第7話、『 アホ 』の未来
さて、ここまで、大いなる視点から『 アホ 』を観察・吟味して参りました。
「 全く・・ ナニを、たわけた事を誇大して言ってるんだよ、お前 」
そんな批判の声が聞こえて来るかのようですが、そう言った心境をお持ちの貴方も、遂に、終章 第7章までお読み頂いています。 これは、『 アホ 』を見下している貴方も、その心のどこか片隅に、『 アホ 』に対する期待・・ いえ、嫉妬心にも似た心境を、お持ちの証拠なのです。 そう・・ 出来るものなら、『 アホ 』になってみたい、とかね・・・!
「 なっ・・! バカ言ってんじゃないよ! 何で俺が、アホに嫉妬心なんか抱くんだよ。 ここまで読んだのは、どこまで誇大妄想をでっち上げるか、ただ、その興味一点だけだよっ! 」
そう言う、貴方・・ その発言は、本当に、本当ですかぁ~・・・? よぉ~く、胸に手を当てて確認してごらんなさい。
「 ・・・・・ 」
まあ、やっぱ、興味本位だけだった、と言う方もいらっしゃるでしょう。 それは、それで構いません。 ヒトの価値観は、人それぞれですから。
しかしながら、先記した通りに・・ 実は、密かに『 アホ 』に興味を持った方、いらっしゃるかと・・・
ありがとうございます。
1人でも賛同して頂ける方がいらっしゃれば、とても嬉しく思います。
実は『 アホ 』は、仲間が増えるのを、特に喜びます。 これは『 アホ 』が、自分1人ではない事を確認した安心感から来るもので、反対に、優等生は、孤独を好みます。 自分のレベルと同等の者は必要ない、と考えているからです。 自分で、何でもやって行けるので、あえて仲間は要らないのです。
さてさて、大切なのは、ココです。
『 アホ 』と、『 アホ 』を容認した方、または、密かに『 アホ 』に憧れる方・・・
これらの方の存在は、実は、地球上に生活する人類の、半数以上を占めています。 いわゆる、『 その他大勢 』ってヤツですね。
・・でも、本当に『 その他大勢 』でしょうか・・?
ここで、明言しておきましょう。
実は、世界を廻しているのは、この『 その他大勢 』なのです。
重要な部分をリードしている者以外が、『 その他大勢 』・・・ ほとんどの人が、『 その他大勢 』は、平凡な人々の代名詞であると認識していますが、それは大きな間違いです。 勘違いとでも表現しておきましょうか。
確かに、有名な発明・発見をした人には、優等生が多いでしょう。
しかし、考えてみて下さい。
それらを便利な利器として認め、効率よく使って来たのは、その『 その他大勢 』です。
大切なのは、使いこなす事なのです。 創り上げる事ではありません。
机上の空論ではなく、本当に次代の利器として認知・利用するのは、優等生ではないのです。
「 それって、出来上がったモノを、便利に使っているだけじゃないの? 」
まあ、そんな意見の声も聞こえて来るようですが、その発言も、根本的に間違っています。
発明は、便利に使いこなしてこそ、利器となります。 創るだけでは、使えません。 有能に使えるモノこそが『 発明 』となるのです。
『 アホ 』は、真正直なだけに、使えないモノは評価しません。
これです。
優等生は、何とか使用に耐えるよう、改良などの努力をしますが、『 アホ 』には、そんなキャパが無いので、即、切り捨てます。 「 よう、使えまへんわ 」ってね。
これが出来るのは、『 アホ 』以外にいません。 長年の研究努力・費やした経費などは、微塵も省みず、自身の観念オンリーのみで結果を評価します。 それは見事に、的を得ているのです。 誰もが感じる感想を、遠慮なく代表しているのです。
『 アホ 』が認めないモノは、発明でも何でもない、ただの虚像です。
確実に役立つモノ、利器となり得るモノ・・・
『 アホ 』は、的確に、それを認知します。 そして、その利器を、非常に上手く利用し、豊かな未来を歩んで行きます。
利器だけではありません。
ファッション・思考・教育・教義に至るまで、動物的本能のような原始的センサーを持って、その利点を利用し、生活に取り入れて行くのです。
更には、『 その他大勢 』よろしく、良いモノは集団で使いこなします。 いわゆる、大衆化です。 これにより、ヒット・ブームは到来します。
もう、お分かりですね?
そうです、ブームは、大衆により生み出されているのです。
消費の大半は、『 その他大勢 』が起こしており、扇動しているのは『 アホ 』だ、と言っても過言ではないでしょう。 ある意味、経済真理です。
つまり、実現可能な突発的発想は基より、リーダー的な人望も備え、そのほとんどは、ブームの火付け役になっている・・・
ある意味、世界経済をも、廻す結果になり得る存在・・・
それが、『 アホ 』なのです・・!
いやぁ~、自分で言っていて、壮大な結論を導いてしまった・・ と、言うような感を拭えません。 しかし、私的ではありますが、間違いないと確信しています。
世界は、『 アホ 』が廻しているのです。
今後も、優等生と『 アホ 』は、共存して行く事でしょう。 この両者、共にいなければ、世界の構造が成り立ちません。 どちらが、良いとか悪いとか、そう言った底辺的な話では済まないのです。 両者がいてこそ、利があり、世界が保たれます。 未来が、構築されて行くのです。
『 アホ 』の未来は、明るいぞ!
なぜなら、世界は『 アホ 』が廻しているからです!!
もし、『 アホ 』が、世界のトップを獲ったら・・・
おそらく、世界中の辞書から、『 戦争 』の2文字は消える事でしょう。
アホだから・・・
ご清聴、ありがとうございました!
『 アホ 』なら、出来る! / 完
『 アホ 』なら出来る! 夏川 俊 @natukawa
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