。

　そして数秒後やっとその意味を理解できたのか、王は怒りから顔をタコの様に真っ赤に染めて地団駄を踏み始めた。

「なんなんだこの娘は！　私になんてことを言うのだ！　私は国民に望まれてこの国の王となったのだぞ！」

　そういうところが皆が嫌って言ってたんだよ！　なんで理解できないんだこの人は！

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