問㉖ 惹きこむ冒頭とはなんだろう?

 前回ではプロローグを取り上げました。

 私的には、プロローグは情報過多になりがちなので、あまり書きたくない、という話をしたつもりです。

 もちろん上手く書けている人は別です。いいプロローグは最初から物語のトーンをつけてくれますからね。


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 で、いよいよ書きだしです。

『起』の章に入るかと思いきや、さらにその前の段階です。

 つまりは冒頭の書きだしです。

 ここからこのエッセイも少しエンジンがかかりますよ。


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 私はここをすごく重視してます。

 ここが決まるまでは書きださないくらいです。

 たとえ、いいプロットが思いつこうと、キャラクターが出てこようと、この書き出しが決まらないと全く先に進めません。

 そのまま進んでしまうと、いつまでも気持ち悪くて、違和感があって、やっぱり最初に戻って書き直したりします。


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 ま、こんな書き方すると「さぞかし立派な書きだしに違いない……」と思われるかもしれませんが違います。

 やはり、あくまで自己満足の話です。

 でもここで少しでもずれると、後半に行くにつれてそのズレが大きくなると思っております。


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 で、ここは自己満足も大事ですが、気を付けるのはとにかく読みやすさですね。

 私の場合はとにかくそれだけ。

 だから冒頭、最初の数行は特に気を使います。

 この数行で、これから始まる長い旅に付き合ってくれるかどうかが分かれると思うんですね。


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 では何が重要か?

 それは『』だと思うわけです。


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 理解できないものを積極的に理解しよう、というモチベーションを持つ人は少ないと思います。

 むしろ、「あ、なんか分かる」という感覚の方が続きを読むきっかけになると思うんです。

 そう意味では、ここでがかけられているわけですね。

 だからここは目いっぱい『荒い』ふるいにしておくべきだと。


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 ちなみに、敢えて細かくすることもあります。

 例えばボーイズダイアリーの出だしはこうです。


―――   ―――

「キリンの首はどうしてあんなに長いのでしょう?」

 これは進化の話をするときによく使われる質問。

 そしてわたしはこの答えを知っている。

 で、こう教える。

「キリンは高い場所にある葉っぱを食べようと、一生懸命に首を伸ばしたからです」

―――   ―――


   ✒


 これを読んだだけで『進化』に興味がない人は離れるでしょう。

 でもそれはそれで仕方がありません。

 この先もテーマは人間の進化について語るので、続けて読んでも苦痛になるだけですからね。


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 それだからこそ、なるべくふるいは荒くしています。気を使ってます。

 多少なりと知識がある人のために書いているのですから、なるべくたくさんの人に楽しんでほしいわけですから。

(ちなみに物語自体はシリアスな進化の話ではありません)


 ではここで工夫したのはなにか?


   ✒


 まず難しい漢字は使わない。

 前にも話しましたが疑問、質問の『?』を使って問いかける。

 キリンの首がなぜ長いかは、進化論でよく使わる質問だということ。

 そして『わたし』の語る答えが、いわゆる進化論ではだという事。


   ✒


 これをもって冒頭の完成としました。

 これなら中学生くらいから大人までをカバーできるかな、と。

 興味を持ってくれたり、この質問の答えが気になるのではないかな、と。


 ちなみに会話文でのスタートはどんなキャラクターが話しているか見えないものですが、この文脈なら教師的な人間だとうっすらわかると思います。


 まぁそんなアレコレを考えながら、ようやくできた冒頭でした。


   ✒


 ちなみに他の作品もとにかく冒頭は苦労していますが、私的にはどれも気に入ってます!


   ✒


 振り返ると長いですね、今回。

 それに微妙に本筋からずれた気もしますね。

 まぁそういうこともあります。


   ✒


 さて、みなさんは冒頭、出だし、はどんなことに気を付けていますか?

 ぜひ、自作品のよく出来たと思える冒頭も教えてください!


 読まれるきっかけになるかが試されそうですが……それは私も同じです。

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