問③ 読みやすいリズムとは?

 先の章では「文章を細切れにしたらリズムがガタガタになった」

 で「オチを文末に付けるようにしたらなんとなく落ち着いた」

 ということを書いてみたわけです。


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 で、改めて文章のリズムについて考えるわけです。

 読み手としてスムーズに読める、次のページをめくりたくなる、そんなリズム。

 これは「ツラツラ読める」とか「ガーッと読める」とか「味わいながら読める」など色々とタイプがあると思います。


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 これに関してはもう作者の個性であり、物語の個性であるわけですね。

 とはいえ大事なのは、とにかく読み続けることが出来る、という状態ですね。

 ここに持ってくために何が必要なのか? とまぁ、また考え始めたわけですね。


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 で、やはり構成に鍵があるのではないか? と、こう思ったわけです。

 それは例えば地の文と会話文のバランスだったり、心中描写のタイミング、情景描写のタイミング、そう言ったものが重要みたいなのですね。


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 で改めてリズムの話です。

 文章を細切れにしているわけですから、長文はこの時点で放棄しております。

 短いセンテンスをつなげつつ、リズムよく読んでもらうためにはどうするか?

 これはもう、現実的にはとにかく書き散らしました。

 書いた後もしつこく読みなおしました。

 ちょっとでも引っかかると書き直しました。


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 その中で見えてきたヒントもついでに書いておきます。

 ポイントは短い文章・情報を小出しにつなげること。

 最小限の構成で最大限の情報を与えること。

 その順番をよく考えること。

 ということですね。


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 読者というのは(自分をその場において考えると)、基本的に活字以外の情報がないわけですね。

 そこに文字や文章を追加しながら、読者の脳内にイメージをつけ足していく作業なわけです。

 だからそのイメージを渡す順番、そのイメージを作りやすい比喩、それをなるべく短いセンテンスで表現すること、などが大事なわけです。


……で、私なりに考えたわけです。


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 たとえば


「彼はグイッとウイスキーを飲み干した」


 これだけで主人公が男であること、成人であること、ビールよりウイスキーをたしなタイプ、酒を飲む場所にいること、などが補完されるわけですね。

 こういう読者の補完イメージを想定しつつ、あとは小出しにディティールを付け加えていくと、ドンドンとシーンが鮮やかになっていくわけですね。


「それから金時計にチラリと目を向け、ため息をついてから、マスターに追加をオーダーした」


 この一言を加えると、金持ちそうだな、誰かを待っているのかな、長く待ってるみたい、残念に思っているようだ、少なくともバーにいるみたい、夜中かな? なんて具合に広がってくれるわけですね。


「金時計」「ため息をついてから」


 これを入れると入れないで広がりが違うのですね。


 ただ、これでも人物像はぼやけています。

 それをなるべくアクションを交えながら、追加していくわけですね。

 いきなり細かな容姿の説明に入ると、情報過多になりますしね!


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 要は情報の出し方のタイミングと完結さ。こういうことがすごく気になってきたわけです。

 ……と、偉そうに語っておりますが、短く区切るにはこういう事を考えて書いてますよ、という話でした。

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