第六十三話 侵入

 うっわー、立派な不法侵入だよこれ。

 もしも警察の方がいたら、一発で捕まるね。異世界で良かった。

 私たちは立派な城の中を死角を利用して隠れながら、どんどん前へと進んで行った。

 それにしてもこの城は豪華絢爛で、目がチカチカしてくる。

 天井にはたくさんのシャンデリアがさがり、廊下にはいかにも高そうな骨董品。きっとこちらの世界で有名な画家が描いたであろう、大きな絵。

 見た目もそうだけど、中もまさにお城って感じだったとは。なんか逆にガッカリだ。

 ギャップが無いんだね、このお城。って城にギャップを求めても仕方ないか。


「シュタインさん、セイゴさんの居場所分るんですか?」

「アイツの気配を感じるから、そう遠くはないのは確かだな」


 気配なんて分るのか!

 そっちは全面的にシュタインさんにお任せしよう。私がとやかく言える問題ではない。

 私はただ見つからない様に、隠れる事に専念すれば良いんだ。

 とは言っても、実はここに潜入してから門番の人たち以外の人と、まだ出会ってはいない。

 たまたまいないのか、運がいいのか分らないが、こっちとしては好都合なので深く考えない事にした。


「あの端の部屋だな」


 どうやら、セイゴさんの居場所が見つかったらしい。

 廊下の先にある一つの大きな扉。そこまで装飾は凝ってはいなく、木で出来ている扉。

 この豪華絢爛な城の中じゃ、異彩をはなっていた。

 あの中にセイゴさんは捕まっているのだろうか。まさか縛られて牢屋とかに入っているとか。

 嫌な考えしか浮かばない私の頭は、一刻も早くその場所に行かなくてはとそわそわした。

 周囲を何度か確認して、人がいないことが分った!

 よし、いまだ!

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