第3話 地層の断崖

「縛り地蔵尊」からのスロープを下ると、右側には草の生い茂った土手の斜面が現れ、左側の川沿いは段々と雑草が低くなり、砂地を経て川がひらけます。


 川幅は、手頃な形の石を拾って何回か投げても、普段キャッチボールをしない人では対岸の崖に今一つ届かないぐらい。

 ここから上流を見れば右に、川の流れからすると左に大きく蛇行して流れています。


 この川辺の砂地は、一昨年の台風の後からか、増水の度に砂が堆積して盛り上がるようになり、

 天気のいい日には子供達が、バケツに砂を入れては、何かを形作ろうと親御さんの下で遊んでいたりします。


 ここに立って眼前を見渡すと、川を挟んだ対岸の愛宕山斜面が、川によって削られた断崖となって迫り、

その斜面は、幾百万年にも渡って積み重なった砂利や砂によって、シマシマの白茶けた地層を形成しています。


 こういった河川の侵食と風化を繰り返した地形としては、10年以上前に訪れた「塔のへつり(福島県南会津郡下郷町)」が有名です。

 山間の渓谷で、断崖の地形だけでなく、吸い込まれるような川の深緑さも印象的で、多くの観光客が訪れる勝景地となっていました。


 一方、この散歩道の断崖の地層を目当てに訪れる人は少ないと思いますが、

 崖の斜面を這うようにせり出している潅木やそこに絡みつくツタ植物の緑が、崖の風化した色合いと相まってなかなかの景観となっています。


 そしてこの地層の崖面は散歩道の終点である瑞鳳殿の森のさらに先の仙台城跡までも続いており、地形の好きの方の足も満足させるかも知れません。







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