第二十三話 お勉強です

 部屋に戻ると、メイドさん達が持って来てくれたらしい数冊の本が、小さな机の上に重なっていた。

 気合いを入れていざ、一冊目の本を手にする。

 表紙はキレイで、真新しい本を手にしているようだ。


「スパーロの歴史、なんだか幼児用の絵本のみたいだなー」


 よく見たら他の本より一回り大きめだ。

 それにページ数が他より少ない様に感じる。

 初めて読むには、最適な本なのかもしれない。絵と文字があるとすんなり話が頭に入ってくるだろうし。

 どんな絵がついているのだろうと、わくわくしながら本を開いてみる。

 一ページ目に並んでいる横文字。まるで英語の筆記体の様な文字が、一番上から下までずらっと並んでいる。

 私は勢い良く本を閉じた。

 表紙を再度確認する。

 うん、ちゃんと『スパーロの歴史』と書いてある。読める。

 瞬きを数回して、もう一度本を開いた。


「……どうなってるの?」


 やはりそこに並んでいるのは、ページを埋め尽くす英語の筆記体のような文字。

 目を擦ってみても変わらない。

 ページをめくってみても、同じような文字が並んでいる。

 まさかと思い、他にある本も手に取ってみる。

『スパーロの英雄』『村の成り立ち』『神獣の存在』どの本も表紙はちゃんと読める。でも本を開いてみると。


「やっぱり……」


 ここに置いてある本は全て、最初に開いた本と同様に絵はなく、ただ見た事も無い文字がページを埋め尽くすくらいに並んでいるだけだった。

 最初は英語かと思ってなんとか解読しようと思ったがよくよく見てみると、どこにも私の知っている英単語がないことに気付いてしまった。

 学生時代、英語の成績があまりよろしくなかったからいけないのか。いや、多分英語が得意な人でも無理だと思う。

 他国語は難しすぎる。はっきり言って日本語も危ういのに、これから他国語を学ぶのは大変な事だ。

 言葉が通じるのに文字が読めないとは。しかし、なぜ表紙だけ読めてしまうのか、謎である。

 ともかく、本の中身が読めない事には何も出来ない。

 ツバサさんに相談してなんとかするのが先決だ。

 小さく溜め息をつきながらツバサさんを探そうとしたとき、部屋のドアが数回ノックされる音が聞こえた。

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