第8話 ノースポールと好き嫌い

 散歩道の桃の並木を過ぎると、川の流れに沿った緩やかな散歩道が続き、散歩道と河原のあいだの緩衝地帯には、季節ごとの花が咲きます。


 その花のひとつ、5月の終わりから見られる花に、ノースポールという白い花があります。

 黄色いボタンの様なメシべの回りに、細長く白い花びらが重なりあって連なる、平たくて丸い花です。


 背は高くありませんが、白と黄色のクッキリとした色合いと、散歩道との境目に、こちら側を向いて並んで咲いているので、よく顔を合わせます。


「好き、嫌い、好き、嫌い、好き・・・」


 1枚ずつ花をむしって、最後になるのはどちらの言葉か、そういう花占いを子供の時に聞いたことがあります。


 今の私には、茎を折ってしまうのも、花びらを取ってしまうのも、何だか勿体もったいないように思えて出来ませんが、

 指の間に茎を通し、花を自分の方に向けて、この不自由な足が治るものか、それとももう治らないのか、そんな違う切なさで、花びらの数を見てしまいます。

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同じ道を歩く あど @adokenaikoto

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