第十八話 質問タイム


「さて、わからないことがあれば、ご質問をどうぞ」

「えっと、まず、ツバサさんがなんで私がいた世界のことを知っているのかお聞きしてもいいですか?」

「えぇ、構いませんよ。我々の城は大昔から異世界の本を多種多様にとりそろえているので、貴女様の世界も把握済みです。文化も、食生活もわかっているので、貴女様が過ごしやすい環境をつくることを、お約束しましょう」


 ……なんか、ツバサさんホテルのオーナーみたい。もしくは旅館の女将。私が快適に過ごせる様に気を使ってくれるなんて一瞬旅行先に来たような気分になったよ。

 でもよかった。異世界って聞いて文化とか、食生活とかなんか色々な違いがあるだろうから過ごしにくそうな気がしたけど、それは大丈夫みたいだ。


「ツバサさんが私をドゥフトさんから降ろす時に使った、あれは一体なんですか?」

「あれは、この城に住む者だけが持つ能力と考えてください。自然の力を利用し、様々な事象を起こさせる事が出来る、所謂魔法というやつです。ちなみにですが、私たちが扱う魔法と魔導士が使うものとは似てはいますが、全く違うものなのでご了承ください」


 おぉ、やっぱり存在していたか魔法が。でもこの城に住む人だけってことは、私は使えないって考えた方が良いのかな、ちょっと残念かも。


「私はこの村に協力してほしいと言われました、何をすればいいですか?」

「この城には現在最低限の人しかいないので、できることも限られています。そこで私の考えではありますが、お手伝いをしていただくことが村への協力になると思います」


 へぇ、こんなに大きな城なのに人が少ないのか。

 みんな何かの用事で出かけているのかな。じゃあ人手不足だから私は呼ばれたって事になるのか、マジか。


「あの、最後にひとつだけ、私は元の世界に帰れますか?」

「戻る事は可能だと思われます。しかしそれには貴方様をこちらに呼んだ魔導士が必要です。その為には、また国へ行くしかありませんね」


 帰る事は可能なのか。それだけでも分れば安心できる。

 でもあの国にまた行かなければならないって、それはすぐにでも行けるんじゃない? だって門ひとつ隔てただけだし。よかった、希望が見えた!

 あ、でもどうしよう。すぐに帰っても、また就職活動の日々が始まるわけだし。忘れてたけど私、もう無職だった。

 スズメさんに言われたこともあるし、深く考えずにここで用事を終わらせてから戻る事にしようかな。


「それでは良い時間になりましたので、食事をしてから貴女様に住んでいただく部屋へご案内しましょう」

「え!? このお城にいさせてもらってもいいのですか?」

「行く当てもありませんでしょう?それにここでほったらかしにしては、動物たちに申し訳ないですからね」

「ツバサさん……!」


 貴方本当にいい人ですね!

 輝いて見えるのは気のせいでも何でもないよ! 現実だよ!


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